7時半、起床。
今日から風薫る5月だ。
トースト、サラダ(炒り卵)、紅茶の朝食。
8時40分に自宅を出て、品川発9時17分の新幹線「のぞみ」に乗って、妻と娘と三人、息子のいる名古屋へと向かう。
久しぶりの家族4人そろっての旅行になる。「家族旅行」ということ自体が今回の旅行の一番の意味で、「名古屋」というのは二次的な意味しかない。なのでガイドブックを頼りに名古屋での過ごし方を考える。
この「ことりっぷ」シリーズはコンパクトサイズで、写真もきれいなので、私が愛好しているものだが、娘に言わせると「女子向け」のものだそうである。
10時48分、名古屋着。改札口(北口)で待っていた息子と合流。観光案内所で街歩きのマップをもらう(これはどこへ行った場合も私が必ずすることで、東京で売っているどんなガイドブックの地図よりも役に立つ)。
先ずは腹ごしらえ。駅地下(エスカ)にある『備長』でひつまぶしを食べることにする。11時開店なので、ちょうどよいタイミングだった。
ひつまぶし(上)を注文(吸い物は肝吸いに変更)。
食べ方についての指南書がある。
一膳目 そのまま食べる
二膳目 薬味(さらしネギとワサビ)をのせて食べる
三膳目 薬味と海苔をのせて出汁をかけて食べる。
一膳目 そのまま食べる。パリッとしていて香ばしい(あとからのお茶漬けのことを考えての焼き方だと思う)。
(二膳目の写真は撮り忘れた)私見では、二膳目は過渡的な段階で、省略してもかまわないと思う。
三膳目 うな茶漬けで食べる。うまい。もっと鰻を残しておくべきだったとちょっと後悔する。
地下鉄東山線で隣の伏見町に行って、ホテル(リッチモンドホテル納屋町)に荷物を預ける。
腹ごなしをかねて街歩き。今日は月曜日なので美術館その他の施設はお休みのところが多いので、必然的にアウトドアな過ごし方になるだろう。
大須観音(およびその周辺のアーケード街)を目指して歩く。
途中にあった洲崎神社。ビル街の中にある縁結びで有名な神社である。お参りしたのは私だけで他の3人は外で待っていた。散歩というのは目的地に一目散で歩くものではない。それはたんなる歩行であって、散歩ではない。散歩の目的地というのはあくまでも仮のものであって、キョロキョロしながら(好奇心を解き放して)、道草を楽しむのが散歩というものである。ただ、連れがいると、好奇心には個人差があるから、自分の思いのままというわけにはいかなくなる。家族旅行は一人旅とは異なる原理によって動くものである。
これも途中で立ち寄った場所の1つ、白川公園。
ここには全員が立ち入った。
名古屋は公園の多い(公園の占める面積の広い)都市である、ということがこの後おいおいわかってくる。ロンドンに似ている。
大須観音に到着。
観光スポットだけあって、旅行客が多い。外国からの観光客が多い。
鳩も多い。
大須観音を散歩の目的地にしたのは、もし雨が降って来ても、アーケードの商店街が充実しているから困ることはないだろうと考えてのことである。
アーケードは一本ではなく、何本かのアーケードが縦横に配置されていて、大須の商店街は線としてではなく面として広がっている。
アルパカの縫いぐるみに引き寄せられるように立ち止まる。
「かわいい。でも、高い。」ということで家族全員の意見が一致した。
招き猫のいる広場。
金運ということにはそれほど関心がない。
カフェで一服することにする。
落ち着いたインテリアのカフェである。
私も娘もクリームソーダを注文したはずだが、私は赤いソーダで、娘はメロンソーダで出てきた。不思議な現象を見る思いだったが、たぶん原因は注文のプロセスにあったと思われる。私はメニューを見て「ソーダフロート」を注文したが、娘は「メロンソーダ」を注文してから、私の注文を聞いて、「フロートにして下さい」と注文を修正したのだった。つまりクリームソーダ(ソーダフロート)は赤がデフォルトであるということだ。東京でもそういう店はたまにある。いまはなき文キャンそばの「フェニックス」がそうだった。
サービスで出てきたこの金貨型のチョコレート。「サービス」でしかもしれが「金貨」であるというところに名古屋らしさを感じた。
地下鉄で次の目的地に移動。
名古屋観光でははやり名古屋城は外せまい。
築城の陣頭指揮にあたった加藤清正の像。
お堀には水は張っていない。
石垣の間を進む。
私は石垣が好きだ。デザインとして美しく(抽象画のようだ)、かつ、人間の叡智を感じさせる。石を積みやすい形に加工し、隙間には間詰め石を詰め込み、表面を平らに整えている。16世紀末から普及した打込接(うちこみはぎ)という技法である。
コーナーは長方形の石の長辺と短辺を一段ずつ互い違いに積むことで強度を高める算木積(さんぎづみ)の技法が使われている。
本丸御殿を見学する。名古屋城は戦中に焼失したが、21世紀に入ってから復元された。新しい木材が使われているので、ありがたみには乏しいが、オリジナルも完成当時はこんなふうに綺麗であったち違いない。
襖絵や壁画も焼失前のものを模して描かれている。
全体として住宅展示場を見学しているような気分だった。
天守へ。
天守はコンクリートで再建したもの(現在、木造で復元する計画が進行中)。
内部にはさまざまな展示があり、お城の形をした博物館という趣がある。
やはり石垣が一番いい。
美しく反った扇公配(おうぎこうばい)は清正得意の技法であった。
敷地の奥に焼失を免れた西北隅櫓(重要文化財)があるというので見に行く。
これか!立派な隅櫓だ。
清州城の天守を移築したと伝えられているそうだ。なるほど。
いい雰囲気だ。やっぱりこうでないとね。
外を望む。
見学を終えて。
名古屋城を後にする。
名城公園を歩く。
新緑が美しい。
ときどき遊ぶ。
西日が長く射している。
広場に出る。
小高い場所に登る。
そろそろ疲れて来たし、お腹も空いて来た。
栄町に出る。名古屋の繁華街の中心だ。
西島秀俊に見つめられる。
「山本屋総本店」に到着。
味噌煮込みうどんを注文。
グツグツとして食欲をそそられる。
唐辛子はこの大きな竹筒に入っている。
味噌煮込みうどんは大変に美味しかった。満足して店を出る。
息子は自分のアパートに戻る。私たち3人はホテルへ。
名古屋旅行の一日目はこうした終わった(娘は夜更けに目が覚めて、一人飲みに出かけたそうである)。