日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

明日は参院選~候補者“ロジカル取捨法”

2010-07-10 | その他あれこれ
明日は参議院議員選挙の投票日です。確固たる支持政党のある方はともかく、そうでない方はどのようにして候補者あるいは政党を選択すべきなのか、商売道具のロジカル思考をキーワードにヒント提供を試みてみましょう。

まず政党判断。
(ポイント1)「理念」、「ビジョン」が明確であるか?
企業と同様に、何よりもまず政党がよって立つ「理念」が明確に示されているか否か。そしてその「理念」のもとに「ビジョン」すなわち、国民生活に関して「いつまでに何をめざす」かが明確に語られているか否か、その点は何よりも重要なポイントになります。それがあって初めて具体的な施策に落としこまれる訳です。企業戦略も同様なのですが、やみくもに目先の戦術ばかりを並べても、それは単なる“モグラ叩き”にすぎない訳で、重要なのはそれを根底で支える「理念」と中期的に観点で目標となりうる「ビジョン」なのです。小手先でうまいことばかりを言う政党は、結局“その場限り”“選挙限りの”公約を並べているにすぎません。“底支え”がどうなっているかしっかり見極めたいものです。

(ポイント2)公約事項が論理的に納得性の高い話であるか否か?
ここ最近の我が国の選挙は、財政破綻寸前の国の懐具合が大きな問題になっていることもあり、掲げた公約が財政的観点に照らして本当に実現可能なことであるのかまたそれによる弊害は出ないか等、論理的な裏付が重要視されるようになってきました。大変良いことであると思います。特定の政党の批判を申し上げるつもりは毛頭ありませんが、明確な財政的論拠のない施策などは言ってみれば“バラマキ政策”にすぎす、今の日本の財政状況等を鑑みれば目先はともかく結果的に自国の首を絞めることになる訳です。「うまい話には裏がある」とは昔からよく聞く言葉ですが、選挙公約の「うまい話」は必ずその根拠としての“裏”を確認することが大切です。

(ポイント3)他政党批判がメインになっていないか?
近代政治における政党政治を根底で支えるべきものは「政策論争」です。例え野党であっても、その主張が与党批判に終始するような論調がメインになっているとしたら、すでのその段階で「政策論争」からは脱落している、すなわち政党政治の基本を忘れている政党であると言わざるをえません。仮に与党の政策批判をするとしても、それならば自党はどうしたらよいと考えるのか、代替案の提示がなされているか否かをしっかりと見極める必要があります。今回特に消費税の引き上げ論争が争点になっていますが、単なる与党批判に終わらせず中長期的な税財政政策として我が国の財政をどうしたら再建できるのかに関して、どれだけ真剣な政策論争を投げかけているか、その点も政党評価としては重要なポイントであるように思われます。

次に個人候補。
(現職候補チェックポイント)6年前の公約は、何が出来て何が出来なかったのかの「レビュー」がされているか?
あまりできている人はいないのですが、本来求められるものは、「6年前にどうような公約を掲げ、それがどこまで実現できたのかの明示」が実は一番大切な判断材料である訳です。これを少しでも具体的に示している候補者は、有言実行を旨とする透明性の高い候補者であると思います。欲を言えばさらに、「公約してできなかったことは6年の間のどのような事態の変化があってのものなのか」という未実行理由の明示と、「代わりに何を重視し何を実現してきたのか」とい筋道の通った代替活動説明ができているか否かが大切であると思います。「○○を何回やりました」「××人の人たちと対話をしました」等、回数を羅列してそれを成果であるかの如く表明する人がいますが、それは「芽」や「枝葉」に過ぎず、「実」はどのようになったのか、具体性をもって語られているかその点は大変重要であると思います。

(新人候補チェックポイント)どこに「問題」を感じて、何をするために立候補したのかが明確であるか?
新人の立候補にはその動機たる「問題意識」があるはずです。個人として何を「問題」に感じてなぜその政党から立候補したのか、まずはその点明確に申し述べているか否かが大切であると思います。その上で、所属政党の公約とは別にその政党の考え方に立脚して、具体的に何をし掲げた「問題」に対して「解決」をはかろうとしているのかが論理的に組み立てられているか、を確認する必要があろうかと思います(この点は現職候補も同様のチェックができます)。大した志もなく、ただ単に国会議員になりたい、政党から声がかりがあったので立候補したというような、政治家としての使命感が希薄な候補者は所属政党の善し悪しでなく、真っ先に壇上から排除する必要があると思います。

以上、理想論的に勝手なことを書き連ねましたが、政党間の主義主張が似通ってきた昨今の投票時の判断材料としてご参考になれば幸いです。いずれにしましても、明日は投票に出向き国民の権利である一票を必ず投じましょう。