presented by hanamura ginza
新年はじめてのブログになります。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
まだまだ真冬の寒さが続きますが、
暦の上では初春を迎えました。
つい最近まで、お正月の華やかな飾りに彩られていた街も、
春らしい、やさしげな色を取り入れた飾りへと衣替えしています。
不思議なもので、街を歩いていても、
淡い春色の装いが目にとまるようになってきました。
春夏秋冬と、四季折々の変化に富む日本では、
古代より四季の移ろいを敏感に感じとり、
衣服などにそういった四季をあらわす工夫をしてきました。
その中でも、和の装いであるお着物は、
もっとも四季が反映されたものといえるでしょう。
日本では、四季の風物はもちろんのこと、
自然が織りなす色彩をも着物に写し取り、
身にまとってきました。
こうしたお着物の意匠に用いられる色には、
日本独自のものがあり、「和の伝統色」とよばれています。
伝統色には、身近にある草木や生き物などからとられた名前が付けられ、
名前を聞くだけでも、日本ならではの繊細な美意識に触れるようです。
今日は、その伝統色のうちのひとつである
春らしくやさしい色目の「紅梅色(こうばいいろ)」についてお話しましょう。
紅梅色とは、文字通り紅梅の花弁の色に似た色で、
わずかに紫色を含んだ紅色のことを指します。
染色では、この紅梅色を出すために
まず淡い藍色で染めたあとに、
紅花の色素を用いて紅色に染めます。
紅梅色という名前がつく色は
「濃紅梅色(こきこうばいいろ)」「中紅梅色(なかこうばいいろ)」「淡紅梅色(うすこうばいいろ)」
の 3 つがあり、紅色の濃さによって区別します。
名前の由来となった梅は、古来より親しまれてきました。
日本には奈良時代より前に中国からもたらされ、
当時の貴族たちは、競うように自分の屋敷の庭に植えて
その姿形を愛でました。
また梅はほかの花よりも先駆けて咲くことから吉祥の花ともよばれ、
とても縁起の良いものともされていました。
そのため紅梅色は、平安時代の貴族たちにとって、
たいへん人気の高い色でした。
とくに濃紅梅色は当時「今様色(いまよういろ)」ともよばれましたが、
この「今様」とは「今」「流行」という意味合いで、
つまり濃紅梅色=流行色だったということがわかります。
「源氏物語」や「枕草子」などの当時あらわされた物語には、
紅梅色がたびたび登場し、平安時代の雅な文化をあらわす色ともなっています。
「淡紅梅色(うすこうばいいろ)」は、
清少納言が枕草子で中宮さまの差し出した手の美しさを、
淡紅梅色のようだと称えています。
上の写真のお着物は、薄紅梅色に染められた紬地に
異国風の草花があらわされたお着物です。
やさしく、清楚な女性らしい色合いに
草花の意匠が品の良い華やかさを添えています。
清少納言は紅梅色について、
女性が身にまとう表の着物の色として薦めていますが、
その一方、見飽きする色だとも記しています。
当時の紅梅色の人気が窺えますね。
紅梅色は、早春(12月~2月)の着物の色とされています。
春を告げるように咲く梅の美しい色合いを身にまとい、
新春の慶びをあらわしたいものですね。
※上の写真の淡紅梅色地に花文様の染め紬 袷は花邑銀座店でご紹介している商品です。
花邑のブログ、「花邑の帯あそび」次回の更新は1月19日(木)予定です。
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