日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

iPhoneを諦めた(?)ドコモの“迷走”

2012-06-15 | ビジネス
今週公表されたNTTドコモが音楽ソフト販売大手のタワーレコード(以下タワレコ)の株式50%以上を取得し、実質子会社化したとのニュース。あぁこれでまたiPhone取り扱いは遠のいたなと、そんな印象を強くしました。本当にいいんでしょうか、これで。

iPhoneはもともと携帯音楽機器iPod Touchに電話機能を乗せたものですから、音楽面で一層の独自路線強化をイメージさせる今回の報道は、明らかにアップルに対する遅ればせながらの対抗策強化に他ならない訳です。音楽ファンのライフスタイルを変えたとも言えるアップルにおけるiTunesストアの強さは言わずもがなであり、これに対抗するにはそれなりの投資を踏まえた装備が必要との判断によるところなのでしょう。

しかし将来的なiPhoneの導入を検討する気が1%でもあるのなら、仮にそれが0%だとしても、音楽部分に関してドコモマーケットとiTunesストアとの提携と言う選択肢もあったとは思うのです。当然利用者サイドの利便性を考えての上でのことです。今さらタワレコを使って何ができるのか、何がしたいのかいささか疑問と言わざるを得ないでしょう。少なくとも、iPhone取り扱いの可能性は限りなくゼロに近くなったと個人的には感じています。

さらに最新情報では、収益の半分以上を稼ぎだして生命線とも言えるデータ通信の値下げを決めたとの報道もでました。いよいよ苦しくなってきたかと思わされる半面、そのニュースの中身を見るに実に中途半端な内容です。近々発売のIT機器苦手な方々向けの「らくらくスマホ」向けデータ通信料は業界最低水準まで引き下げるものの、一般のフォーマ、スマホ向けデータ通信は約2割弱の値下げとか(しかも通信利用量3ギガバイト未満に限定というシブチンぶり)。結果、auやソフトバンクのiPhone利用者のデータ通信料(含キャンペーン料金適用ケース)に及んでいないようです。

この半端さ加減は一体何なんでしょうか?もちろん業界トップ企業が率先して価格競争を先導するのは感心しないことですが、それにしても半端すぎるでしょう。業界トップシェアとは言いながら、auのiPhone取り扱い開始を受けて販売台数確保に決め手を欠くことが如実に顕在化してしまった今、ドコモは想像以上のシェアジリ貧状態が続き、今や誰もが認める“ひとり負け”です。台数シェアの確保もいよいよ尻に火が着いた状況下で、これら続々打ち出される戦術の“空砲感”を感じるに、まさしく「迷走」という言葉がぴったりくるようにも思えています。衰退期に足を引っ張るとされる官僚的組織即有の上から目線が及ぼす悪影響なのかな、とも思えてしまうわけなのです。

iPhoneを諦めたと思えるドコモは、この先どこに向かうのでしょうか。

日本も「チップ制度」をそろそろ検討したらどうだろう?

2012-06-13 | ビジネス
欧米に出るといつも「あっ、そうだった」と思い出させられるのが「チップ制度」。若い頃は「なんだよ面倒くさいな」と思わされたりもしたものですが、よくよく考えると提供側にも購入側にも「サービス=有料」を明確に意識させるものとして、今の時代「格安」に対する正しい理解を醸成する観点から、日本でも導入を検討してもいいのではないかと思ったりもします。

日本のお店は、外国人から見るとどこもおしなべてサービスがいいと言われます。しかしながら、とりわけ「日本の価格はサービス料込みだから」と意識されているわけではなくて、日本人は「サービス=無料」が当たり前で来てしまっている。だから、スカイマークエアのような「低価格=サービス抜き」という商品の登場に、一部で戸惑いが出るのでしょう。「サービス=有料」は、随分前から日本でも言葉では言われているものの、正しい理解がされているかと言うとかなり疑問であるわけです。

