日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

犯罪までも生む警官の「違反検挙ノルマ主義」は、即刻廃止せよ!

2012-03-07 | ニュース雑感
大阪府警の警察官が飲酒運転の取り締まりの際、アルコール検査の数値を水増しして男性を検挙していたとして虚偽有印公文書作成などの疑いで逮捕されました。「彼は一体何のためにやったの?」と疑問に思っていると、MSN産経ニュースに次のような記載があり、なるほど納得でした。以下引用。

交通取り締まりの現場では、飲酒運転などの摘発件数が仕事上の評価にも影響する傾向があるといい、今回の疑惑について、警察関係者は「本来なら摘発されないはずの人が違反切符を切られた可能性もあり、警察の取り締まり全体の信頼性が問われる」と指摘。「警察組織はノルマ主義だから、実績を上げようとするあまりアルコールの数値をでっち上げていたのではないか」と述べた。
こうした「ノルマ主義」が背景にあるとみられる不祥事も続発している。16年には、兵庫県警で窃盗事件の報告書類に架空の被害者名を記入したなどとされる組織的な捏造事件が発覚。虚偽有印公文書作成などの容疑で13人が書類送検され、関与した警察官は「実績を上げたかった」と供述。裁判では「厳しいノルマに追い立てられていた」と指摘された。
今年1月にも、神奈川県警の巡査が架空の窃盗事件を解決したとでっち上げたなどとして、虚偽有印公文書作成などの容疑で逮捕される事件があった。
(2012.3.6 15:08 MSN産経ニュース)

これってどうなんでしょうね。言ってみれば、ノルマ主義の浸透により「法律違反行為や犯罪の撲滅」という本来の「目的」が忘れられ、いつの間にか「違反および犯罪検挙件数の増加」という「目的」を履き違えた行動がまかり通ってしまっている、そんな状況にあると思わされます。

「実」ではなく「形式」を重んじる官僚主義の弊害ここに極まれり、の感が強く漂っているとは言えませんでしょうか。国民の生活を守る立場にある警察組織の、このような誤認誘導を助長する形式主義への傾倒は即刻改めるべきであろうと思うのです。

その改めるべき代表例が、白バイやパトカーによるネズミ捕り方式の取り締まりでしょう。我が家の近くの道路でもかなり頻繁に、路地に隠れた白バイが、信号のない横断歩道を渡ろうとする歩行者を無視して通り過ぎる車を、次から次へと捕まえては切符を切るという行為が行われています。

以前から思っていることではありますが、これは最高に変です。事後防止を旨とする交通課の警官がすべきことは、一人でも多くのドライバーに違反をさせないことで安全な交通環境を守ることにあるはずです。それなのに、彼らがしていることは、違反行為が多発する場所で陰に隠れて違反行為をあえてさせそれを検挙する、これはどう考えてもおかしい。もし、隠れて見ている目の前で事故が起きたら大問題です。

本来であるなら白バイに乗った交通課の警官のすべきは、違反多発地点に堂々と姿を見せて「なんで私がいる分かりますか?ここはちゃんと歩行者優先で止まらないといけないんですよ」とアナウンスし、違反行為をひとつでも多く未然に防ぎ減らすことにあるのではないでしょうか。それをわざわざ、隠れて違反をさせて捕まえるなどというのは、本末転倒もいいところです。

こんなことがノルマ主義のもと平然と行われているから、今回の逮捕事件のような目的を大きく履き違えた行為が行われてもおかしくない環境が出来上がってしまうのではないでしょうか。ノルマは違反件数の減少にこそ課されるべきであり、違反検挙件数ノルマが警官の職務評価を左右するなどというのは、まったくナンセンスであると言っていいでしょう。

警察官僚の上層部には優秀な方々がたくさんいるのですから、今回の事件を機に、多くの警察署やそこに所属する警官に「目的」を履き違えさせている現状のノルマ主義を見直しし、本来の「目的」である違反件数減少に向けたあるべき警察関係者の行動指針を明確に規定しなおすべきであると考えます。

各メディアもぜひこの機会にこの問題を大きく取り上げて、国民生活を守るべき警察の日常行動の在り様を正しい方向へ導いて欲しいと思います。ちなみに、私的にはネズミ捕りに捕まったことはなく、なんら個人的な恨みつらみで申し上げているわけではありませんので、その点に誤解なきようお願いいたします。