ヌマンタの書斎

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エヴァンゲリオンQ

2012-12-06 12:22:00 | 映画

まず最初に述べておくと、私にこの作品を評する資格はないと思います。


なぜなら、名高きこの作品はTV放映されたものがベースであり、私はまったくその番組を観ていないので、今回その後を描いた表題の映画を観ても、さっぱり分からなかったからです。

十代前半までは、人並みにアニメに関心をもっていました。しかしその商業主義の走り過ぎに嫌気がさして以降、TVアニメからは遠ざかってしまいました。それでも、ガンダムとエヴァンゲリオンの名前だけは、ずいぶんと耳にしていたものです。

今回、たまたま知人の子供がどうしても観たいと言い張ったのが表題の映画で、止む無く私が同伴して映画館に行く羽目になった次第。

はじめて観るエヴァであり、しかもTV放映後のエピソードのようなので、さっぱり分からなかった。

肝心のストーリーは理解できなかったのですが、そのアニメーションの表現力の複雑さには目を見張ったものです。ただ、あまりに先鋭的過ぎて、日本独特というか、孤立化するような技術の進歩ではないかと感じたもの事実です。

私は今年、子供向けのアニメーション映画を数本観てきたので、日本のアニメの特殊性には気が付いていました。iモードなどに代表されるように日本限定の特殊技術は、たしかに世界に先行していましたが、世界市場に通用せずに尻つぼみになってきた。

漫画及びアニメーションにおいて、日本は先頭を走るトップランナーだと思いますが、反面あまりに特殊化しすぎていて、いわゆる「ガラパゴス化」を引き起こしている。これは家電、PC、電気自動車などにも云えることですが、日本市場だけである程度採算が採れてしまうので、世界市場を前提にしない商品を作りがち。

これが日本経済の大きな欠点であることは、今や誰もが知る事実でしょう。国内市場が小さい故に、開発当初から世界で売ることを考える韓国企業に、日本企業が世界市場で負け続けるのも当然な気がします。

ところで、日本は漫画及びアニメーションにおいてもグローバル化を目指すべきなのでしょうか。

私は必ずしも世界市場を目指さなくとも良いと考えています。世界で受け入れられることを目指すと、どうしても平均的、標準的にならざるを得ず、逆に個性が喪われると思うのです。

私の子供の頃の愛読書に、世界童話集がありました。そこで私が読んだ物語には、アフリカの大地の匂いがするようなものから、ツンドラの凍った風が吹いてきそうな北欧のもの、緑のジャングルと川からの臭気が漂うようなお話など、実にヴァラエティに富んだものばかり。

私がよく知っていたヨーロッパのグリム童話やアンデルセン童話とは、まったく異なるストーリーであり、それはその大地に根差す固有の風土から生まれたものであることが、幼心にもよく分かるものでした。

みんな違う、違うんだ。違ってもイイんだ。幼き私の心に、世界各地の物語は多様な可能性を教えてくれました。よく日本人は無宗教だと云う人がいますが、私は多神教だと考えています。無宗教なら神を否定するはずですが、無神論者は滅多におらず、むしろ多様な神々、あるいは宗教の在り方を是認している人ばかり。

これは日本文化の特徴であり、現在の先進国ではきわめて珍しいものだと思うのです。多くの異なる価値観(神であり、宗教でもある)を許容する精神を持った日本は、世界化(グローバリズム)を目指すのではなく、敢えて孤立化を目指す部分があってもいいと思うからです。

もちろん、輸出を前提とした製品ならば、世界市場に通用する標準化が必要でしょう。でも、国内限定の商品があってもいい。日本でしか通用しないからといって、その文化的価値が落ちる訳ではないと思うのです。

いずれそう遠くない将来、欧米主導の文明は衰退し、次なる覇者に取って代わられるでしょう。もちろん、日本もその時には衰退しているでしょうが、案外と日本独特の文化は根強く生き残る気がするのです。

みなが皆、同じ答えを目指さなくてもいいと思います。そんな訳で私は相変わらず、ガンダムやエヴァには無関心でいます。でも、まあ、熱狂する人たちがいることだけは良く分かりましたよ。

だって、公開初日を過ぎていたにもかかわらず、熱狂の残り火は映画館に感じ取れましたから。まさか、コスプレして映画を観に来る人がいるとは・・・エヴァ恐るべしですね。

追記、本映画の前座として、スタジオ・ジブリ製作の実写版巨神兵による東京殲滅が観れます。あの「風の谷のナウシカ」で登場した巨神兵です。これはこれだけで、観る価値十分で、10分あまりの短さに物足りなさを感じたぐらい。詳しくはないのですが、あれを実写でやらかすとは・・・いったい幾らの経費と時間が費やされているのやら。おたくの巨匠として名高い庵野氏ならではでしょう。