先日ハワイで入ったスタバ、日本に比べるとサービス水準はかなり低かったです。店員はつっけんどん、説明は不親切、テーブルも汚れている…。でも、ファーストフードはチップ不要ですから、これが当たり前。それが嫌ならチップでサービスを買うカフェでコーヒーを飲めばいいわけです。マクドナルドの「スマイル=0円」も、あちらの理解は「笑顔はサービスじゃありません。自然のものです」という意味です。サービスなら有料だからです。一方日本では、「笑顔のサービスは無料で提供しています」という意味に受け取られています。この理解はよく考えると、その分は商品価格に入っているということ(教育コストの価格反映)かなと。これまさしくサービスの価格の不明確化の端的な例であり、日本人のサービスのプライシング音痴を利用した上手な戦略のようにも思えます。

そんなサービスのプライシング音痴な日本人相手の商売として、ハワイあたりで一番いい加減なのは、日本人経営で日本人スタッフ雇用の店なのに請求書に「チップ15%」などと書いて堂々とサービス料をチップで請求するケースです。別にメニュー表示価格がその分国内の同水準のお店と比べて安わけでもない、単なる“便乗”か都合のいい和洋折衷でしょという感じで、ここまでくるとちょっと面白くないですね。そういう便乗商売を目にしたことも、日本人のサービスのプライシング音痴を矯正する「チップ制度」が必要なのではないかと思った所以です(もちろん、国内商品価格の値下げはチップ制度の大前提ですが)。

上記のような便乗犯は論外としても、モノ価格とかサービスとか、提供側も購入側も価値感が多様化している今の時代に至っては、やはり「サービス」は明確に「有料」を決めたほうがいいのではないかと思います。そうなれば、LCCを代表格とする商品の低価格化に対する正しい理解はもっと得やすくなるでしょう(スカイマークのサービスコンセプトの表現の問題は別として)。LCCなどは、まさにコストのかかるサービスの切り落としであり、旅客輸送のファーストフード化であると理解すれば誤解はないわけですから。

「サービス=有料」に関する本当の理解が進むならば、LCCが安いのは「サービスを省いているからでありリスクが高いからではない」ということももっと伝わりやすくなるのではないかと思います。裏を返せば、格安夜行長距離バスがなぜ安いのか、他のバス会社に比べてサービスの省略が見当たらないのなら、「もしかして運行に無理が生じるような商品構造で顧客リスクが高いんじゃないの」という話にもなるわけです。すなわち、不可解な安売りに対する警戒感や敬遠といった気運も醸成しやすくなり、無理なハイリスクの商品を市場から駆逐することにもつながるのではないかとも思うのです。

「サービス=有料」を明確にする「チップ制度」。いきなり日本にこれを導入定着させるのは難しいかもしれませんが、時代の流れと共に現象化するデフレ下のでの価格とサービスを巡るさまざまな出来事に対して、国民の正しい理解をもってあるべき生活向上につなげていくために、産業界は本気で議論してもいい時期にきているようにも思いますがいかがでしょうか。

※余談ですが、東電も「サービスは悪くなりますけど値上げはしません」というプランを検討したらどうでしょう。実現可能であるなら、利用者に支持されると思います。もちろん、削るものがあるほどの対利用者サービスというものが、東電に現状存在していることが前提ではありますが。

スカイマークエア話題の「サービスコンセプト」を添削する

2012-06-11 | ビジネス
一度出したものをまた引っ込めざるを得ないことになったという、話題のスカイマーク・エアラインのサービスコンセプトについて、例によって「あるべき」「やってはいけない」の観点から感じるところを記しつつ一足先に添削してみたいと思います。
まず最初に、もう各所でさんざん出回っていますが、現状引っ込めさせられたその<サービスコンセプト>を以下に転記しておきます。


<スカイマーク・サービスコンセプト>
スカイマークでは従来の航空会社とは異なるスタイルで機内のサービスをしております。「より安全に、より安く」旅客輸送をするための新しい航空会社の形態です。つきましては皆様に以下の点をご理解頂きますようお願い申し上げます。

1. お客様の荷物はお客様の責任において収納をお願いいたします。客室乗務員は収納の援助をいたしません。
2. お客様に対しては従来の航空会社の客室乗務員のような丁寧な言葉使いを当社客室乗務員に義務付けておりません。客室乗務員の裁量に任せております。安全管理のために時には厳しい口調で注意することもあります。
3. 客室乗務員のメイクやヘアスタイルやネイルアート等に関しては「自由」にしております。
4. 客室乗務員の服装については会社支給のポロシャツまたはウインドブレイカーの着用だけを義務付けており、それ以外は「自由」にしております。
5. 客室乗務員の私語等について苦情を頂くことがありますが、客室乗務員は保安要員として搭乗勤務に就いており接客は補助的なものと位置づけております。お客様に直接関わりのない苦情についてはお受けいたしかねます。
6. 幼児の泣き声等に関する苦情は一切受け付けません。航空機とは密封された空間でさまざまなお客様が乗っている乗り物であることをご理解の上で搭乗いただきますようお願いします。
7. 地上係員の説明と異なる内容のことをお願いすることがありますが、そのような場合には客室乗務員の指示に従っていただきます。
8. 機内での苦情は一切受け付けません。ご理解いただけないお客様には定時運航順守のため退出いただきます。ご不満のあるお客様は「スカイマークお客様相談センター」あるいは「消費生活センター」等に連絡されますようお願いいたします。


私が最初にこのシートを読んだときに、真っ先に感じたことは、これは従来の国内航空会社の誤った認識に基づく過剰サービスを善しとするサービスの在り方に一石を投じるものとして大いに評価できるというものでした。誤った認識と言うのは、飛行機がごく一部の金持ちだけが利用する特別な乗り物であるというもはや今の時代には通用しないものであり、その考え方に基づいた不要なプライドの高さを感じさせるサービスは、今の時代にあってはおよそ見当違いなものであると言わざるを得ないのです。

しかしながら、このコンセプトシートを何度も読み返していくうちに、「ちょっと待てよ」という部分もいくつか出てきて、全面的には支持は出来かねることにも気がつかされるわけです。従来の航空会社のサービス姿勢を善しとしない姿勢まではいいものの、ちょっと行き過ぎた部分があるのではないかと。行き過ぎてしまった原因は、同社が航空会社をサービス業としてとらえていないのではないか、ということにあるように思えます。すなわち、今の航空会社のサービスが過剰であるとしても、正すべき水準は貨物輸送業ではなく旅客輸送業ではないのかということです。

その観点で、ひとつひとつの項目を見ていくと、明らかに行き過ぎであり書き換えが必要な点が明確になってきます。順にみながら「あるべき」に添削を試みます。

1は部分的にOKですが部分的にダメです。比較対象として電車を例にとるなら確かに、網棚に荷物を乗せるのは乗客自身がやることなのでここはいいでしょう。しかし年寄りや非力な女性が困っているところにスタッフが出食わしたら、それを可能な範囲で補助するのはサービス業としての「あるべき」です。「客室乗務員は収納の援助をいたしません」となぜ言いきるのか、これはいけません。この部分は削除すべきです。

2は条件付でOK。「従来の航空会社の客室乗務員のような丁寧な言葉使いを当社客室乗務員に義務付けておりません」は、バカ丁寧な言葉づかいはしませんよと言う意味であるなら問題ないでしょう。ただし、最低限サービス業の常識は守られるというのが条件ですから、「一般的にサービス業に求められる以上の」を「丁寧な言葉使いを当社客室乗務員に…」の前に挿入すべきです。

