ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

プロレスってさ ジプシー・ジョー

2013-09-04 11:57:00 | スポーツ

決して格好よくはなかった。でも男として敬意を抱かざるを得ないほどのタフガイ、それがジプシー・ジョーであった。

中肉中背で浅黒い肌と長髪を振り乱してのラフファイトが売りの悪役レスラーである。ジプシーとの売り込みであったが、実際はプエルトリコからアメリカに渡ったラテン系の人。

なにより印象的なのは、そのタフぶり。とにかく尋常ではなく、異様なほど頑丈な肉体を誇った。スチール製の椅子で、思いっきり叩かれると、スチールはひん曲がり、椅子はバラバラに壊れる。

あの人間離れしたタフネスぶりは、一度見たら忘れられない。さりとて決して筋肉お化けではない。骨太、肉厚の度合いが凄まじすぎて常識では測りかねる肉体であった。

またそのタフネスぶりは肉体だけでなく、精神面でも顕著であった。国際プロレスの売りであった金網デスマッチにおいて、金網の最上部からニードロップを落とす場面は半端ではなかった。空中殺法が得意なメキシカン・レスラーだって、あの当時はやっていなかったと記憶している。

プロレスラーとしては小柄であったが、肉厚な身体と気性の強さで巨漢たちの中にあっても気後れすることのない男っぷりであった。間違いなく、喧嘩は相当に強いはずだ。もっとも怖い人ではなく、試合が終われば町の片隅の居酒屋でビールを美味そうに飲んでいる気のよさそうなオジサンでもあった。

プロレスを仕事として楽しんでいる一方で、そのプロ意識は半端ではなく、若手のレスラーが手抜きの試合をしていると激昂して制裁を加えることもあった。しかも、半ば泣きながらである。「プロとして恥ずかしくないのか!」と叱られた若手レスラーが戸惑うほどであり、止めに入る他のレスラーも困惑気味であったのが懐かしい。

国際プロレスが潰れて以降は、馬場の全日本に登場するようになったが、小柄なレスラーを嫌がる馬場も、ジプシー・ジョーのプロ意識の高さは認めていたらしい。実際、どんな時でも全力プレーを怠らないド真面目な外人レスラーでした。

ただ一つだけ問題があった。ジョーはアマレスタイプ(吊りベルト型)のタイツを好んで着ていたが、なんとピンクの花柄なのだ。プエルトリカンだけに褐色の肌に薄い花柄のタイツは、どうみても似合わない。というか、はっきりいって格好悪い。

誰か注意してやれよと、子供心に思ったが、遂に変わることはなかった。だから人気レスラーとは言いかねたが、他に代わりがいない独特なスタイルであったために老年まで現役レスラーとして活躍していた。

この人を見るたびに、本物は生き残るんだと思った。派手さはないけど、忘れがたい名レスラーでした。

コメント
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