8時半、起床。ハム、レタス、トースト、紅茶の朝食。10時ちょっと前に家を出る。この「ちょっと前」というのが幸いした。駅まで行って、定期券(スイカ)を忘れたことに気づいたのである。ギリギリに家を出ていたら、泣く泣く乗車券を買わねばならないところだったが、時間に余裕があったので、定期券を取りに家に戻った。世の中に定期券をもっている区間の乗車券を購入することほどばからしいことはないから。早起きは三文の徳。早出は420円の得。
11時から文化構想学部主任懇談会。11時半から文学学術院合同の主任会。昼食は「たかはし」の刺身定食。教授会が始まるまでの時間、教員ロビーで講義要項の校正(再校)をしていたら、英文学の小田島恒志先生が備え付けの新聞を広げて熱心に読んでいらしたので、何の記事かと思ったら、讀賣演劇大賞(第16回)の発表の記事だった。小田島先生はその選考委員の一人で、最優秀女優賞(「人形の家」の宮沢りえ)の審査評を書いている。「宮沢りえのノラは観客の期待を、いや、それどころか近代リアリズム演劇の祖とも言うべきこの戯曲の力をも超えていた。戯曲の求めるリアリズム以上にリアルだったのだ。」「4年前に受賞した『透明人間の蒸気(ゆげ)』ですでにその「うまさ」は高く評価されていたが、もはや「うまい」などという言い方は失礼になるだろう。」絶賛といっていい内容である。私が彼女の演技をTVで観たのは、『北の国から2002遺言』が最後だが(お茶のCMを別にすれば)、そうか、知らないうちにこんな本格派の女優になっていたのか。大賞・最優秀作品賞の『焼肉ドラゴン』は、日韓合同公演で話題となった舞台だが、それがいかに感動的な作品であるかを小田島先生からうかがえたことは今日の一番の収穫であった。DVD化はされていないが、再演の話があるそうなので、そのときは是非観てみたい。小田島先生は昨年、150本ほどの演劇を観られたそうだが、しかし、それは入試担当の教務主任(昨年9月まで)の仕事の合間をぬってのもので、普段は年間200本は観るそうである。それだけの数をこなすということは、全部が全部、観たい作品というわけではないだろう。その点をうかがうと、「実際、開演してすぐに、なんで観に来たんだろう、と後悔が始まる場合もあります」とのことだった。何事も、趣味の領域を越えて仕事ということになると、大変である。ちなみにお父様の小田島雄志氏は年間365本は観ているそうである。
教授会の間に講義要項の校正作業を終らせ(現代人間論系のもの全部!)、書類を事務所に戻す。とにかくいまの時期は雑用を溜めないことが肝心である。できる限りその場で(その日のうちに)終らせること。
教授会が思っていたより早く終ったので、帰宅の途中で、床屋に寄る。散髪をしてもらいながら、北海道出身のマスターと『北の国から』や『風のガーデン』の話をする。その後、蒲田駅のみどりの窓口で金沢旅行の切符を購入。4泊5日にすることにした。5日間のうち、初日と最終日は移動の日である。東京と金沢は新幹線と特急を乗り継いで4時間の道のりなので、一番の楽しみは車中での読書である。ときおり窓外の景色をながめながらの読書は格別だ。間の3日間は、朝から晩まで、金沢的生活を満喫する。3泊4日ではこれが2日間しかない。3日間と2日間の決定的な違いは、真ん中の1日の有無にある。その1日は旅の前半にも後半にも属さない。越し方を振り返り、行く末を考える、峠の茶屋のような1日である。そういう落ち着いた1日をもてることが4泊5日の旅行の美徳である。
11時から文化構想学部主任懇談会。11時半から文学学術院合同の主任会。昼食は「たかはし」の刺身定食。教授会が始まるまでの時間、教員ロビーで講義要項の校正(再校)をしていたら、英文学の小田島恒志先生が備え付けの新聞を広げて熱心に読んでいらしたので、何の記事かと思ったら、讀賣演劇大賞(第16回)の発表の記事だった。小田島先生はその選考委員の一人で、最優秀女優賞(「人形の家」の宮沢りえ)の審査評を書いている。「宮沢りえのノラは観客の期待を、いや、それどころか近代リアリズム演劇の祖とも言うべきこの戯曲の力をも超えていた。戯曲の求めるリアリズム以上にリアルだったのだ。」「4年前に受賞した『透明人間の蒸気(ゆげ)』ですでにその「うまさ」は高く評価されていたが、もはや「うまい」などという言い方は失礼になるだろう。」絶賛といっていい内容である。私が彼女の演技をTVで観たのは、『北の国から2002遺言』が最後だが(お茶のCMを別にすれば)、そうか、知らないうちにこんな本格派の女優になっていたのか。大賞・最優秀作品賞の『焼肉ドラゴン』は、日韓合同公演で話題となった舞台だが、それがいかに感動的な作品であるかを小田島先生からうかがえたことは今日の一番の収穫であった。DVD化はされていないが、再演の話があるそうなので、そのときは是非観てみたい。小田島先生は昨年、150本ほどの演劇を観られたそうだが、しかし、それは入試担当の教務主任(昨年9月まで)の仕事の合間をぬってのもので、普段は年間200本は観るそうである。それだけの数をこなすということは、全部が全部、観たい作品というわけではないだろう。その点をうかがうと、「実際、開演してすぐに、なんで観に来たんだろう、と後悔が始まる場合もあります」とのことだった。何事も、趣味の領域を越えて仕事ということになると、大変である。ちなみにお父様の小田島雄志氏は年間365本は観ているそうである。
教授会の間に講義要項の校正作業を終らせ(現代人間論系のもの全部!)、書類を事務所に戻す。とにかくいまの時期は雑用を溜めないことが肝心である。できる限りその場で(その日のうちに)終らせること。
教授会が思っていたより早く終ったので、帰宅の途中で、床屋に寄る。散髪をしてもらいながら、北海道出身のマスターと『北の国から』や『風のガーデン』の話をする。その後、蒲田駅のみどりの窓口で金沢旅行の切符を購入。4泊5日にすることにした。5日間のうち、初日と最終日は移動の日である。東京と金沢は新幹線と特急を乗り継いで4時間の道のりなので、一番の楽しみは車中での読書である。ときおり窓外の景色をながめながらの読書は格別だ。間の3日間は、朝から晩まで、金沢的生活を満喫する。3泊4日ではこれが2日間しかない。3日間と2日間の決定的な違いは、真ん中の1日の有無にある。その1日は旅の前半にも後半にも属さない。越し方を振り返り、行く末を考える、峠の茶屋のような1日である。そういう落ち着いた1日をもてることが4泊5日の旅行の美徳である。