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No42「お父さんのバックドロップ」李闘士男監督

大阪下町の
地方巡業をしているプロレスラーの父と子のぶつかりあい。
話は“べたべた”。
でも泣ける。
原作者の中島らも氏が、
溢れ出る涙でぐしゃぐしゃになった顔を人に見られたくなくて、
映画を観終わって「たのむ。3分間でいい。客電をつけないでくれ」と思ったそうだ。
その言葉どおり。
脚本がうまい。わかっていても、すっかりのせられている。
監督の演出も、微妙に抑制がきいていて
喜怒哀楽に満ちた人間ドラマ。

脇役もいい。
南方英二の祖父役の存在が、笑いを誘い
香辛料のように効いている。

亡き母への思いもじっくり描く。
同じアパートに住んでる焼肉やのおばちゃん、南果歩に
子どもが、死んだ母への思いを告げるシーンも
雨の降る商店街を歩いてくるのをひいたカメラで撮っていて
心に迫ってくる。

陸橋の上での父と子の丁々発止。
子どものまっすぐな気持ちのセリフに
観ているこちらがどきりとする。

李監督の初監督作品。
監督はイタリア映画に豊かに流れている人情、親子の情、友達の情、を描きたくて、
大阪南部を舞台にしたそうだ。

最後、傷だらけの父は言葉もなく、
ただ、表情だけで、息子と気持ちを伝え合うところも、
まさに映画的ですばらしい。
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