のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

カフカ忌など

2010-06-03 | 
本日は
カフカの命日でございます。

パレスチナへの移住を夢見ながらも結局果たせずに亡くなったカフカ。現在かの地でなされていることを知ったら、憤りと羞恥のあまり、寝苦しい夢など待たずぽっくりと虫になってしまうかもしれません。

さておき。
先日広報させていただきました個展でございますが、去年出品したものに加えて、新作3点を出せる運びとなりました。



左端の黒い本はカフカの短編「夢」。ゴム版一色刷りで製作しました。
カフカを社会的に読むつもりが毛頭ないワタクシにとって、カフカ作品の多くは「自分からさっさといなくなるべきなのにその事に気付きもせずのうのうとこの世に居座り続けて周りの皆様に我慢してもらっている甚だ察しの悪い野郎の話」というまことに身につまされる物語であり、とりわけこの短編にはそうした要素が、文庫本にしてほんの3ページほどの中に凝縮されておりますので、昔からたいそう好きな作品なのでございました。



自らが掘った墓穴に、立派な墓石つきで埋葬されるという幸福な夢を見ているヨーゼフ・K。
最後のページの絵は死んだフリをしているブラックウッド卿の顔を参考にさせていただきました。
どうでもいいですね、はい。

ときに準備というものは時間があればあるだけ費やしてしまうもので、結局搬入が済むまでは普段の生活に戻れそうにないのでございました。