コロナ禍で悩み深刻化、命を絶つ小中高生・女性増える
読売新聞1/22(金) 22:05配信
2020年の全国の自殺者速報値は前年比3・7%(750人)増の2万919人で、リーマン・ショック直後の09年以来11年ぶりに増加に転じたことが、22日発表の厚生労働省と警察庁の集計でわかった。小中高生の自殺者は過去最多で、新型コロナウイルスの影響で学校や学業の悩みが深刻化している実態が浮き彫りとなった。
職業・属性がわかる1~11月でみると、小中高生の自殺者は440人で、過去最多だった1986年の401人をすでに超えた。8月は62人で前年の2倍に上った。
医師や看護師ら「医療・保健従事者」は前年比17人増の287人で、特に女性(156人)は同25・8%増加した。
全体ではコロナ禍が長期化し始めた7月以降に自殺が急増。男性は前年より1・0%減少したが、女性は14・5%増えた。コロナ禍で女性が抱える仕事や育児、家庭内暴力などの悩みが深刻化したとみられる。(以上)
失業率が1%上がると、自殺者が2.000人増加するとも言われています。コロナ禍で、経済問題の舵取りは、重大です。「お金は潤滑油」という言葉がありますが、本当にお金は血液のように、お金の流れが止まってしまうと、民衆は相当のダメージを受ける事を、このコロナ禍で思い知ることとなりました。
以下『入門 家族社会学』(2017,永田夏来・松本洋人編)からの転載です。
男性稼ぎ手モデルの持続とその帰結
ここで日本社会に視線を戻すと,アメリカ社会ほどではないものの,配偶者のいる女性の労働力率は上昇している。 2014年に総務省が行った「労働力調査」によれば,配偶者のいる女性の労働力率は40代後半で約71%と最も高く,新婚期や子育て期にあたる場合が多いと考えられる20代後半と30代前半において仏それぞれ約49%と約47%が働いている。配偶者がいても働く女性が増えた結果として, 1990年代には共働き世帯の数が専業主婦世帯の数を逆転し, 2014年には,共働き世帯の数(1077万世帯)は専業主婦世帯の数(720万世帯)を大幅に上回っている。
しかし,女性の雇用形態に着目すると,日本社会では,このような女性の労働力率の上昇が,男性と同様に稼ぎ手としての地位を得ることには必ずしもつながっていないことがわかる。「労働力調査」の結果によると女性の雇用者のうち、パートやアルバイト、派遣社員などの非正規雇用者の割合は、1985年から2013年にかけて、約32%かた約56%に増加している。その結果として, 2009年の時点においては配偶者のいる女性のうち,正規雇用に就いている者は約15%にすぎない(山田2015)。このように,配偶者のいる女性の労働力率が上昇する一方で,女性労働力の非正規化が進行しており、正規雇用に就く女性がそれほど増えたわけではない。
家族の中でおもな稼ぎ手になるのは夫であることを前提とする男性稼ぎ手モデルが強固に持続しているのである。そして,このことは,性別役割分業をその重要な特徴とする近代家族の相対化があまり進んでいないということでもある。(以上)
こうした女性のおかれている不安な社会的立ち位置が不安の根底にあると思う。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます