カレーが嫌いな子供がいようか?
私の場合、嫌いではなかったと思う。が、好きだと断言するほど好きではなかった。これは単に私が甘党で、辛すぎるカレーが苦手であったからに過ぎない。
食いしん坊の私は、親に献立で文句を言うことは滅多になかった。ただ、主食とデザートを同時に並べられるのだけが嫌だった。この点だけは、母親と何度も言い争った覚えがある。
だが味付けに文句をつけたことはない。それでもカレーの辛口は止めてくれとは言っていた。妹たちは辛口が良かったようだが、長男様がダメだと言う以上、駄目なものはダメなのだ。
母はどう思っていたのか分らないが、妹たちが勝手に辛口カレーを買い物籠に入れた時も、リンゴや蜂蜜を加えて私のわがままに応じてくれた。でも、やっぱり辛かった。
そんな訳で、私は珍しくカレーがあまり好きではない子供であった。カレーを美味しいと思うようになったのは、十代後半になってからだ。具体的には山で、自らカレーを作るようになってからだ。
激しい登山で疲労困憊した身体には、カレーの辛さは天国の滋味だった。大学の部活の時は、夕食は一人米一合がノルマだったが、カレーのときは一人で2合は食べていたと思う。鍋掃除なんて、一年同志で奪い合っていたぐらいだ。
カレーを作るといっても山で作る場合は、市販のカレーのルーに野菜や肉を加えるだけだ。だが、本場の香辛料を入れると格段に味が変ることぐらいは知っていた。
それを教えてくれたのが表題の漫画だった。著名な日本料理の板前を父に持つ主人公が、料理修行の一環として様々な対決を繰り返すのだが、一番盛り上がったのがカレー勝負だった。
私はこの漫画でカレーの美味しさの秘訣や、料理の妙味を教わった気がする。禁断のスパイスはともかくも、付け合せのラッキョや水の温度にまで気を配る料理の複雑さに舌を巻いたものだ。
今では、どの漫画雑誌にもグルメ漫画が掲載されるが、その嚆矢となったのが包丁人味平だったと思う。久々に読み返すと、思わず台所に立って料理を覚え始めた頃を思い出さずにはいられませんね。
私の場合、嫌いではなかったと思う。が、好きだと断言するほど好きではなかった。これは単に私が甘党で、辛すぎるカレーが苦手であったからに過ぎない。
食いしん坊の私は、親に献立で文句を言うことは滅多になかった。ただ、主食とデザートを同時に並べられるのだけが嫌だった。この点だけは、母親と何度も言い争った覚えがある。
だが味付けに文句をつけたことはない。それでもカレーの辛口は止めてくれとは言っていた。妹たちは辛口が良かったようだが、長男様がダメだと言う以上、駄目なものはダメなのだ。
母はどう思っていたのか分らないが、妹たちが勝手に辛口カレーを買い物籠に入れた時も、リンゴや蜂蜜を加えて私のわがままに応じてくれた。でも、やっぱり辛かった。
そんな訳で、私は珍しくカレーがあまり好きではない子供であった。カレーを美味しいと思うようになったのは、十代後半になってからだ。具体的には山で、自らカレーを作るようになってからだ。
激しい登山で疲労困憊した身体には、カレーの辛さは天国の滋味だった。大学の部活の時は、夕食は一人米一合がノルマだったが、カレーのときは一人で2合は食べていたと思う。鍋掃除なんて、一年同志で奪い合っていたぐらいだ。
カレーを作るといっても山で作る場合は、市販のカレーのルーに野菜や肉を加えるだけだ。だが、本場の香辛料を入れると格段に味が変ることぐらいは知っていた。
それを教えてくれたのが表題の漫画だった。著名な日本料理の板前を父に持つ主人公が、料理修行の一環として様々な対決を繰り返すのだが、一番盛り上がったのがカレー勝負だった。
私はこの漫画でカレーの美味しさの秘訣や、料理の妙味を教わった気がする。禁断のスパイスはともかくも、付け合せのラッキョや水の温度にまで気を配る料理の複雑さに舌を巻いたものだ。
今では、どの漫画雑誌にもグルメ漫画が掲載されるが、その嚆矢となったのが包丁人味平だったと思う。久々に読み返すと、思わず台所に立って料理を覚え始めた頃を思い出さずにはいられませんね。