洋楽におけるロックと呼ばれる音楽は50年代末期に黒人音楽と白人音楽の融合によってロックンロールとして登場し、60年代にビートルズ、ストーンズ、フーを代表格として短くロックと呼ばれる音楽ジャンルが確立されていきました。そして60年代の後半にはさらにそれらの中でより激しいビートを刻むハードロックの源流的な動きが活発化していきます。発端はエレクトリックなギターサウンドの台頭であり、その原点的アーティストとも言えるのがイギリスのヤードバーズだったのです。ヤードバーズは、当時の一般的なバンド形態であったボーカル中心の演奏から、腕利きのギタリストを前面に押し立てたギター中心で聞かせるブルース・ロック・バンドでした。そして、このバンドから生まれた3人のギタリストが、ロックの新たな流れを生みだすことになるのです。
その1人目がエリック・クラプトンです。彼は66年にヤードバーズを脱退すると、ギター、ベース、ドラムの3ピースバンドであるクリームを結成します。クリームは、音楽機材の当時の目覚ましい進歩にも助けられ、大音響とバトル的インプロヴィゼーションを特徴とした“ハードな”音づくりで人気を博すことになります。しかしながら、まだクリームはギターバンドではありながら、基調とする音楽はあくまでブルースであり、その意味ではハードロックではなく“ハードブルース”であったと言うのが正しい見方であるのかもしれません。クラプトンの後を受けた2人目がジェフ・ベック。彼も68年にはヤードバーズを抜け、自らのバンド第一期ジェフ・ベック・グループ(=写真)を結成します。この時のメンバーには、ボーカルであのロッド・ステュワート、ベースではロン・ウッド(現ローリング・ストーンズ)がいたのです。
第一期ジェフ・ベック・グループの音楽は、ベックのギターとロッドのボーカルがすさまじく対決するまさしくハードロックであり、ロックがまだロックンロールであった時代のプレスリーのナンバーなどを敢えて新たな解釈で取り上げているのは、「ハードロック誕生」を高らかに宣言しているかのようにも思えます。「ギタリストには2通りしかない。ジェフ・ベックとそれ以外だ」と言われたように、当時としては突出してハードなギターを弾きまくり、まさに世界初のハードロック・ギタリストとしてその名を世界にとどろかせたのでした。このバンドは2枚のアルバム「トゥールース」と「ベック・オラ」を残していますが、迫力と衝撃度合いでは前者、作品的まとまりでは後者という感じの出来になっています。
ベックを継いだヤードバーズ3人目のギタリストはジミー・ペイジ。彼は同バンドを発展的に解消させ、ハードロックバンド、レッド・ツェッペリンを立ち上げました。デビューアルバム「レッド・ツェッペリン」を制作した際に、「バンドの音作りの参考にしたのはベックの『トゥールース』だ」と言っているのは有名なお話です。ツェッペリンの原点すなわちハードロックの原点は、第一期ジェフ・ベック・グループであったと言えるのです。
(この項つづく)
★ハードロックの歴史を知るアルバム~その1(プレ70年代)★
①「トゥールース/ジェフ・ベック・グループ」
②「ベック・オラ/ジェフ・ベック・グループ」
③「レッド・ツェッペリン/レッド・ツェッペリン」
その1人目がエリック・クラプトンです。彼は66年にヤードバーズを脱退すると、ギター、ベース、ドラムの3ピースバンドであるクリームを結成します。クリームは、音楽機材の当時の目覚ましい進歩にも助けられ、大音響とバトル的インプロヴィゼーションを特徴とした“ハードな”音づくりで人気を博すことになります。しかしながら、まだクリームはギターバンドではありながら、基調とする音楽はあくまでブルースであり、その意味ではハードロックではなく“ハードブルース”であったと言うのが正しい見方であるのかもしれません。クラプトンの後を受けた2人目がジェフ・ベック。彼も68年にはヤードバーズを抜け、自らのバンド第一期ジェフ・ベック・グループ(=写真)を結成します。この時のメンバーには、ボーカルであのロッド・ステュワート、ベースではロン・ウッド(現ローリング・ストーンズ)がいたのです。
第一期ジェフ・ベック・グループの音楽は、ベックのギターとロッドのボーカルがすさまじく対決するまさしくハードロックであり、ロックがまだロックンロールであった時代のプレスリーのナンバーなどを敢えて新たな解釈で取り上げているのは、「ハードロック誕生」を高らかに宣言しているかのようにも思えます。「ギタリストには2通りしかない。ジェフ・ベックとそれ以外だ」と言われたように、当時としては突出してハードなギターを弾きまくり、まさに世界初のハードロック・ギタリストとしてその名を世界にとどろかせたのでした。このバンドは2枚のアルバム「トゥールース」と「ベック・オラ」を残していますが、迫力と衝撃度合いでは前者、作品的まとまりでは後者という感じの出来になっています。
ベックを継いだヤードバーズ3人目のギタリストはジミー・ペイジ。彼は同バンドを発展的に解消させ、ハードロックバンド、レッド・ツェッペリンを立ち上げました。デビューアルバム「レッド・ツェッペリン」を制作した際に、「バンドの音作りの参考にしたのはベックの『トゥールース』だ」と言っているのは有名なお話です。ツェッペリンの原点すなわちハードロックの原点は、第一期ジェフ・ベック・グループであったと言えるのです。
(この項つづく)
★ハードロックの歴史を知るアルバム~その1(プレ70年代)★
①「トゥールース/ジェフ・ベック・グループ」
②「ベック・オラ/ジェフ・ベック・グループ」
③「レッド・ツェッペリン/レッド・ツェッペリン」