日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

“紳助引退事件”と「“反社”コンプライアンス」の定義づけ

2011-08-25 | 経営
タレントの島田紳助氏が、暴力団関係者との“交際”を理由に突如引退を表明すると言う事態が世間を騒がせています。問題のシロクロはメディアの報道にお任せするとして、私の立場からは今回の問題で人によって、あるいは業界によって、あるいは立場によって、まだまだその捉え方が統一的でない「“反社”コンプライアンス」のにかかわる定義づけについて考えてみたいと思います。

「コンプライアンス」とは「法令順守」であり、「法令順守」そのものの定義づけとしてはホリエモンのライブドア事件の際にも、まさに「法だけ形式的に守っていればいいというモノではないのでは」という議論が展開され世間一般の定義づけに至ったことがありました。今回は同様の観点で「法令順守」の中の重要なポイントである「反社会的勢力(以下「反社」)」との関係を、明確に定義づけするいい機会なのではないかと思っています。

「反社」とは、暴力団関係者をはじめとした、「非合法的手段の下に生計を立てる団体または個人とその関係者」と位置付けられます。今回の件で問題となっている部分でもあり紳助氏もそうですが、現状では暴力団員との直接の関係はアウトという認識は大方の社会人および法人の間でなされているものの、そこ止まり。「直接当人が明確に暴力団員でなければ暴力団とのつながりに関する疑いがあっても関係をもつことはOKなのか」とか、「「反社」的存在としての疑念はどの程度で判断すべきなのか」とかが、広く一般には定義づけがされていないのではないかと思うのです。

上場企業における「反社」に関する一般的解釈としては、「ブラック」「グレー(ブラックの可能性が疑われる)」のふたつがあり、さらに「ブラックの関係者(家族・友人等)」「グレーの関係者(同)」といった分類がなされています。「ブラック」は「暴力団関係者はじめ非合法的活動者(法人および個人)」、「グレー」は「ブラックの疑いがある、またはブラックとの付き合いが疑われる者」です。

一般的な企業モラルでは、アウトなのは「ブラック」だけでなく「ブラックの関係者」と「グレー」も該当します。この基準に照らせば、今回の紳助氏の件は、十数年前にA氏(渡辺二郎氏)がB氏(暴力団幹部)に相談して問題を解決してもらったのが分かった段階で、「ブラック」のB氏はもとよりB氏と付き合があることが明確になったA氏は“限りなくブラックに近い”確実に「グレー」以上であり、彼とも接触を断たなくてはいけなかったのです。このような基準が広く徹底されないが故に、引退を表明する段階に至ってなお、「私はセーフだと思っていた」という誤った認識を生んでいるのです。ちなみに「グレーの関係者」は、「アウトとは言い切れないものの、つきあいは避けるのが肝要」という存在です。

整理をすると、
①「ブラック」暴力団等非合法的手段で生計を立てる団体・個人→付き合い即アウト!(今回のB氏=暴力団幹部)
②「ブラックの関係者」①の家族、友人等(企業舎弟を含む)→付き合い即アウト!(今回のA氏=渡辺二郎)
③「グレー」①②の疑いがある団体または個人→付き合い即アウト!
④「グレーの関係者」③の家族・友人(つきあいのある企業)→即アウトではないが、付き合わない事が望ましい
となります。①から④にいくに従って「色」は薄くなっていくのですが、「君子危うきに近寄らず」であって、①~④と思しき兆候があれば付き合いは止めるべきなのです。

今回の事件を単なる「一芸能人の非常識」で片付けずに、反社会的勢力の撲滅に向けて、一般的な反社会的勢力に係る「コンプライアンス」の順守基準を社会ルールとして明確化させる好機ととらえる必要があると思っています。各メディアには、ぜひともこのような定義付けが芸能界はもとより広く国民の間に定着し反社会的勢力の活動を封じ込めるよう、しつこいくらいに「アウトの基準」を明示する等の情宣報道に尽力して欲しいと思うところです。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2011-08-27 13:50:16
管理者の方へ
一読者です。同じことを繰り返すくだらない誹謗中傷のスパムコメントを読まされるのは非常気分が悪い。削除していただけませんでしょうか。よろしくお願いいたします。
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時代は変わったということでしょうか (さすらい日乗)
2011-09-02 08:32:51
芸能界がやくざと関係が深かったのは昔からでした。
日本映画界で最も近代的といわれた東宝にも、製作部に元やくざのお兄ちゃんがいて、野外ロケのときは、彼を通して地元の親分に協力してもらったと金子正且さんの本『金子正且の仕事』に書いてあります。
若松孝二は、新宿のやくざのチンピラのときテレビのロケの人よけを手伝ったことが映画界に入るきっかけと言われています。今や、ロケの仕切りは、フィルム・コミッションとして自治体がやっていますが、やくざの「仕事」を行政が奪っていることになります。

時代は変わるもので、やくざも行きにくい時代になったというべきでしょうか。
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