のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

HGzG!

2013-01-24 | KLAUS NOMI
うわあ
のみぐるみ。

FRESH CITY | Klaus Nomi Sculpted in Felted Wool

というわけで
本日はクラウス・ノミの誕生日でございます。
ちなみにタイトルのHGzGはドイツ語のHerzlichen Glückwunsch zum Geburtstag(お誕生日おめでとう)の略。
いちいち単語が長いんだからもう。

さて今回は以前の記事でちらっと言及しましたサブカル系雑誌、COILHOUSEの記事をご紹介いたしたく。
紙面はイラストを提供されたアーティストのHP↓で見ることができます。
Klaus Nomi drawings in Coilhouse magazine | Hormazd Narielwalla

ノミへの手紙という形式をとって、ヤツの生と死と芸術について綴った、いわば小ノミ伝といった文章でございます。内容はおおむね映画『ノミ・ソング』を要約したようなものであって、特に目新しい情報というのはございませんでした。しかし、愛とリスペクトに満ちつつもヤツの存在に間に合わなかった無念さを忍ばせるその書きぶりは、ワタクシのような遅まきながらのファンの気持ちを代弁してくれているかのようで、たいへん心なごむものでございます。

あなたがまだここにいてくれたら。カーネギー・ホールで3度目のアンコールに応えて歌うあなたの足下に、温室育ちのユリの大きな花束を投げることができたらよかったのに。テルミンで”宇宙船ここに到来”みたいなノイズを奏でて、あなたに喜んでもらえたらよかったのに。でなければ、この手紙があなたにちゃんと届くように、もっと確実なアドレスを見つけられたらよかったのに。(p.43)

どうです、ここでカーネギー・ホールを持ち出して来てあげる温かさ。
実際の所、ヤツがたとえ69歳となる今日まで生きたとしても、カーネギーで歌う機会があったかどうかは甚だ怪しいもんだとは思いますけれども、ヤツにはこういう、ちょっぴりオーバーで、優しくて、可笑しいくらいに楽天的な語りがとっても似合うんでございますね。
片目をつぶってニッコリ笑って、そういうことにしておこうよ、と小声でささやき合うような、可愛らしい嘘。小さな子供に「あなたは宇宙から来たの?」と問われれば、真顔で「そうだよ」と答えてあげる、優しい嘘。そんなすてきな嘘の上にこそ成り立つのが「歌う変異体クラウス・ノミ」という存在であり、それは例えばサンタクロースの存在形態にも似ております。

もっとも、サンタクロースはご親切にも、冬の夜空を駆けめぐってワタクシたちの所までプレゼントを持って来てくれるというのに、ヤツときたらこの30年というもの、宇宙を気ままに飛び回るばっかりで、ちっともワタクシたちの所に立ち寄ってくれる気配がございません。しょうがないので、地球に張り付いているこちらとしては、せっせとこういうラヴレターを書き飛ばしては、いつかヤツのPony Flyerが信号をキャッチしてくれるのを心待ちにするよりほかないときております。
いけずなんだからもう。

そんなわけで
誕生日おめでとう、クラウス・ノミ。