goo blog サービス終了のお知らせ 

仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

話術・徳川 夢声

2018年06月29日 | 都市開教
『話術』(新潮文庫・徳川 夢声)、これは至極の本です。今年の3月復刊した本です。【内容情報】(「BOOK」データベースより)に次のようにあります。

話は誰でもできる。だからこそ、上手に話すことは難しい。日常の座談では、何を、どう話すか。大勢の聞き手を相手にするときに気を付けておくことは。声の出し方、間の置き方はどうする?一人で喋るな、黙りこむな。お世辞、毒舌、愚痴、自慢は、やりすぎると嫌われる。ほら吹き、知ったかぶりは恥ずかしい。人生のあらゆる場面で役に立つ、“話術の神様”が書き残した“話し方”の教科書。(以上)

本から一つだけ転載します。

話す内容が、面白く、有益であり、どうしても謹聴せずにいられないような、コトバの組み合わせであること、これはもちろん必要なことでありますが、話術が拙劣であったら、いかにすぐれた内容でも、聴衆は退屈してしまいます。反対に、相当くだらない内容でも、話術がこれを生かして、謹聴せしめ得る場合があるのであります。
 フランスのある名優が、ある有名な劇作家と、「演技が大切か、脚本が大切か」という議論をしました。それが宴会の席上でしたから、他の列席者たちは、非常な興味を持って、この勝負如何相成るかと見ておりました。
「よろしい。ではこうしよう。」と名優が申しました。
「君は脚本が俳優の演技より重要だと言う、僕はその反対に、脚本なんかむしろどうでも構わないと言う。互いに言い合っていても際限がないから、丁度、ここにメニューがある。これから僕がこの料理表を読んで、ここにいる諸君を全部泣かしてみせようと、いよいよその御料理献立表を、いとも悲しき台辞の口調で読み始めました。
 なんと、それを聞いていうちに、満座の人々すっかり感動して、涙を流さざるなしという有様。この論争は、みごとその名優の勝利となったそうです。(以上)

「さてもありぬべし」。名人は、こうなのでしょう。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 相互依存 | トップ | 内言(ないげん)が外言(がい... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

都市開教」カテゴリの最新記事