3も条件付OKです。私は銀行にいたので女子行員やパートスタッフの身だしなみについて、うるさすぎる環境下で育ったのですが、自分が支店経営を任された際には、「基本はお客様に不快感を与えない身だしなみであること」とだけ言い、自主性重視で管理をしてきました。その観点から言うなら、「自由」という言い方が誤解を生む可能性はありますから、「仕事とプライベートをしっかりと区分けし、お客様に不快感を与えないことを基本として、スタッフに自主管理を任せております」とでも言えばいいのだと思います。

4も同じく。服装の自由は別にOKです。ただし書き方として、3同様「お客様に不快感を与えないことを基本として、スタッフに自主管理を任せております」とするべきでしょう。

5「客室乗務員は保安要員として搭乗勤務に就いており接客は補助的なものと位置づけております」は電車も同じことなのでここはいいでしょう。しかしながら、「客室乗務員の私語等について苦情を頂くことがありますが」は、明らかに一言多いでしょう。運転手や車掌の私語が多かったら、安全面で不安になるわけで、この部分は削除。スタッフの私語が多くても問題ないという考え方は正されてしかるべきと思います。

6も言わなくていい話かなと。これは、一般航空会社であろうがLCCであろうが同じこと。新幹線で赤ん坊が泣いていても普通は車掌に文句は言わないのであり、乗客の常識として飛行機でも同じ理解であるべきです。その手の苦情が多いということなのでしょうか。乗客の意識の問題である以上、少なくとも「サービスコンセプト」に書く内容ではないと思います。

7は全く問題なし。

8は今回の文書一時回収の発端となった部分。クレームは8の「消費者センター」等に連絡しろ、という言い回しがクレームの行政へのつけ回しだでけしからんと、お叱りを受けたことにあるようです。まぁ、私からみればそれはどちらでもいいこと。むしろ「機内での苦情は一切受け付けません」の方がマズイでしょう。サービス業におけるクレーム発声事由の早期発見、早期対応、早期解決の原則という観点からは、まず問題発生現場でクレームを受ける姿勢がなくては、サービスの向上は見込めませんから。「機内で十分なクレーム対応ができない場合があります、その場合は相談センターにお問い合わせください」との修正が必要でしょう。

以上、具体的な要修正点を指摘させてもらいました。スカイマークが既存航空会社の誤った常識を覆そうとする姿勢には共感を覚えますが、この「サービスコンセプト」を通じて「うちはサービス業じゃない、貨物輸送業だよ」と宣言しているのならそれは大きな過ちであると気がつくべきだと思います。同社が自社を貨物輸送業であるかの如くに旅客輸送を捉えているのなら、旅客の安全性確保の観点からは国交省がスカイマークの認可を即刻取り消すべき由々しき問題であるのです。その意味では、この一旦回収されたサービスコンセプト・シートがどのように修正されて再登場するのかは、航空会社スカイマーク・エアラインの経営姿勢を諮る上で大変重要な問題であると思われます。14日にも再交付されるという改訂版「サービスコンセプト」、注目して待ちたいと思います。

AKB総選挙が音楽業界をダメにする

2012-06-08 | ビジネス
このところ、販売やら価格やらサービスやらに関連するネタで気になることがいくつかあるので、何回かに分けてお話しします。まずはAKB総選挙関連の話から。AKBの良い悪いは関係なくて、総選挙の結果はもっと関係なくて、秋元康氏が企画しているというこの大成功したビジネスモデルもここまでくるとどうなのかと、そんな観点での一考察です。

この総選挙。前々からCDの大量買いはどうなのとか、投票権欲しさに無駄になったCDを捨てるのは問題だとか、いろいろ言われています。昔からこの手の話はよくあって、古くは仮面ライダーの「ライダースナック」。同封のライダーカードが欲しくて、カードだけ抜き取るとお菓子は捨てちゃうなんてことが社会問題化しました。その後の「ビックリマンチョコ」同封のビックリマンシールなんていうもの、同じ類の「事件」でした。

