フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

5月5日(土) 晴れ

2012-05-06 02:39:04 | Weblog

  8時半、起床。

  GWも残すところ今日明日の2日間となった。最初と最後がいい晴天(途中は雨)というのはなんだかキセルのようだ。卵焼き、苺ジャム、トースト、牛乳の朝食。

  午後、散歩に出る。昼食は何を食べようと考えて、冷麺にしようと決める。季節ものとしては冷やし中華もいいが、それほど美味しいというわけではない。バーボンストリートにある「平壌冷麺食道園」に入る。幟に「盛岡冷麺」とあるので、平壌冷麺とどっちにしようと考えながら店内に入ると、メニューには平壌冷麺しかない。「盛岡冷麺はやってないの?」と店員さんに尋ねたら、「平壌冷麺」と「盛岡冷麺」は同じものとのこと。そうなのか、知らなかった。(後からネットで調べたら、盛岡冷麺は1954年に在日一世の青木輝人という人が盛岡で「食道園」という小さな店を開業し、そこで「平壌冷麺」として出したのが始まりとあった。季節の果物(リンゴ)とキムチ(カクテキ)が入っているのが特徴。本場の平壌冷麺は蕎麦粉が入っているが、盛岡冷麺はジャガイモのでんぷんが中心で、それゆえ透明感があり、コシもある。辛さは中辛を注文したが、マイルドな辛さだった。美味しい。娘なら大辛だろう。

  駅前広場で何かの催しをやっていて、商店街を着ぐるみが歩いていた。このCG全盛時代にアナクロニズムな雰囲気が漂っているが、小さな子供たちにはまだまだ人気がある。ディズニーランドの着ぐるみたちも人気があるからな。

  食後のコーヒーは「シャノアール」で日誌を付けながら。例の巻紙に何かを書いている老人がいた。店を出るタイミングが一緒だったので、「失礼ですが・・・」と呼び止めて、一体何を書いているのか聞きたい気がしたが、呼び止められなかった。自分史とか「〇〇家の歴史」みたいなものだろうか。遺言とかってこともあるかもしれない。

  昨日に続いてジムへ。昨日と同じクロストレーナーで有酸素運動を50分。ただし足に張りが残っているので、負荷は昨日より少し軽くする。10キロちょっとを歩き、570キロカロリー(ちらし寿司相当)を消費する。

  ジムを出て、コンビニでガリガリ君を買い求め、店先で頬張る。今年もガリガリ君の季節がやってきた。

  有隣堂で新書を4冊購入。「ルノアール」で読む。

    芹沢俊介『家族という意志―よるべなき時代を生きる』(岩波新書)

    牛窪恵『「エコ恋愛」婚の時代 リスクを避ける男と女』(光文社新書)

    三浦展『下流社会第3章 オヤジ系女子の時代』(光文社新書)

    小島慶子『気の持ちようの幸福論』(集英社新書)

  7時になったので、駅前で妻と待ち合わせて、「洋麺屋五右衛門」で夕食をとる。小海老と空豆とトマトのクリームソースのスパゲッティを注文。『1Q84』の主人公(の一人)、青豆雅美のことを思い出す。

  「名前を名乗るのがいつもおっくうだった。自分の名前を口にするたびに、相手は不思議そうな目で、あるいは戸惑った目で彼女の顔を見た。青豆さん? そうです。青い豆と書いて、アオマメです。会社に勤めているときは名刺をもたなくてはならなかったので、そのぶん煩わしいことが多かった。名刺を渡すと相手はそれをしばし凝視した。まるで出し抜けに不幸の手紙でも渡されたみたいに。電話口で名前を告げると、くすくす笑われることもあった。役所や病院の待合室で名前を呼ばれると、人々は頭を上げて彼女を見た。「青豆」なんていう名前のついて人間はいったいどんな顔をしているんだろうと。   
  ときどき間違えて「枝豆さん」と呼ぶ人もいた。「空豆さん」といわれることもある。そのたびに「いいえ、枝豆(空豆)ではなく、青豆です。まあ似たようなものですが」と言う。三十年間の人生でいったい何度、同じ台詞を聞かされただろう、どれだけこの名前のことで、みんなにつまらない冗談を言われただろう。こんな姓に生まれていなかったら、私の人生は今とは違うかたちをとっていたかもしれない。たとえば佐藤だとか、田中だとか、鈴木だとか、そんなありふれた名前だったら、私はもう少しリラックスした人生を送り、もう少し寛容な目で世間を眺めていたかもしれない。」(Book1 pp.13-14)
 
  『1Q84』のもう一人の主人公は川奈天吾である。小説の中で、女は青豆と姓で呼ばれ、男は天吾と下の名で呼ばれる。通常のジェンダー規則とは違っている。確かに雅美と川奈ではしっくりこない(リアリズムの小説みたいだ)。やはり青豆と天吾ではなくてはならないのはわかるが、問題は、なぜそういう名前にしたのかということだ。こういう呼称の組み合わせの小説は他にあるだろうか?

   食事の後、妻に付き合って再び有隣堂へ。料理本のコーナーを見ていたら、男子用の料理本がブームであることに気がつく。料理のできる男子の株が上がっているらしい。検見崎聡美『いちばんやさしい基本のおかず』(成美堂出版)という本を購入。