読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

「王の男」

2006年12月23日 | 映画
『王の男』(韓国、2006年)

韓国では赤ちゃんも人数に入れて、4人に1人の韓国人が見たという大ヒット作らしいのだが、うーん、いったいどこがそんなに韓国人を興奮させるのか、ちょっと私には理解できない。いや、けっして作品がつまらないという意味ではない。非常によく出来た時代劇だと思うし、チャングムを見慣れた目でみても、時代考証などもしっかりしているように見受けられる。

それに登場人物だって、カム・ウソンとイ・ジュンギがじつにいい人間関係をみせ、また当時の芸人という最下層の人間の、しかし芸に対する心意気のようなもの、反権力的な生き方を魅力的に描いていた。

王も、母親を毒殺されたことでの、ちょっとマザーコンプレックスのような異常な性格がよく描かれていた。

カム・ウソンとイ・ジュンギやそして三人の芸人が王を笑わせるためにやる芸は、なんだか、ルイ14世の前で彼の寵愛を得ようと滑稽な芸をやるモリエールのように思えた。一歩間違えば死が待っている世界。しかし彼を笑わせることができれば、宮殿に住んでおいしいものを食べ、きれいな服をきることができる。天と地ほども違う世界。

でもあー面白かったという感想が沸いてこない。なぜだろう?私のなかでは、もう一度見たいという印象が残った作品がいい作品ということになっているのだが、この作品はもう一度見てみたいとは思わなかった。なぜだろう?


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