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No356「喜劇 急行列車」~電車の音と、心臓の刻む音~

国鉄の急行寝台列車さくら号の車掌を務める渥美清のモノローグで始まる。
朝の東京駅、発車までの任務に就く車掌たち。
1967年公開当時、新幹線は開通しているものの、
東京から九州までは、急行寝台列車が運行していた。
食堂車もあるし、車掌も5、6人以上。
今回、渥美は、専務車掌として、部下の車掌たちを指導。
その責任感、職業意識に暖かい気持ちになる。

列車とは、出会いの場。
旧知の人に出会うこともあれば、新しい風景に出会うこともある。
山や田や海際を急行列車が走っていく姿は、
鉄道ファンならずとも、心を奪われる。

心臓が悪く手術のために九州へ向かう少年。
心臓の音と、列車がガタンゴトンガタンゴトンという音とを
重ね合わせる。
機関車が坂道を登るように、心臓も同じ速度で血流を押し流す。
電車が頑張るように、心臓も頑張っている、だから心配しなくていい、と
渥美に語らせると説得力がある。

車内で産気づいた妊婦を
渥美の浮気調査のために、
乗り込んでいた妻が、助産婦の資格を持っているということで、
車内での出産を手伝う。
無事出産。手伝いを終えた妻と
渥美が、目と目を合わせるシーンもいい。

瀬川監督、列車シリーズは、計3本。
残るは「喜劇 初詣列車」

今年観たばかりなのに、
もうどこで観たのかを忘れているという記憶力のなさ。
春に、初の新世界「日劇」で観賞したばかりだった。
夜の上映とあって、映画館で寝泊りしようというおっちゃんらが
少しずつ増えつつある微妙な時間帯だったことを思い出した。
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