ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

所得格差

2006-02-17 21:11:14 | 経済・金融・税制
今朝、朝食を作りながらニュースを聞いていたら、NHKの世論調査で所得の格差が生じている現状を悪いことだと感じている人が4割強もいるとの報道に唖然としました。ここまで日本人は痴呆化していたのか・・・まあ、冷静に考えれば、バブル崩壊とリストラの流れのなかで多くの日本人が自信をなくしている現状を反映した結果でもあります。

別に日本に限りませんが、人間が社会を構築するようになって5千年あまり。いまだかつて所得が平等な社会なんぞ実現したことはありません。「キリング・フィールド」で有名なカンボジアのポルポト政権下で試しみたことはありますが、見事に失敗しました。数百万の死体を置き土産にしてね。

富が平等に配分された社会なんて、そもそも不自然なのですよ。努力して富を得た人もいれば、幸運に恵まれて得た人もいるでしょう。努力したけど富を得れなかった人もいれば、不運にも富を失った人もいるでしょう。それが人間の自然な状態です。

かつての封建社会では、血筋だとか土地に縛られて閉塞された社会が営まれてきました。これはこれで安定した社会ですが、変化に対応することは難しい。産業革命による生産力の飛躍的増大に対応するため、その人間の能力を自由に発揮させることを可能にしたのが近代の市民社会です。能力の高い人に、富を得る手段を提供することこそが、その社会全体を向上させるとの認識がその基盤にあるからこそです。結果の平等を目指したのではなく、機会を平等に提供することが目的なのです。

機会を平等に与えられることにより、結果的に優劣の差が生じてしまうことは、むしろ自然なことなのです。憂うべきは、機会を平等に与えることが出来ずに閉塞し、停滞した社会になってしまうことなのです。

ただね、やはりトンビが鷹を産むことは稀なのでしょう。貧乏な親の子は、やはり貧乏に育つ傾向が出てきているのは事実だと思います。教育格差による影響もあるでしょうが、知力の格差って案外親子間でも変わらない気もします。このあたりの諦めが、所得格差を厭う気持ちにつながっているのかもしれません。
コメント (2)
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