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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

集団間葛藤の解消

2014年08月20日 | 都市開教
昨日の続きです。3日前に紹介しました『社会心理学・キーワード』に泥棒洞窟実験が紹介されています。集団と集団の間での葛藤はどのようにしてなるのか。その葛藤を解消する方法はあるのか。少年のサマーキャンプを利用した野外実験です。

集団目標の内集団の形成

 M.シェリフらは,11歳から12歳の22名の少乍たちを均等な2つの集団に分けて,[泥棒洞窟]というキャンプ場に連れて行った。最初のl週問ほどは,2つの集団は別々に行動し,お互いの存在すら知らされなかった。この間に,それぞれの集団の巾では,ハイキングなどの共同活動や相互依存的な作業を通して,仲間意識が強まるとともに,集団の規範が形成され,個々の成員の地位や役割が安定してきた。この1週問の最後のころに,別の集団がキャンプに来ていることを知らされると,少年たちは,まだ見ぬ相手(外集団)に敵愾心を燃やし,自分かちの中で仲問意識をさらに強めていった。

集団間葛藤の導入

 その後,2つの集団は遭遇させられ,賞品のかけられた野球や綱引きなどの競争的なスポーツが次々に導入された。それぞれの集団は自分の集団の勝利を目標とするために,一方の集団の勝利が他方の集団の敗北を意味するこれらの競技では,2つの集団の日標はお互いに葛藤する。これらの競技を通して,集団の問では,お互いに対する敵対感情が徐々に高まり,相手集団やその成員を罵倒したり攻撃したりするようになり,それは競技場の外にまで広かっか。ある試合で負けた集団が,夜の間に勝った集団の団旗を燃やしてしまい,翌朝にはその報復が行われた。一方,それぞれの集団の中では,お互いの団結や凝集性が高まり,相手を打ち負かすという集団規則や地位・役割が再編されていった。例えば、多くの時間徒労力が相手を打ち負かすための計画作成割かれるようになり、内集団形成には乱暴者で低位置にいた少年がヒーローになった。

集団間葛藤の解消

 最終段階では,この集団間葛藤の解決が試みられた。最初の試みとして2つの集団が,映画や花火や食事などの楽しい時問を一緒に過ごす友好的な接触機会が設けられた。しかしこの試みは失敗に終わり,罵り合いや残飯の投げ合いなど,むしろ敵対的感情を助長する結果となった。集団間葛藤を最後に低減した試みは,2つの集団が協力しなければ達成できないような上位目標を導人し,相互依存関係を築き上げることであった。少年たちは,キャンプ生活には必須の給水が止まってしまい,2つの集団が協力して故障個所を探し出したり,食料供給車がぬかるみにはまったのを力を合わせて救い出したり,高価な映画を映してもらうためにお金を供出し合ったりするという出来事を通して,徐々に罵り合いやふ競り合いは減っていき,敵対的感情は友好的なものへと変わっていった。3週間に及ぶこのキャンプの最後に行われたソシオメトリック・テストでは,相手生団の成員が友人として選択される数は約3分の1にのぼった。最後には,集団ごとに別々のバスではなく,一緒に乗って帰りたいと言い,帰る途中では,一方の集団が試合で得た賞金の残りで飲み物を買い,もう一方の集団と分け合っていたo
 シェリフらは同様の実験を3回繰り返し(上述の実験は3回目),賞品などの希少資源をめぐる競争が集団間の:葛藤を引き起こすことを示し,その葛藤の低減のためには,単なる集団間の接触ではなく,上位目標を達成するための協力的相互依存関係が必要であることを例証したのであるo(以上)


民族紛争の構図を見ているようで興味深い。違った者が集まって、事を成すときは、上位の理念(目的)を明確にしなければならないということです。

これは宗派の行動も同じでしょう。
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