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No39「隠し剣 鬼の爪」山田洋次監督

主人公の片桐宗蔵(永瀬正敏)が一介の平凡な侍、という設定が似ているのと
同じ監督ということで、
昨年の「たそがれ清兵衛」と比べてしまうと
どうも物足りない、というのが正直なところ。

刀から鉄砲へと変わる時代設定はおもしろいのに、
十分、生かしきれなかった気がした。

潔く侍をやめて、転進していく片桐の人生はおもしろい。
しかし、なぜここまで達観しているのか、
心の葛藤を、もっと描きこんだらよかったのではないか。

片桐は、藩命により、合弟子を討つことになるが
肝心のちゃんばらシーンに迫力がない。
もっと思いと思いがぶつかりあうシーンに
できたのではないか。
むしろ、剣の師匠(田中泯)から新しい剣術を習うシーンがよかったし、
隠し剣の使い方もおもしろかった。

「たそがれ」では、
主人公(真田広之)が幼馴染の宮沢りえに
果し合いに向かうための身支度を手伝ってもらうシーンの
緊張感がすばらしかった。
クライマックスの果し合いでの相手役、田中泯の情念といい、
殺陣といい、圧倒されるような魅力があった。

「隠し剣」で、そういう心に残るシーンがあまりなかった。
合弟子の妻(高島礼子)の存在もどこか中途半端な設定で
ストーリーを理解し、頭でテーマは理解できるが
映像から出てくるもの、心をぐいとつかむようなものに欠け、
どうも平板で、物足りない印象を受けた。
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