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静聴雨読

歴史文化を読み解く

プロ棋士対将棋ソフト

2012-02-10 07:09:29 | 将棋二段、やりくり算段

 

114日に、プロ棋士の米長邦雄(永世棋聖)対コンピューター・将棋ソフト「ボンクラーズ」との対局が行われ、「ボンクラーズ」が勝利した。将棋ソフトがここまで強くなったかという驚きが広まる一方、この対局について様々な論評が現われた。それをここで整理してみよう。

 

実は、この対局の2年半前に、渡辺 明竜王対コンピューター・将棋ソフト「ボナンザ」との対局が行われ、渡辺竜王が勝ったものの、将棋ソフトの実力向上に多くの人が目を見張ったものである。

 

その1年後、つまり、今から1年半前に、清水市代女流王将(当時)とコンピューター・将棋ソフト「あから」との対局が行われ、「あから」が勝利した。その時、業界すずめが様々に論評した。「コンピューター・将棋ソフトは年々進歩している。プロセッサの集積度が増し、将棋アルゴリズムにも改良が加えられている。1年前、渡辺竜王が手こずったコンピューター・将棋ソフトに対して、女流棋士が相手になるというのは『手合い違い』だろう。」というのが最も厳しい見方だった。実際、「ボナンザ」も「あから」もその時点で最も強いコンピューター・将棋ソフトだった。

 

清水さんはなぜコンピューター・将棋ソフトとの対局を引き受けたのか? 4つほどの理由の候補がある。

1 女流棋士の強さを見せつけてやる。

2 男性棋士が苦戦するのは見るに忍びないので、防波堤になろう。

3 コンピューター・将棋ソフトからいいところを吸収したい。

4 「銭ゲバ」

 

どの理由かはわからない。しかし、コンピューター・将棋ソフトに完敗した後も、清水さんの将棋は崩れることなく、対女流棋士戦で高い勝率を残し続けているのは敬服に値する。

 

さて、今回、コンピューター・将棋ソフトとの対局に登場したのは、現役を引退して永い米長さんだった。この人選に多くの人が疑問を抱いた。1年半前、清水女流王将を退けたコンピューター・将棋ソフトに立ち向かう(おや、いつのまにか主客逆転の表現になってしまった)には、少なくとも現役の男性棋士でなければ無理ではないか? これは、もっともな意見だ。

 

米長さんはなぜコンピューター・将棋ソフトとの対局を引き受けたのか? やはり、5つほどの理由が考えられる。

1 引退棋士といえどもプロ棋士の強いところを見せつけてやる。

2 現役の男性棋士が苦戦するのは見るに忍びないので、防波堤になろう。

3 コンピューター・将棋ソフトからいいところを吸収したい。

4 目立ちたい。

5 「銭ゲバ」。

 

どの理由か推測するのは控えよう。しかし、対局1ヶ月後に、米長さんが『われ敗れたり』という本を出版すると聞いて、やはりそうか、と思う。

 

さて、コンピューター・将棋ソフトとプロ棋士が対戦することの「正当性」というか意義というかは何なのだろう。普通に考えれば、「コンピューター・将棋ソフトはどこまで強くなったのか」を測るという点に意義を見出す人が多いだろう。その意味では、引退棋士が相手として出てきても、もはや意味ない。

 

また、米長さんは、2手目に「6二玉」と指した奇手について、「コンピューター・将棋ソフトに『勝つ』ためには最良の指し手だという結論になった。」という。

それほど、コンピューター・将棋ソフトに勝ちたいのですか? その手は対プロ棋士に通用するのですか? 人智を尽くして、コンピューター・将棋ソフトに立ち向かう方法は取れなかったのですか? このような疑問を米長さんに手向けるのは酷だろうか?  (2012/2

 



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