果たして日本は空母を保有すべきなのか。
マスコミも含めて勘違いしている人が多いが、2024年現在日本は空母を持っていない。改装された加賀と出雲は、短距離離発着が可能なF35Bの搭載を前提とした軽空母である。如何に排水量が大きかろうが、決して空母ではない。なぜならカタパルトという航空機の強制発射装置を持たないからだ。
このカタパルトがないと、ミサイルや爆弾を搭載した戦闘機を離陸させることは出来ない。F35Bは垂直の離発着が可能な戦闘機だが、爆弾等を搭載しては垂直発進が出来ない。なぜなら燃料を多大に消費するからだ。だから軽空母はスキージャンプ型式での発艦方式を使う。もっとも日本の加賀も出雲もスキージャンプ方式ではなく、斜め上に発艦させるが、これはF35Bが短距離発着が可能な機体であるからだ。
ちなみにアメリカの空母は空母搭載用としてF35C戦闘機を使っており、やはりカタパルトで飛ばして運用している。着陸は従来通りワイヤーに引っ掛けての短距離着艦である。この方式は半世紀変わりはない。
本格的に空母を運用するには、戦闘機以外に早期警戒管制機が必要になる。これは空母からレーダーを発射してしまうと、空母自体の位置を割り出されてしまう。それを避けるため早期警戒管制機を飛ばして、空母から離れた位置からレーダーを使い敵機及び敵施設を探索する。
アメリカが世界最強の軍事国家として君臨できたのも、この海上のどこにいるのか分からない空母から戦闘機を出撃させることが出来たからだ。カタパルトを装備していない軽空母では、重い武器を搭載した攻撃機を発着できない。もちろん重く大きい早期警戒管制機もカタパルトなしでは出撃できない。
つまり現状、日本は空母を持たない。あくまで軽空母による哨戒活動及び敵戦力牽制手段としての戦力しか持てていない。例によって軍事音痴の日本のマスコミ様は、このあたりの区別がなく、ただ徒に空母だ、空母だと騒ぐだけである。
率直に言って私は日本の国防に本格的な空母は不要だと思っている。空母を建造するくらいならば、太平洋上にある島嶼に空港を複数建築して、平常時は民間あるいは救急用として活用し、比較的短距離離発着が可能な戦闘機(F16やF2)を非常時に配置すれば十分だと考えている。
だが、今回の軽空母建築は、ほぼ間違いなくアメリカの意向に沿うものだ。シナを戦略上の敵と見定めたアメリカが、偵察哨戒任務に日本を活用させるつもりなのだと思う。なによりもF35はネットワーク機能を持ち、日本のF35が入手したデータは、容易にアメリカ軍のネットワークにつながると思う。このあたり非公開情報なので確信はないが、ほぼ確定だと考えています。
いずれにせよ原子力空母を持たない日本には、大型の空母は不適切だ。アメリカ以外の世界の海軍が運用に失敗した蒸気型カタパルトは日本ならば製造できるはず。しかし蒸気式カタパルトは大出力のエンジンを必要とする。ガスタービンエンジンでは効率が悪いし、ディーゼルエンジンでも厳しい。ちなみに日本のイージス艦などは、ガスタービンとディーゼルエンジンの両方を備えたハイブリッドタイプなのだが、蒸気式カタパルトには足りないと思う。
では電気を使う電磁式カタパルトはどうかというと、実は未だ開発途上である。世界初の電磁カタパルトを装備した空母は、アメリカのジェラルドフォードなのだが、未だ完全に運用が出来ていない。軍事上の機密情報なので不確かではあるが、陸上での実験で上手くいっても潮風に吹かれる海上では電磁カタパルトが上手く機能できていないと聞いている。
ところで電磁カタパルトとは、要はリニアモーターカーと同じ原理でもある。既に陸上でリニアモーターカーを実際に運用している共産シナは、電磁カタパルトを三番手の空母・福建に搭載している。ちなみにディーゼルエンジンを4基搭載している。そして、やはり電磁カタパルトを上手く運用できずに苦労している。
アメリカとシナ、どちらが早く実用化に至るのかは不確定だが、莫大な開発コストがかかっているのは確かでしょう。先行するアメリカと言いたいところですが、次の米大統領の可能性が高いトランプは、金を食い過ぎだと次々とハイテク兵器の開発を中断させた実績がある。
繰り返しますがカタパルトを装備していない空母は張子の虎であり、重い武器を搭載できずに戦闘機を飛ばすことしか出来ない。しかし、案外とシナが上手くやる可能性も否定できないのが怖いところ。
更に怖いのは、日本がアメリカが断念したレールガン(電磁式艦載砲)の開発に成功しているらいいこと。原理は電磁式カタパルトと大差ないので、技術供用を言われそうで怖い。それも有償ではなく無償だろう。けっこう厚かましいのがアメリカなので、よほど上手に交渉しないとやられちまう可能性がある。
平和、平和と叫ぶのは自由ですけど、現実の日本はアメリカの補助戦力として利用されがちの現実を直視して欲しいですね。
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