のろや

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『MvA』のこと・登場人物その3

2014-04-19 | 映画
需要の有無に関わらずひたすら『モンスターvsエイリアン』について語っていくシリーズ。
『MvA』のこと・登場人物その2(追記あり)の続きでございます。

今回はリンクとボブ。

ザ・ミッシング・リンク

The Missing Link - Monsters vs. Aliens Wiki

体育会系半魚人。いわゆる脳筋というやつです。元ネタは1954年の映画『大アマゾンの半魚人』ですが、リンクはアマゾンでひっそり暮らしていたわけではなく、2万年の間氷づけになっていたのを発見・捕獲されたのでした。2万年のブランクがある割には現代の技術や慣習に難なく適応したようで、TVゲームやスポーツ観戦、車や飛行機の運転が大好きときております。TVの前のソファに陣取ってスナック菓子を食べ散らかし、一人で盛り上がりながらアメフト観戦している姿などを見ますと「絶対いるいるこういう奴」と頷かずにはいられません。

映画をご覧になったかたは「TVの前のソファ」とは何のことかとお思いんなるかもしれませんね。映画では、モンスターたちには寒々とした監獄のような場所に収容されいたのに対し、TVシリーズの方ではもっときちんとした居住空間が与えられておりますし、基地内の移動も自由で、外出もそれほど厳しく制限されてはいないようです。

”ザ・ミッシング・リンク”とフルネームで呼ばれることはほとんどないリンク、他のキャラクターと比べるとそれほど個性的とは言えませんが、ドクやボブがそれぞれ違った方向に浮世離れしており、スーザンはあくまでも良い子の規範に則って行動しようとするのに対し、リンクのみ徹頭徹尾俗っぽいというのが面白い所。エイリアンの美女を口説こうとしてそのつどボコボコにされたり、イオン反応炉(何やら分かりませんが)を日焼けマシンとして使った上、スイッチを切り忘れて基地全体に退避警報を鳴らしてしまうなど、リンクならではの騒動でございます。
チーム・モンスターの中では基本的にやんちゃな筋肉要員なのですが、映画ではその特性がほとんど活かされなかったのが残念でございます。映画の出来が全体としてはもう一つであったことについては、別の記事で述べせていただきたく。とにかくせっかくの魅力的なキャラを活かしきれなかったというのは大きいと思います。

ドク・ローチとは悪態をつき合う仲、と言いますか、リンクは基本的にドクの発明を信用しておりません(むべなるかな)。ドクはドクで、普段大口を叩いているくせにドクやスーザンよりビビリで、何かというとキャー!と悲鳴を上げるリンクにしばしば冷たい眼差しを注いでおります。それでもいざ誰かにいたずらを仕掛けるという話になると素晴らしいコンビネーションを発揮するのがこの2人であって、おかげでエイプリルフールにはスーザンが酷い目にあっておりました。

映画版の声の吹き込みはウィル・アーネット。何となくリンクみたいな顔の人を想像していたのですが、写真を見たら普通の男前でございました。TV版の方で声を担当したディードリック・ベイダーさんはちとリンク寄りの風貌でいらっしゃいます。


B.O.B(ボブ)



遺伝子組み換えトマトに化学的に加工したドレッシングを注入した結果生まれたスライム状の生物、ベンゾエイト・オスティレンジン・ バイカーボネイト、略してボブ。 ”benzoate”は安息化酸エステル、”bicarbonate”は重炭酸塩、間の”ostylezene”というのは造語のようです。
変形自在で破壊不可能、そして何でも食べます。「秀才君・暴れん坊・食いしん坊」というのは黄金のトリオでございますね。

Wikiaによると、捕獲されたのは1958年。リンクの捕獲が1961年でドクが翌1962年ということなので、チーム・モンスターの中では一番古顔ということになります。1958年というのはボブの元ネタとなった映画『The Blob』(邦題『マックイーンの絶対の危機』、TV放送時のタイトルは『人食いアメーバの恐怖』)が公開された年なのだそうで。ドクの元ネタ『蝿男の恐怖』の公開もこの年なんですけどね。何故4年も間があるんでしょう。ドクがゴキ化した日付は1962年9月12日であり、これは劇中の記録映像によってはっきり示されております。この日付が何に基づくパロディなのかは今の所判明しておりません。継続調査中でございます。

話をボブに戻しますと。
絵だけ見ると全然可愛くないけれども動いていると愛嬌がある、というキャラクターはドリームワークスのおはこでございます。中でもボブはその最たるものではないかと。WikiaNIckelodeon(TVシリーズのサイト)に出ている絵はまだしも可愛いんでございますけれども、映画の宣伝に使われた絵なんてこれですよ。これはイカンと思うの。

ご覧のように基本的にはオバQのような格好ですが、いくらでも自在に形を変えることができます。輪切りになってもバラバラになってもすぐT-1000のようにくっついて元通りになりますし、レーザービームもへっちゃら。その破壊不可能な性質に目をつけたドクによって、爆弾として利用されそうになったこともございました。
事実上不死身である上に脳みそを持っていないので、大抵の場合、ボブには分別や危機感というものがございません。そのため、押してはいけないスイッチをどうしても押したがったり、ランチとラーンチ(発射)を取り違えてミサイル発射ボタンを連打したり、「ちゃんとお風呂に入らないと気難しい奴になっちゃうよ」というスーザンの言葉を真に受けて人々を強制的に”入浴”させ、基地全体を機能不全に陥らせたりと、無邪気なトラブルメーカーの役割を果たすことが多うございます。

無邪気、というのはボブにあっては本当に字のごとくであって、いかなる相手であろうとも疑うということがなく、ずるさや悪意はもちろんのこと、面子や建前や口実といった概念も全く持ち合わせておりません。ボブがこの上なく厄介な奴でもあると同時に、この上なくよい子でもある所以でございます。またその常識はずれの発想は、時にドクから-----「genius/天才」という言葉を聞けばまず自分のことであろうと解釈するドクから-----「mindless genius/意図なき天才」と呼ばれるほどに独創的であり、チーム・モンスターには色々な面で欠かせない人員でございます。

リンクとはお互いベスト・フレンドを以て任じているため、つるんで騒動を起こすこともしょっちゅうです。とはいえ、リンクとつるんでいる時などはまだ可愛いもので、ボブに負けず劣らず何も考えていないハサウェイ大統領(後述)とつるんだ時は最悪でございます。ほぼこの2人のせいで、世界が黙示録的な大災厄の嵐に見舞われる直前まで行ったこともございました。

映画版と短編での声はセス・ローゲン、TV版はエリック・エーデルシュタインという方。声も喋り方もそっくりで、ワタクシには違いが全然わかりません。声のことでぜひとも触れておきたいのは、映画の日本語吹き替えでございます。ワタクシは基本的に、外国映画の吹き替えとして、本職の声優を押しのけて歌手やタレントが起用される風潮を苦々しく思っております。中には上手い人もいらっしゃるので全否定はしませんが。
ボブの声の吹き替えは、「バナナマン」の日村氏…といっても、普段TVを見ないので調べないとどっちがどっちか分からなかったんですけれども、アントン・シガーみたいな方の人ですね。この吹き替えは、素晴らしかったです。本家のセス・ローゲン(ちょっと野太い)よりも、ボブの無邪気なキャラクターには合っていると思われるくらいでございます。もしも短編やTVシリーズの日本語吹き替え版がでることになったら、ボブの声はぜひとも再び日村氏に担当していただきたいものでございます。


需要の有無に関わらずまだ続きます。


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