日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

経営のトリセツ90 ~ 小沢氏出馬に思う「納得」に不可欠な「論理性」

2010-08-27 | 経営
論理的な説明は、マネジメントにおいても部下を納得させ動かす場合の重要なポイントであります。

では論理的な説明とは何か?
一番簡単な表現で置き換えるなら、「説明過程にごまかしがなく明確であること」かつ「自己の論理でなく、客観的事実に基づいて説明ができること」であると言えると思います。もちろん、論理的であるだけで相手を完璧に納得させられるかといえば、必ずしもそうではありません。論理的でありかつ熱意があるかとか、心情的に理解できるとか、信頼がおけるとか他の諸々の要素が組み合わさってはじめて相手を納得させ動かすことができるのです。その意味では、論理的であることは、相手を納得させる上で「十分条件」ではありませんが「必要条件」ではあると言えるでしょう。

テーマは民主党小沢前幹事長代表選出馬の件です。昨日の代表選出馬宣言から1日、マスコミも国民も「何だそれ?」と大騒ぎになっています。論点はいくつかあるようです。まず「政治とカネの問題」の説明責任を果たしていない点、それともかかわりますが、検察審の再審議次第では強制起訴もありうるという立場である点、3カ月前に国民の政治的不信感から首相とともに辞任をしたばかりであるという点、我が国が経済面での危機的局面にありその打開に向けて政局の安定が不可欠であろう点等々、いろいろな方々からあちこちで今回の出馬に異を唱える発言が出されています。これは一言で言うなら、とりもなおさず「国民の不信感」であり、その理由は明らかに出馬に対する様々な疑問点に対して、論理的に回答をしていないからに他ならないのです。

「好き嫌い」や感情的な問題は本来論理的説明の吟味があってその後に来るべきものなのですが、論理的な説明が何もないことで結局小沢支持者も反小沢の立場をとっているプロアマ問わぬ多くの論客たちも「憶測」に基づく「好き嫌い」でモノを言わざるを得ない、そんな不毛な状況にあるのではないかと感じています。いずれにしましても、今一番必要なことは「小沢氏自身の“見える化”」です。メディアもかなり過激に小沢派、反小沢派の議員を引っ張り出していつもの如くショー的な盛り上げを図っていますが、「良い」「悪い」を感情的に議論する前に、まずは先の諸々の論点に関して徹底的な“見える化”を求めていくべきであると思います。

メディアや論客が“小沢降ろし”を真っ向仕掛けても、結局腕力で跳ね返されるだけのことでしょう(代表選の結果はどうあれ)。こんな時こそ、メディアは公器として今回の出馬に関して「客観的事実の積み上げにより明快な説明がつくのか」、すなわち論理的に国民の納得が得られるのかまずはその「必要条件」を満たさせることに専念し、的確な判断材料の提示を求めていくべきではないかと思うのです。そのためには、各メディア間の協力による説明申し入れ等も検討が必要かもしれません。メディアは国民の代弁者としてただ煽りたてるだけでなく、これほどまでに世間を混乱させている当の本人からしっかりと考えを引き出す責務があると思うからです。説明申し入れを受け入れるか否か、論理的な説明ができるか否か、それによってただただ騒ぎを大きくするだけでなく、小沢氏が出馬にふさわしい人物であるか否か、国民を正しい判断に導くことが出来るのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

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