古くはグリコのオマケに端を発したと思われる“オマケ戦略”は、商品の本質的な魅力を分からない子供相手に、オマケを付けることによって付加価値を生み出し、トータルでより素晴らしい商品として見せることで販売数を伸ばすという戦略であるわけです。ライダースナックもビックリマンチョコも基本は同じ。スナックの味やチョコの味で勝負ができず、仮面ライダーやビックリマンのキャラクター力を借り手もまだ足りない、そこでさらにプレミアム感を生むようなオマケをつけようと。売らんかなのメーカー側に悪気はないのですが、全部揃うまで買い続けさせかつ射幸心をあおるやり方は子供相手にいかがなものかと批判を受けたわけです。

しかし今回のAKBがそれら過去の「事件」と決定的に違うのは、主なる商品販売対象が子供ではなく大人であるという点。大人相手ですから先のような批判は当たらないわけです。ですから「捨てるのはいかがなものか」は、捨てる本人がモノを粗末にすると言う観点で批判はされても、販売側は責められるべきではない。現に、子供相手では批判されるオマケ商法も、いわゆる“大人買い”を狙った大人向けオマケ付き菓子の類がたくさん出ているわけですから(私も昔のフォークソングCD付菓子とか、海洋堂のフィギュア付菓子とか、はまって散財したものがいくつかあります)。これらが全く批判にさらされることがないのは、まちがいなく自己責任が問える大人ターゲットの販売戦略であるからです。

ではAKB総選挙商法に問題があるとすればどこなのか。私が思うのは、メインの商品が音楽であるという点にこそ大きな問題があると思っています。食べ物の場合、仮にオマケ目的であったとしても、食べようと思えばすべて食べられるわけですから心がけさえあるなら無駄にはならない。現に、私もフォークソングCDやフィギュア目的で買ったお菓子は全部食べました。でも、音楽はどうでしょう。確かにCDはどれも聞くことができますが、全く同じCDを何十枚もあってもどれもみな同じ音が出るモノであり、それを複数あるいは大量に買わせるようなビジネスが、そもそもビジネスのあり方として正しいのか否かこそが問題なのかなと(人にあげればいいんだという言い訳もなくはないですが)。

秋元さん側に言わせれば、「複数枚の購入は想定してない」という言い訳があるのかもしれませんが、それはおかしい。現に過去何回かの総選挙において同じことが繰り広げられているのであり、私が掲げたような問題点を問題視しているのであれば、「一人複数票の投票は無効」等の新たな取り決めをすればいい。それをしないということは当然一人複数枚購入を「よし」としているわけです。私はこの複数所有することでその商品自体が購入者側に何のプラスも生まないモノに対する、複数購入の容認あるいは推奨ともとれるやり方はビジネスモデル構築上のモラルとしてどうなのかなと疑問に思うのです。

本来ならば投票権を多数欲しい人間に便乗でCDを売るのではなく、投票権そのものを販売すればいい。こんなおかしな“オマケ戦略”でCDの販売枚数を稼ぐなどと言うビジネスモデルこそ、音楽業界の“やってはいけない”ではないかと思っています。まあそんな純粋な音楽ソフト売り上げではない数字を元に、レコード大賞などを授与した業界そのもの自体が、“やってはいけない”の固まりなのかもしれませんが。音楽産業低迷下での苦肉の策であることは百も承知ですが、お役御免で捨てられる大量の総選挙がらみCDの絵を見るに、CD販売を回復させ音楽ファンを呼び戻すという観点からはむしろ逆効果であると思います。

レコード会社も秋元氏発案の音楽を見下すオタク的ビジネスモデルの言いなりになるのではなく、一部のファンによる大量買いと言う自体を重篤に捉え、音楽そのものを大切にした自己の業界の“あるべき”を真剣に考えるべきではないのでしょうか。

お知らせ~「くま辛」で明日NHKラジオに登場します!

2012-06-06 | ビジネス
明日朝ラジオに登場します!

