ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

ラーメン屋に思うこと

2017-07-24 12:14:00 | 経済・金融・税制

何時の時代にも、一国一城の主になることを目指す人は絶えることはない。

今の時代、一番簡単に開業できる仕事の一つがラーメン屋である。なんといっても開業資金が比較的低額であるだけでなく、2~3カ月の修行で一人前の仕事が出来るようになるとされている。

そして、なによりも日本人はラーメンが大好きだ。ラーメン屋を開業する人も、大のラーメン好きであることが多い。情熱的に美味しいラーメンを求めるうちに、自分なりのラーメンの理想が作られ、それを他人に振る舞い「美味しい!」と云わせたい。

そんな想いを抱いてラーメン屋を開業する人は少なくない。

そんな人たちを幾人も見てきた。守秘義務があるので、詳細は書けないが、正直思い出すのは辛い。たしかにラーメン屋は開業が、比較的容易い職種ではある。だが、残酷なことだが潰れやすい職種でもある。

大雑把な感覚で云えば、新規開店して10年後も続いているラーメン屋は3割程度ではないだろうか。何故に、それほど続けるのが難しいのか?

原因は多種多様であるが、私なりに感じたことを書いてみたい。

まず、どんなに美味しいラーメンでも、ラーメンだけでは店は続かない。ラーメン店を仕事として続けたいのなら、絶対に副食として餃子とチャーハンをメニューに入れるべきだ。

何故かというと、ビールが売れるからだ。ラーメンとビールを同時に注文する客は、そう多くない。しかし、餃子とビール、あるいはチャーハンとビールを同時に注文する客は多い。

そして店で出す瓶ビールは非常に収益性が高い!ビールが売れるだけで、客単価は跳ね上がる。さすがに昼間はダメだが、夜ならば一人あたりの客単価が1000円を切ることはない。

このことを分かっている店主のラーメン屋は10年後でも生き残れる。実のところ、餃子は業務用の出来合いの奴を焼くだけでイイ。しかし、チャーハンは電子レンジでチンではダメ。こればっかりは、その場で中華鍋を振るって作って欲しい。

出来れば、野菜炒めもメニューに加えると、野菜などの無駄が減る。店の収益性は確実に上がる。

特に難しい話ではないと思うし、大半の方はそれを当然と思ってくれる。ところが、私がいくら数値を並べ説明しても、メニューに餃子とチャーハンを入れてくれない店主もいる。

ラーメンに対する拘りが強すぎて、他のメニューに関心が払えないらしい。それと、口には出さないが、チャーハンを美味しく作る自信がないようでもある。
ならば練習して学べと言いたいが、何故かやらない。

ラーメンに拘るのは悪いとは言わないが、プロの経営者ならば店を維持するために、やるべきことをやるべきだ。私はそう確信しているが、ラーメンに熱い想いを抱いて開業する人たちには、私の助言は届かない。

そして数年後には、閉店の知らせを耳にすることになる。

仕事柄、慣れていることではあるが、いくら経験しても決して気持ちの良いものではない。自分の出来る事など限られていると分かっているが、それでもある種の無力感から逃れることは難しい。

もう必要がなくなった書類のファイルを整理していると、いろんなことが思い出されてなりません。

コメント (6)
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