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (セレンディピティ)
2012-12-06 13:11:50
こんにちは。
今、ごみつさんのところで巨神兵の記事を拝見したばかりです。^^

エヴァは息子も見に行ってましたが、すごい人気のようですね。
たしかにこの繊細なイラストは、日本のアニメならでは…と思います。
私がアメリカにいた頃は、ちょうど日本のアニメブームが始まったところでしたが
ャPモンは、最初からグローバル路線を目指していたのかな?という気がしました。
映像から日本語を排除して、背景も空想の国のように作っていましたし…
でも子どもたちはむしろ、日本語や日本という国に興味を持ったんですよね。
その後、日本のアニメをそのまま流したものの方が意外と人気が出たりしていました。
違う世界を見るのは、大人も子どもも好奇心をくすぐりますものね。
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Unknown (kinkacho)
2012-12-06 14:07:47
ヌマンタさん、こんにちは。
エヴァはストーリーがわからないので興味はないけど、巨神兵は見たいと熱烈に希望します。
なぜ二本立て?!
監督、実写にしたかったのはわかるけど、アニメはファースト・ガンダムで終わっている世代にも考慮を!
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Unknown (ごみつ)
2012-12-06 17:30:23
こんばんは。

私も昨日「エヴァQ」見てきましたが、おばさん一人でこの映画を見るのはなかなか勇気がいりました。(笑)
記事にしたらTBさせていただきますね。

私も成人してからはアニメはほとんど見てません。「ガンダム」も気になるのですが、もう機会がないんですよね、いまさら。
「エヴァンゲリオン」は同僚から勧められてテレビシリーズみたのですが、けっこう変わった作品なんですよ。

主人公(シンジ君)がヘタレのままこれほど成長しない物語も珍しいですよ。(笑)
逆にそこが若い人たちのハートを掴んでいる理由だとも思います。

一応押さえておくべき背景としては、エヴァはあれ機械じゃないんですよ、有機体なの。乗ってる人間とシンクロして操縦するんですけど、そのせいか若い子じゃないとシンクロできないの。

で、時々エヴァが覚醒しちゃうんですよ。そうすると大変な事になっちゃうの。

ネルフとかジールとか、背景が奇妙で、実は私もよくわかりません。(^_^;)
つくってる人たちもよくわかってないんじゃない?(笑)ちょっと神話っぽいところもあって。

まあとにかく「巨神兵」の方が良かったですよね。(^_^;)
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Unknown (ヌマンタ)
2012-12-07 12:37:38
セレンディビティさん、こんにちは。たしかに人気は凄いみたいです。でも、ちょっと私は付いていけませんでした。
ャPモンは、当時世界中で売れていたファミコンのゲームがスタートですから、世界市場も視野に入っていたと思います。
日本のアニメがきっかけとなって、日本及び日本文化に関心を持った人って、欧米に限らず世界中にいるみたいですね。すごいと思います。
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Unknown (ヌマンタ)
2012-12-07 12:40:35
kinkachoさん、こんにちは。巨神兵の実写版は、映画館のスクリーンで観るのがベストだと思いますが、10分程度の作品であの値段はつらい。でも一見の価値はあるのも確かです。
私はガンダムにも無縁なので、殊更きつかったですね。
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Unknown (ヌマンタ)
2012-12-07 12:43:29
ごみつさん、こんにちは。たしかにヘタレな主人公ですねぇ。これが今の若い子の共感を呼ぶのかと思うと、暗然たる気持ちにさせられます。
ストーリーの難解さもそうですが、私はこの手の人類の進化がらみの話に、情けない現実逃避を感じてしまうので、もうこれでイイやの気分です。
むしろ巨神兵の実写版を拡大製作してくれるほうが嬉しいです。
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Unknown (まえこ)
2012-12-09 23:43:53
TV版は観ていませんが、マンガは読んでます。
映画も観てきました。
マンガはなかなか続きが出ないので、新刊が出る度に読み返さないと忘れてたりするんですよね。
エヴァはちょっとグロいところがあるので、小さい子供は見ないようにしてほしい気もします。
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Unknown (ヌマンタ)
2012-12-10 16:38:45
まえこちゃん、こんにちは。ほう、漫画版もあるのですね。ならば私でも読めそうですね。
最近は漫画の衝撃度を上げようとしてか、意図的に黒い場面を入れるケースもあるので、小さなお子さんをお持ちの方は油断できないでしょうね。そのあたり、古典的昔話しや童話に学んで欲しいものです。
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