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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

閉ざされた扉をこじ開ける

2020年09月03日 | 現代の病理
『閉ざされた扉をこじ開ける 排除と貧困に抗うソーシャルアクション』 (朝日新書・2020/3/13・稲葉 剛著)、かしわ図書館の新刊本の入庫検索で落掌した本です。

著者は、一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事、認定NPO法人ビッグイシュー基金共同代表、立教大学客員教授、住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人、生活保護問題対策全国会議幹事など、自立生活サポートの実践を行っている方です。

数字と現状のみ転載しておきます。

厚生労働省は、2007年に一度だけネットカフェや漫画喫茶等に寝泊まりする「住居喪失者」に関する実態調査を実施し、週に3、4日以上、ネットカフェ等に寝泊まりをしている「住居喪失者」は全国で約5400人である、という推計値を発表した。

厚生労働省が調査を渋っている中、東京都は2018年1月、単独で実施した。「住居喪失者」に関する調査結果を発表し、都内のネットカフェ、漫画喫茶、サウナ、カプセルホテル等に暮らしている「住居喪失者」は約4000人という推計値を公表した。
 2007年の厚生労働省調査では、全国約5400人中、都内にいる人は約2000人とされていたので、単純に比較すると2倍に増えたことになる。
 都の調査チームは、現在、住居がない人や住居喪失のおそれのある人など363人に生活や仕事の実態に関する調査も実施しか。その概要は以下の通りである。

・性別は男性が97・5%と圧倒的に多い。
・年齢は、30代が38.6%と最も多く、50代(28.9%)、40代(17.4%)と続く。20代も11.8%いて、20~30代で約半数を占めている。
・ネットカフェ等以外で寝泊まりしている場所としては、路上(43.8%)が最も多く、ファストフード店(40.5%)、サウナ(30.9%)と続く。夜は起きていて、昼に図書20代と30代を合わせると約半数ということは、都内のネットカフェ等に暮らしている若者が約2000人いるということを示している。

人間関係については、困ったことや悩み事を「相談できる人はいない」と回答した人が41.3%にのぼった。相談相手として友人をあげた人は35.3%いたが、親をあげた人は3.9%しかいなかった。
 私か相談現場で出会ってきた若年の生活困窮者の中には、虐待など親との関係に問題を抱えている人が少なくなかった。家庭の背景は様々だろうが、特に20代の若者の場合、親をあげた人は3.9%しかいなかった。

 家賃・初期費用の問題と同時に、たくさんの人が不満を表明した問題の一つは入居差別の問題である。
・シングル母世帯への住宅差別があります。「そういう人はうちではちょっと」と不動産屋で門前払い。働いてるかとか保証人いるかとかそういうの一切、聞かれない。
・某大手不動産(仲介)業者で、表に出さずに、社内の内規でもって、生活保護利用者と、精神保健福祉手帳一級の人には、絶対貸さない会社がありますね。障害者差別解消法施行後も。
・私は救護施設の支援員です。利用者が居宅生活を希望しても「精神障がい者・単身の男性高齢者」といった理由でアパート入居を断れることがあります。しかし、生活能力は十分に備わっている人もいます。病気・年齢・性別などを理由に地域生活のスタートラインにも立てないのは悲しい。
・75歳以上の単身高齢者は部屋探しに大変苦労されています。
・外国人差別はやめるべし。外国人留学生は部屋を借りるのに、本当に苫労している。

また、意外と多かったのは、賃貸物件の契約時に連帯保証人や緊急連絡先を求められるという慣習に対する不満である。家族関係が希薄化する中、前近代的な慣習はやめてほしいという声が多かった。(以上)

老人の約8割が持ち家なので、老人が賃貸住宅へ入居出来ない事実は、表に現われにくいようです。60歳を過ぎて離婚した女性が、アパート探しに行ったら「昨年の給与所得証明」の提出を言われ、アパートを借りられなかったと聞いた事があります。
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