読書な日々

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2019年に読んだ本のベストファイブ

2019年12月31日 | 日々の雑感
2019年に読んだ本のベストファイブ

今年は眼精疲労(というか、医者の見立てではドライアイ)に苦しんだ年だった。夏前くらいからだろうか、とにかく目を開けているのが辛い症状になり、とにかく目を使わないようにして、音楽を聞いたりして過ごすほかなかった。電車の中では居眠りばかり。ネットであれこれ調べても原因はわからず、ダメ元で行ったかかりつけの眼科で処方してもらった薬がよく効いて、ずいぶん楽になった。それでも三回くらいは良くなったり悪くなったりを繰り返した。目を大事にしないと仕事にならないから、これからも注意しなければ。というわけで、今年はやっと42冊を読んだだけであった。新聞の書評欄を見たり、ネットの読書日記を見たり、アマゾンの売れ筋を見たり、ツイッターに注意したり、とあれこれアンテナを張って、面白そうな本を探すこと自体も楽しい。

1.松本薫『日南X』(日南町観光協会、2019年)
出身地の米子で次々と話題作を発表している著者の最新の小説で、今回はサスペンス仕立てになっている。物語のキーパーソンを見つけるのきっかけとなった日南町の日野上小学校のいちょうの木は有名。

2.加藤典洋『9条入門』(創元社、2019年)
思いもかけなかった展開に誰しも驚愕する。まさか憲法1条の天皇の象徴化と9条の「特別な戦争放棄」という日本国憲法の二本柱が、マッカーサーの大統領になりたい病の産物だったとは。もちろんこれはキャッチーな書き方であって、本当はそんな単純なものではないけれど。

3.村田沙耶香『コンビニ人間』(文藝春秋、2016年)
文学というものは、人間の真実を思いがけない姿で捉えて描き出すところに、その真骨頂があるということを、私たちに教えてくれる作品である。

4.鴻上尚史『不死身の特攻隊』(講談社現代新書、2017年)
佐々木友次さんという北海道出身の特攻兵が9回特攻命令を受けながらも、死んでこいという上官の命令に反抗して、生きて帰ってきたという話を書いたものだが、平気で死んでこいなんて言える人間が戦争犯罪人として処罰されないでいいのかとはらわたが煮えくり返る想いで読んだ。ブラック企業で自殺やうつ病に追い込むのも、まったく同じ構図を持っている。ブラック企業、ブラック校則などなど、憲法の理念が及んでいない「世界」がまだまだ日本にはある。そういう「特区」こそなくすべきだ。そうしないと特攻隊の教訓を現代に活かすことはできない。

5.内田樹『困難な結婚』(ARTES、2016年)
内田樹さんに著書にはいつも「なるほど」と感心する論述が多い。今回も非正規の広がりが若者たちの恋愛や結婚に消極的にさせているから、結婚なんて無理という思い込みを切り捨ててくれる。こういう時代だからこそ結婚して助け合って生きていこうよ、って、なんて素敵な提案なんだろう。



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