読書な日々

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「特集 STAPの全貌」

2016年02月07日 | 自然科学系
「特集 STAPの全貌」(日経サイエンス、2015年3月号)

小保方晴子さんが『あの日』を出版してすごい売れ行きのようである。今日の朝日新聞の読書欄の売れ行きランキングではトップを行っている。私も読みたい。しかし、私が知りたいのは小保方晴子さんの心のなかであって、若山先生が悪いなどと責任転嫁をしている彼女の心ではない。

理研の調査委員会がSTAP細胞はES細胞が混入したもので、存在しなかったという報告を行ったのが、2014年12月。その数ヶ月後に出版された『日経サイエンス』の3月号がこの「STAPの全貌」という特集を組んでいる。

とくに詫摩雅子と古田彩の書いた「幻想の細胞 判明した正体」は、素人にもわかりやすく書かれている。それによると、若山氏と遠藤高帆氏(理研統合生命医科学研究センター上級研究員)の独自の解析から、かつて若山研究室にいた大田研究員が2005年に作ったES細胞が使われていたということが判明したという。

しかしこれほど何度もES細胞の混入が単なるミスだとは考えられず、誰かが意図的に混入させたにちがいないが、一体誰がそうしたのかはこれらの調査でも突き止めることができなかったという。

もちろん小保方晴子さんが混入の張本人にちがいないのだろうが、なぜそんなことをすることになったのか、私たちには闇にほかならない彼女の心の奥を『あの日』は解き明かしてくれるものと期待していただけに、残念だ。

この特集記事は、以前読んだ須田桃子著『捏造の科学者』より、科学系の読み物なので、当事者たちの人間関係だとか心の動きだとか理研の利害関係のような話しは一切なくて、純粋に科学論文的な書き方がされているので、両者を合わせて読めば、STAP細胞問題の現時点でのおよその到達点を把握することができると思う。

須田桃子『捏造の科学者』については、こちら



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