敢えて言ってしまうと、日本の税制は貧しいものに甘い。優しいのではない、あくまで甘いのだ。
途上国はいざしらず、欧米のような先進国と比べても、低所得者に甘いとしか言いようがない。具体的に数字を出すと、年に100万から200万程度の低所得な国民に対しては、驚くほど税金が安い。
高齢者中心の年金生活者に対しての税制の優遇は分らないでもない。しかし、問題は働き盛りの低所得者だ。本当にあの程度の収入で暮らしているのか?
税理士として納税者にかかわるようになって、今年で16年になる。私の実感からすると、低所得者の申告には疑いの念を抱かざる得ないことが多い。
一番多いのは、収入の一部を除外して申告しているケースだ。これを「つまみ申告」と言う。支払先や預金を調べれば簡単に分る脱税なのだが、けっこうやる人は多い。
近年、増加しているのは、親や祖父母からの経済的支援を受けているケースだ。これは一概に脱税とは言えない。このような親からの援助は、所得税の課税対象ではない。贈与税の課税対象となる。
ただし、学費の支援や生活扶助のためなどの贈与税の非課税の範囲に収まるならば問題がない。もちろん、鳩山・前総理のような政治資金援助は贈与税の課税対象だ。
リストラ流行の昨今、親たちから経済的支援を受けているのは低所得者だけとは限らない。若いサラリーマンが不動産を購入する場合など、親からの支援があるケースが当たり前になっている。贈与税の特例の適用を受けてのケースもあれば、申告しない贈与である場合も多い。場合によっては、多額の贈与税が出るので注意が必要だ。
いずれにせよ、税金がかかろうとかかるまいと、所得には表れない隠れた収入があることは珍しくないのが実情だ。だからこそ、低所得でも生計がたつのだろう。
で、これって不公平じゃないかい?
ほぼ100%ちかく収入を正しく申告(天引きではあるが)される給与所得者(サラリーマンやOL)に比べると、納税負担はかなり違う。税金だけではない。健康保険や年金の負担だって相当な違いとなる。
所得課税という方法では不可避な欠点であり、長年問題視されながらもなおざりにされてきた。ただし、近年はあまり問題視されることは少なくなった。なぜなら消費税が誕生したからだ。
金銭の費消に対して課税される消費税は、基本的には平等な税制でもある。高所得者であろうと、低所得者であろうと金銭を使った分だけ課税される。
貧乏人に厳しいとされ、逆累進性を指弾されることも多い。しかし、金持ちが多額の税金を負担することへの不平等性だってある。所得が多いほど税率が上がる累進課税は、マルクス主義の遺物だといっていい。ある意味、不平等税制の極みでもある。
100万円に対しての10%と、一億円に対しての10%は同じ負担だが、一億円なら30%だとしたら、これは不平等以外の何者でもない。もっとも金持ち憎しの嫉妬の塊であったマルクスは、この貧乏人の僻み根性に媚売った累進課税こそが、平等社会の実現に極めて有効な戦術だと考えていたようだ。
私は財産課税に対してならば累進課税は認めてもいいと思うが、当人の努力の成果(所得)に対しての累進課税には同意できない。まあ、逆の意見もあることは承知しているが、マルクス的嫉妬の税制は少子高齢化社会には適さないと思う。
結果の平等を求める制度は、勤勉さや努力を貶め、怠惰と放漫を煽動すると思う。やはり機会の均等を保証し、その後は努力と運(非科学的だけど、あると思うねぇ)次第で格差が生じる社会のほうが健全だと私は思う。
だからこそ、消費税はこれからの日本の財政を支える極めて有効な制度だ。ただ、菅総理の言う低所得者への還付は、現行の消費税では難しい。
もし、今の制度の延長線上で低所得者還付をやれば、必ず脱税が横行するはずだ。なぜかと言うと日本の消費税は帳簿計算方式を採用しているからだ。帳簿を偽装すれば、還付申告をやらかすことも可能だからだ。
そして、私の経験からすると、低所得者ほど帳簿をいい加減に作る。いや、作っていない。
ちなみに消費税のような大型間接税の歴史が長いヨーロッパでは、インボイス方式を採用している。要するに収入にかかる消費税と、支出にかかる消費税とを集計し、インボイスの差額で納付すべき、あるいは還付される消費税が計算される。
インボイスは公式な証票であるため、インボイスを発行している事業者は、確実に消費税の課税事業者だ。日本のように零細規模の事業者で、消費税の納税義務がないのに消費税を上乗せするようなことができる制度ではない。だから、ヨーロッパでは消費税の脱税は難しい。
菅総理がどこまで財務省と話を詰めているのか知らないが、現行の消費税制度では低所得者の還付は難しい。おそらく、その伏線にあるのは、インボイス制の導入ではないかと私は勘ぐっている。
消費税は還付になった、でも所得が税務署に把握されて所得税と住民税は納税になる。そんなケースが増えるのではないだろうか。ある意味、低所得者には厳しい制度でもある。だって、所得が政府に把握されれば当然、健康保険や年金の納付義務も生じるでしょうからね。
どんなことになるのか、さっぱり分りませんが、今の日本政府の財政状況をみれば、決して甘い制度にはならないことは間違いないと思いますよ。
もっとも参議院選挙での大敗を受けて、与党民主党は消費税増税を引っ込めてしまいそうです。その癖、ばら蒔き政治を止める気はないようなので、財政赤字の問題は先送りされそうです。困ったものですね。
途上国はいざしらず、欧米のような先進国と比べても、低所得者に甘いとしか言いようがない。具体的に数字を出すと、年に100万から200万程度の低所得な国民に対しては、驚くほど税金が安い。
高齢者中心の年金生活者に対しての税制の優遇は分らないでもない。しかし、問題は働き盛りの低所得者だ。本当にあの程度の収入で暮らしているのか?
