のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

『Welcome To The Punch』のことなど

2012-12-13 | 映画
なんかもう
時代錯誤という形容すら超越しちゃった感がございますな。

自民党が公式に国民の基本的人権を否定し、さらに改憲案で日本国憲法第18条「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない」を削除してしまいました - Togetter



さておき。
ソーターさんことマーク・ストロングと、ハリウッド御用達英国産悪役俳優の一人であるチャールズ・ダンスが声優として共演するという、のろさんにとってはたいへんおいしい企画であるところのアニメーション作品『JUSTIN AND THE KNIGHTS OF VALOUR』のトレーラーが公開されたわけです。

JUSTIN AND THE KNIGHTS OF VALOUR - Official Teaser Trailer


うーむ。
悪くはないんでございますが
『ヒックとドラゴン』の大幅劣化版のように見えてしまうのはワタクシだけでしょうか。
大幅、とまで申しますのは、とりもなおさず『ヒックとドラゴン』という(日本ではそれほどヒットしなかった)作品が、ストーリー、映像、音楽、演出、そしてテーマ性と、あらゆる点において完成度が非常に高い映画であるからでございます。
このトレーラーも『ヒックとドラゴン』を念頭に置かずに、これ単独で見るならば、冒険コメディとしてなかなか楽しそうな代物ではございます。しかし、ヒーロー志望のひ弱な主人公やら、愛はあっても理解のない父親やら、気が強くてしっかり者のヒロインやら、サポート&コメディ担当の変人やら、機能不全気味のドラゴンやら、こう並べてみますとあまりにも『ヒック~』と重なる要素が多く、あの傑作との比較は免れ得ないのではないかと懸念いたします。
できれば続編を作ってほしくなかった『ヒック~』の続編も、同じく2013年公開予定であることを考えますと、ううむ、どっちも心配でございます。
ちなみに↓によるとソーターさんはここでもやっぱり悪役。笑

Justin and the Knights of Valour (3D) | Timeless Films

それからワタクシが目下の所、ソーターさん関連の新作の中では一番楽しみにしているクライムドラマ『Welcome To The Punch』も、つい先頃トレーラーが公開されました。

Welcome To The Punch Official Trailer _ James McAvoy - Mark Strong


ソーターさん、年齢とともに眉間の皺がますます深まっていらっして、実に素敵でございますね。
共演はジェームズ・ザ・童顔・マカヴォイ。Wikipediaによると、スコットランドに拠点を置くサッカーチーム、セルティックの大ファンなんだそうで。ロンドンに拠点を置くアーセナルの大ファンで、俳優業のかたわら趣味でサッカーを続けて来たソーターさんとは、サッカー談義でさぞ盛り上がったことでございましょう。
そのソーターさんの今回の役どころは、悪人ではあるものの、トラブルに巻き込まれた息子のために、マカヴォイ演じる刑事と協力して巨悪に立ち向かうという、いわば準主役的な位置づけでございまして、単純な悪役というわけではないようで
ございます。そうそう、こういう「ワルだけど人間的」な役柄にこそソーターさんですよ!

『The Long Firm』の極悪非道かつナイーヴな悪党ハリー・スタークス、『リボルバー』の情緒不安定かつ心優しい殺し屋ソーター、悪人だらけの『ロックンローラ』の良心にして犯罪組織の有能なNo.2であるアーチーおじさん、『ワールド・オブ・ライズ』の善とも悪とも呼びがたいヨルダン諜報局長ハ二・サラーム、そして人情無用のスパイ稼業に従事しつつも、人間味を捨てきれず、またそれを隠しきれない『裏切りのサーカス』のジム・プリドーなどなど、複雑で繊細で多面的な役柄こそ、マーク・ストロングの俳優としての力量が存分に発揮される所でございましょう。
極悪街道を脇目も振らず突き進む『スターダスト』のセプティマス王子や『Kick Ass』のダミーコ親分、そしてオモシロ系悪人な『オリバー・ツイスト』のトビーなどもワタクシは大好きですけれどね。

英国ではこれまた来年に公開予定の『Welcome To The Punch』、監督・脚本は御歳36歳のイーラン・クリーヴィーというかた。前作『Sifty』はなかなか好評であったようですが、これが初監督作品ではあり、監督としての技量はまだ未知数と申せましょう。トレーラーを見る限りでは、冷たい色合いのスタイリッシュな映像にはそれなりに期待できそうでございます。アクションシーンにおけるスローモーションの多様は、ちと引っかかる所ではございますがね。