明日朝7時45分からNHKラジオ第一放送「ラジオ朝一番」で、約5分間にわたっていよいよ17日スタートを迎える日本一暑い街熊谷の街おこし「くま辛」プロジェクトについて、仕掛け人の私が電話インタビューで生回答します。

通勤途上の方もスマホアプリ「NHKラジオらじる(ダウンロード無料)」で聞くことができますので、ぜひ電車内で朝から大関の声を聞きつつ気持ち悪くご出勤いただければ幸いです。

ハワイにおける日中韓の新勢力図

2012-06-05 | 経営
ハワイネタ第2段です。今回は6年ぶりのハワイでしたが、この間のハワイにおける日中韓アジア三国の経済勢力図的観点からの変化に関し、気がつかされたことがあります。

まず中国。とにかく中国観光客の多さには驚きました。6年前にはほとんど見かけなかった中国人観光客。私は車で島内をけっこう動き回っていたのですが、どこに行っても聞こえてくるのはあの大きな声で仲間内とやり取りをする中国語の会話でした。ワイキキやアラモアナあたりの観光客向けの店舗では、日本人に負けないくらいの数の中国人が集団で行き来し、日本人観光客にはあり得ないようなあの“大量買い”で賑わっていました。

一言「すごいなー」「元気だなー」と言う感じ。日本で言うと、ちょうどドル円の為替相場が変動相場に移行し、大量の日本人観光客がハワイに押し寄せ始めた80年代ぐらいのイメージでしょうか。“ノーキョー・ツアー”に代表されるような、まだまだ旅慣れなかった日本人団体ツアーが現地やアメリカ本土からの旅行者の眉をひそめさせた、あの感じかなと。中国の急激な経済成長をみるに、中国資本がハワイの不動産を買い漁り、高級住宅地に中国人の別荘が立ち並ぶなんて光景も意外に遠くない将来あるのかもしれません。

韓国は観光客が急増した印象はなかったものの、目に付いたのは家電製品の進出。ホテルの部屋に備えつけられたテレビはLG製。街中のショップで見かけたモニター画面も軒並みサムスン、LGでした。以前はどうかと言うと、メイド・イン・ジャパンは価格が高かったせいでしょうそもそもあまりみかけず、記憶ではオランダが本拠の多国籍企業フィリップスあたりの製品が主流であったように思います。性能から言えばメイド・イン・ジャパンを使いたかったハワイの人たちが、価格面で敬遠していたところを、性能は日本並み価格は破格という韓国勢が一気に席巻したという感じでしょうか。この6年の間に様変わりといった様相です。

さて、対する日本は。一昔前のワイキキと言えば、ブランドショップに群がる日本人観光客の姿がその象徴であったのですが、すっかり影をひそめた感が強いです。円高の恩恵で大幅に価格低下した並行輸入品が国内のディスカウントショップやネットでも簡単に購入できるようになったこと、最近の若者がブランド品や高価な買い物に対する関心が低下したこと、リーマン以降の景気低迷で財布のヒモが締っていること、等などいろいろ理由はあろうかと思いますが、良い悪いではなく日本の元気の無さを象徴しているように思えました。過去連日お祭り騒ぎの賑わいだった免税店も閑古鳥でした(店内で唯一若者が群がっていたのは、ToryBurchぐらい)。

こうして見てみると、日本人があらゆる面で親しんできたハワイと言う「ほぼ日本」と言われてきた土地でさえ、個人の消費経済は中国勢に、法人のビジネス進出では韓国勢にすっかり押しまくられているいる感じがよく分かります。それはとりもなおさず、ハワイが結局アメリカであって日本でなはいからこそ明確に見えた現実なのであって、これが今の日中韓アジア三国の経済的な力関係に他ならない気がしました。

「規模の中国」「技術の韓国」、対する日本は如何?個人消費における経済力の低迷、国を代表する大手企業の国際競争力の低下を痛切に感じさせられるにつけ、この先この状況を打開する局面は再び訪れることはあるのか、複雑な思いを抱かされます。5年後、10年後、ハワイのアジア三国勢力図はどう変わっていくのでしょうか。