税理士として納税者にかかわるようになって、今年で16年になる。私の実感からすると、低所得者の申告には疑いの念を抱かざる得ないことが多い。
一番多いのは、収入の一部を除外して申告しているケースだ。これを「つまみ申告」と言う。支払先や預金を調べれば簡単に分る脱税なのだが、けっこうやる人は多い。
近年、増加しているのは、親や祖父母からの経済的支援を受けているケースだ。これは一概に脱税とは言えない。このような親からの援助は、所得税の課税対象ではない。贈与税の課税対象となる。
ただし、学費の支援や生活扶助のためなどの贈与税の非課税の範囲に収まるならば問題がない。もちろん、鳩山・前総理のような政治資金援助は贈与税の課税対象だ。
リストラ流行の昨今、親たちから経済的支援を受けているのは低所得者だけとは限らない。若いサラリーマンが不動産を購入する場合など、親からの支援があるケースが当たり前になっている。贈与税の特例の適用を受けてのケースもあれば、申告しない贈与である場合も多い。場合によっては、多額の贈与税が出るので注意が必要だ。
いずれにせよ、税金がかかろうとかかるまいと、所得には表れない隠れた収入があることは珍しくないのが実情だ。だからこそ、低所得でも生計がたつのだろう。
で、これって不公平じゃないかい?
ほぼ100%ちかく収入を正しく申告(天引きではあるが)される給与所得者(サラリーマンやOL)に比べると、納税負担はかなり違う。税金だけではない。健康保険や年金の負担だって相当な違いとなる。
所得課税という方法では不可避な欠点であり、長年問題視されながらもなおざりにされてきた。ただし、近年はあまり問題視されることは少なくなった。なぜなら消費税が誕生したからだ。
金銭の費消に対して課税される消費税は、基本的には平等な税制でもある。高所得者であろうと、低所得者であろうと金銭を使った分だけ課税される。
貧乏人に厳しいとされ、逆累進性を指弾されることも多い。しかし、金持ちが多額の税金を負担することへの不平等性だってある。所得が多いほど税率が上がる累進課税は、マルクス主義の遺物だといっていい。ある意味、不平等税制の極みでもある。
100万円に対しての10%と、一億円に対しての10%は同じ負担だが、一億円なら30%だとしたら、これは不平等以外の何者でもない。もっとも金持ち憎しの嫉妬の塊であったマルクスは、この貧乏人の僻み根性に媚売った累進課税こそが、平等社会の実現に極めて有効な戦術だと考えていたようだ。
私は財産課税に対してならば累進課税は認めてもいいと思うが、当人の努力の成果(所得)に対しての累進課税には同意できない。まあ、逆の意見もあることは承知しているが、マルクス的嫉妬の税制は少子高齢化社会には適さないと思う。
結果の平等を求める制度は、勤勉さや努力を貶め、怠惰と放漫を煽動すると思う。やはり機会の均等を保証し、その後は努力と運(非科学的だけど、あると思うねぇ)次第で格差が生じる社会のほうが健全だと私は思う。
だからこそ、消費税はこれからの日本の財政を支える極めて有効な制度だ。ただ、菅総理の言う低所得者への還付は、現行の消費税では難しい。
もし、今の制度の延長線上で低所得者還付をやれば、必ず脱税が横行するはずだ。なぜかと言うと日本の消費税は帳簿計算方式を採用しているからだ。帳簿を偽装すれば、還付申告をやらかすことも可能だからだ。
そして、私の経験からすると、低所得者ほど帳簿をいい加減に作る。いや、作っていない。
ちなみに消費税のような大型間接税の歴史が長いヨーロッパでは、インボイス方式を採用している。要するに収入にかかる消費税と、支出にかかる消費税とを集計し、インボイスの差額で納付すべき、あるいは還付される消費税が計算される。
インボイスは公式な証票であるため、インボイスを発行している事業者は、確実に消費税の課税事業者だ。日本のように零細規模の事業者で、消費税の納税義務がないのに消費税を上乗せするようなことができる制度ではない。だから、ヨーロッパでは消費税の脱税は難しい。
菅総理がどこまで財務省と話を詰めているのか知らないが、現行の消費税制度では低所得者の還付は難しい。おそらく、その伏線にあるのは、インボイス制の導入ではないかと私は勘ぐっている。
消費税は還付になった、でも所得が税務署に把握されて所得税と住民税は納税になる。そんなケースが増えるのではないだろうか。ある意味、低所得者には厳しい制度でもある。だって、所得が政府に把握されれば当然、健康保険や年金の納付義務も生じるでしょうからね。
どんなことになるのか、さっぱり分りませんが、今の日本政府の財政状況をみれば、決して甘い制度にはならないことは間違いないと思いますよ。
もっとも参議院選挙での大敗を受けて、与党民主党は消費税増税を引っ込めてしまいそうです。その癖、ばら蒔き政治を止める気はないようなので、財政赤字の問題は先送りされそうです。困ったものですね。