フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

5月25日(木) 曇り

2017-05-26 12:03:59 | Weblog

8時半、起床。

シュールな夢を見た。10歳くらい年下の女性からずっと「大久保君」「大久保君」と呼ばれ続け、「おかしいな。この人は何で私のこと君付けで呼ぶのだろう」と違和感を感じながらおしゃべりを続けるという夢だった。目が覚めて、夢だとわかり、ホッとした。

トースト、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

お昼に自宅を出て、大学へ。

今日は曇り日。梅雨の足音が聞こえてくる。

3限は大学院の演習。

演習を終えてからの昼食はおにぎり3個。

5限は講義「日常生活の社会学」。

6限にMMさんのゼミ論指導。差し入れていただいたのはコンフィチュールの入ったダッグワース(メレンゲの焼き菓子)。

8時半、帰宅。

夕食はオムライス。冷蔵庫の冷や飯が一定の量を越えるとオムライスに進化して(?)登場する。

私が食事をしている間に、ナツが書斎の窓から入ってきて(妻が窓を開けて)、私の椅子の上で寝ている。

どいていただきましょうか。とはいっても、私の膝の上に移動するということですが。

アマゾンに注文していた別役実の戯曲集3冊(中古本)が届いた。先日観た「門」は第二戯曲週『不思議の国のアリス』に収められている。

さっそく「問題の箇所」を確認した。それは劇中で登場人物が歌う歌である。先日の公演では由紀さおりの『夜明けのスキャット』が使われていたが、1969年の曲で、『門』の初演は1966年(早稲田小劇場)であるから、原作では別の曲であったはずである。それは「靴ミガキをする門番」のリクエストに応えて「欠勤中の公務員」が歌う歌で、「自由を愛する松葉づえの女」が歌の途中から舞台に登場するのだ。

 靴ミガキ「歌ってくれないか。」

 公務員「うん、どんなのを。」

 靴ミガキ「哀しい・・・」

 公務員「涙の出るヤツ。」

 靴ミガキ「うん。」

 公務員(歌う、ものうい陰ウツなメロディー)

  「夜のシマネコ、マダラの尻尾、お月様を食べる。良く噛んで食べる。

   夜のシマネコ、マダラの尻尾。みんな眠ってしまった。お人形さんを抱いて。

   夜のシマネコ、マダラの尻尾、お前さんを食べる。良く噛んで食べる。」

 歌の途中から、ゆっくりと静かに松葉杖の女出てくる。シンと立っている。靴ミガキは眠る。

 女「その歌を聞いたことがあります。いつか母が歌っていました。」

これがその「問題の箇所」である。「夜のシマネコ・・・」という歌は聞いたことがない。当時のアンダーグラウンドのフォーク歌手(たとえば浅川マキとか)が歌いそうな歌詞であるけれど、たぶん別役の創作だろう。だから楽譜はない。これを上演するときは自前で曲を付ける必要がある。薄気味の悪い童謡のような曲になるだろう。しかし、先日の公演では『夜明けのスキャット』で代替されていた。これは明らかに選曲ミスである。それは「ものうい陰ウツなメロディー」とは程遠い清冽なメロディーである。小林龍二が「ルルルル」とスキャットを始めたとき、私はガクッとしてしまった。それまでの台詞回しが見事だっただけに、スキャットの稚拙さが際立ってしまった。せめてハミングでごまかすべきだったろう。「ルルルル」ではキタキツネを呼んでいるみたいである。

もし「門」を再演するときがあれば、「夜のシマネコ」にちゃんと「ものうい陰ウツなメロディー」を付けてやってほしい。そして小林龍二には歌唱の練習をしっかりやってほしい。