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No17「華氏911」マイケル・ムーア監督

小泉首相が「政治的な立場が偏った映画は僕は観ない」とコメントし、
日本でも賛否論を呼んだ「華氏911」は、マイケル・ムーア監督の長編第2作で、
カンヌ映画祭パルムドール賞受賞作品。
監督は、前作「ボウリング・フォー・コロンバイン」でアメリカの銃社会を鋭く批判し、
アカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー作品賞に輝いている。

ドキュメンタリーといいつつも、
反ブッシュ、反イラク戦争という強烈なメッセージ性の込められた“娯楽作品”と
考えて観たほうがすっきりする。
一方的な主張も、ユーモラスな小気味よい味付けで、
前作の突撃アポなしインタビューよりは、ずっと毒気がなく、
楽しんで観れる。

そもそも彼のイラク戦争への疑問は、
彼の出身地ミシガン州フリントの若者達の多くが、
厳しい失業で就職先もなく、イラク戦争に従軍していることから始まっており、
好感が持てた。
上院議員のうち、息子がイラクに従軍した議員は一人しかいないそうだ。

数ある映像の中でも、イラク戦争で息子が戦死した母親ライラさんが、
ホワイトハウスに、息子を失った怒りと悲しみをぶつけ、泣き崩れる姿は強烈。
これが戦争なんだと感じさせる忘れられない場面だ。

本作品に、相当程度、脚色や誇張があるとしても、
アメリカ愛国法は現実だし、
イラク戦争の終結後なおイラクの人々の生活が恐怖にさらされているのもまた現実だ。
そのことを目の前につきつける作品として、
やはり、この映画、見逃すわけにはいかない。
とにかく、劇場に駆けつけ、自分の目で観て、自分の言葉で語ってほしい。

(2.5点)
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