仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

キラキラネームの背景

2015年07月23日 | 現代の病理
朝、目覚めると外は雨、まさか雨が降るとは思っていなかったのですが、ウオーキングの中止。

「大きな物語」が失われた時代と言われてから久しい。『文芸春秋』(2015.8月号)で“戦後70年 崩壊する神話”という特集を組んでいました。

色々な人が、各分野から書かれているのですが、伊東ひとみ(文筆家)さんが“「腥と胱」キラキラネームの驚愕”というタイトルで文を寄せていました。

キラキラネームが流行るその時代的な背景です。この人は「キラキラネームの大研究」(新潮新書)の著者です。

著者は「現代の名付けにおいては、次元を異にする二つのことが起こったと私は考えています。一つは、伝統的な命名規則や慣例の権威の失墜、そしてもう一つが、漢字そのものの権威の失墜です。」と、その理由を2つあげておられます。

以下、転載です。

 私たちが「伝統的な名前」とイメージするのは、男の子なら、漢字二字もしくは一字の名前か、「太郎(一郎)」「次郎(二郎)」のような出生順を表す輩行名。女の子なら、「二音節の漢字一字十子」という名前でしょう。…こうした伝統的な命名が揺らぎ始めるのは、高度成長期。男の子では「和彦」「直樹」「哲也」といった従来にはなかった名前が登場するようになり、女の子の名前も「子」離れが進んでいきます。つまり、経済が発展し、民主主義が浸透していくなか、前近代の名残をとどめた命名の権威が急速に失われていったのです。それでも、しばらくは漢字の意味を重視した名付けが行われていました。…漢字がカジュアル化した社会で育った「当用漢字第三世代=団塊ジュニア」が親になった九〇年代半ば、名付けに当て字が出現し、現在のキラキラネームの流行に至ります。
 早稲田大学の笹原宏之教授の『日本の漢字』(岩波新書)によれば、今の親たちが名付けに使いたい漢字を調査した際、「腥」や「胱」があがったそうです。前者は「月に星」と字面は綺麗ですが、意味は「なまぐさい」。後者も「月の光」と書くものの、膀胱の「胱」。まさに漢字の意味よりも音やイメージ優先です。しかし、漢字の。感字化はキラキラネームに限ったことではありません。いま、私たちの足元で漢字の体系が壊れかけています。その事実にこそ、私は危機感を抱いています。(以上)

再帰性の社会とは、伝統に寄らず、自分の知識や感覚によって自己決定し選び取っていく社会です。子どもの名前においても、時代的な背景があるようです。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 野原しんのすけのジェンダー | トップ | 水を飲むとき,井戸を掘った人... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

現代の病理」カテゴリの最新記事