ヌマンタの書斎

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アメリカ国債

2023-11-27 09:07:36 | 経済・金融・税制

私は基本的に投資に関する相談は受けない。

特に金融、株式、債券に関しては素人の域を出ない。自分がやらないので、実感がないし、国際情勢の影響を多大に受ける今の金融商品について、自信を持って語る自信がない。

だが歴史に関心が強いものとして無視できない金融商品がある。それがアメリカ国債だ。アメリカの財務省が発行した正式な国債であり、ドル紙幣と並び世界中に流通している。実際、アメリカ国債の利率が世界の金融市場に多大な影響を与えている。

これは、旧ソ連、現行ロシアには無理なことであったし、共産シナにも不可能なこと。やはり20世紀から今日まで世界の覇権国として君臨しただけのことはある。だからこそ注意を払わねばならない。

歴史を考えれば永遠の覇権国なんて存在しない。それはローマしかりであり、イスラム帝国、モンゴル帝国も同じである。アメリカはイギリスの元植民地であり、七つの海を制したイギリスの覇権を受け継いだと考えると、18世紀後半から21世紀の初頭まで続いている覇権国である。まだまだその覇権国としての地位を脅かす外敵は存在しない。

しかしながら、外敵による攻撃だけで滅んだ覇権国はない。多くの場合、国内の変化が混乱を産み、その混乱に乗じて攻めてきた外敵に滅ぼされるのが通例だ。そして覇権国の権威が地に落ちた場合、その周辺では大混乱が起こる。

アメリカも将来、その流れを踏襲することになると思うが、その危機感が希薄に思えてならない。その原因はかつての覇権国イギリスの失墜が穏やかにアメリカの覇権に繋がったからだと思う。覇権国の交替がこれほど円滑にいった例は滅多にない。だからこそ危機感が薄い。

アメリカから覇権国の座を奪う国がどこなのかは、正直分からない。分かっているのは歴史上の法則というか実例では、過去の覇権国の復活はあり得ないことだけ。ちなみに唯一の例外はオリエントを復興させたイスラム帝国だけ。これは宗教がらみなので特例だと思うが、一度没落した地域が復権した唯一の実例だ。

この観点からすると、南米、インド亜大陸、オセアニア、アフリカが有力候補であるとしか予想できない。いずれにせよ、北米大陸の復興は厳しいと思う。だからこそドルは危ないのだが、実は案外とドルは生き残る気がしている。

というのは、世界各地の後進国では、アメリカ・ドルが事実上の国際通貨として使われているからだ。ドルに代わる通貨が見当たらぬ限り、ドルは当分の間ある程度使われるのではないかと私は思う。まぁ偽造ドルも相当数出回ることも確かでしょうけどね。

しかしアメリカ国債となると、ちょっと扱いが違うと思う。大量に発行された債権ではあるが、庶民の生活に必要不可欠なものではない。だからアメリカ政府の失墜が、そのままアメリカ国債の暴落に直結し、文字通り紙切れと化す可能性が高いと思う。

ただアメリカは狡猾だ。財政的には巨大であっても危機的であるアメリカの国債が、今も資産価値を持つのは日本円が背後で支えているからだ。本来はポンドもその役割を担っていたはずなのだが、EU共々国力が逓減しつつある。

代わって共産シナがアメリカ国債を買い支えている皮肉な事態となっている。シナの元よりもアメリカのドルのほうが信頼できると、共産シナ政府自らが証明しているようなものだ。

賢しげに書いてきたが、少なくともあと10年はアメリカの覇権は続くはず。ただアメリカ国債の危険性は認識しておくべきだと思います。

実はもう一つの可能性もあるのですが、また別の機会に書きたいと思います。


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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2023-11-27 20:38:11
> 分かっているのは歴史上の法則というか実例では、過去の覇権国の復活はあり得ないことだけ。ちなみに唯一の例外はオリエントを復興させたイスラム帝国だけ。

"ローマ帝国" → "産業革命欧州"はどうでしょう!?
Unknown (ヌマンタ)
2023-11-29 13:00:35
Nさん、こんにちは。ローマ帝国を継承したとプロシアの歴史学者が唱えてますし、概念としては一応の理はあると思います。ただ古代ローマ帝国は地中海沿岸の国であり、大西洋東岸に花開いた近代西欧とは異なると私は認識しています。まぁあくまで地域視点ではありますが。

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