
『心理学』(大山 正, 中島 力, 詫摩 武俊・有斐閣双書)は、700ページもある分厚い本ですが、興味あることが説かれていました。あくまでも私にとってですが。その部分だけを転載します。
言語がもっているこれら2つの働きを,ヴィゴッ― (Vygotsky, 1934)は外言と内言と呼んで区別した。すなわち,声に出してコミュニケーションの道具として用いられる言語を外言と呼び,声に出さずに頭のなかで思考の道具として用いられる言語を内言と呼んだのである。では外言と内言の間にはどのような関係があるのだろうか。ヴィゴッキーは,内言は外言から派生したものだと考えた。すなわち,言語はまずコミュニケーショッの道具(外言)として発生するが,人間の成長・発達の過程で思考の道具(外言)の働きを獲得するのだと考えたのである。したがって,外言から内言が派生する過程で,外言の形をとりながらも機能としては内言の働きをする言が派生する過程で、外言の形をとりながら機能としては内言のはたらきをする言語が出現することがある。それは、声には出されるが、コミュニケーションの道具としての働きはもたない,いわゆる「独り言」のような発話である。この中の話は3歳から6歳頃にかけて頻繁に出現することが知られており,ピアジェは(Piaget, 1923)はこれを自己中心的言語と呼んだ。これに対し内言は,この自己中心的言語の時期を経て後に出現する。このため内言は,外言として発生した言語が自己中心的言語の時期に思考の働きと出会い,思考の道具としての働きを獲得したものと考えられているのである。
言語と思考が密接な関係をもっていることは,ルリア(Luria, 1957)の実験からもうかがい知ることができる。ルリアは,3~6歳の子どもに,「赤いランプが点灯したときにはボタンを押し,青いランプが点灯したときにはボタンを押さない」という課題を与えた。その結果,3~4歳の子どもは,このような簡単な課題でも正しく反応できないことがわかった。ところが,赤いランプが点灯したときに子ども自身に「押せ」と言わせると,今度は正しく反応できるようになった。しかし,赤には「押せ」,青には「押すな」と言わせたり、赤にはボタンを2回押させるなど課題を難しくすると,正しく反応できなくなった。これに対し,5~6歳の子どもは,複雑な課題でも正しく反応することができ,しかも,「押せ」とか「押すな」など声に出して言わせなくても,正しく反応できることがわかった。このように,ルリアは内言が外言から派生する過程を巧妙な実験によってとらえたのである。(以上)
言葉と思考の関係が分って興味深い。「人間以外は、目の前にないものを思えない」との関連でもあります。
言語がもっているこれら2つの働きを,ヴィゴッ― (Vygotsky, 1934)は外言と内言と呼んで区別した。すなわち,声に出してコミュニケーションの道具として用いられる言語を外言と呼び,声に出さずに頭のなかで思考の道具として用いられる言語を内言と呼んだのである。では外言と内言の間にはどのような関係があるのだろうか。ヴィゴッキーは,内言は外言から派生したものだと考えた。すなわち,言語はまずコミュニケーショッの道具(外言)として発生するが,人間の成長・発達の過程で思考の道具(外言)の働きを獲得するのだと考えたのである。したがって,外言から内言が派生する過程で,外言の形をとりながらも機能としては内言の働きをする言が派生する過程で、外言の形をとりながら機能としては内言のはたらきをする言語が出現することがある。それは、声には出されるが、コミュニケーションの道具としての働きはもたない,いわゆる「独り言」のような発話である。この中の話は3歳から6歳頃にかけて頻繁に出現することが知られており,ピアジェは(Piaget, 1923)はこれを自己中心的言語と呼んだ。これに対し内言は,この自己中心的言語の時期を経て後に出現する。このため内言は,外言として発生した言語が自己中心的言語の時期に思考の働きと出会い,思考の道具としての働きを獲得したものと考えられているのである。
言語と思考が密接な関係をもっていることは,ルリア(Luria, 1957)の実験からもうかがい知ることができる。ルリアは,3~6歳の子どもに,「赤いランプが点灯したときにはボタンを押し,青いランプが点灯したときにはボタンを押さない」という課題を与えた。その結果,3~4歳の子どもは,このような簡単な課題でも正しく反応できないことがわかった。ところが,赤いランプが点灯したときに子ども自身に「押せ」と言わせると,今度は正しく反応できるようになった。しかし,赤には「押せ」,青には「押すな」と言わせたり、赤にはボタンを2回押させるなど課題を難しくすると,正しく反応できなくなった。これに対し,5~6歳の子どもは,複雑な課題でも正しく反応することができ,しかも,「押せ」とか「押すな」など声に出して言わせなくても,正しく反応できることがわかった。このように,ルリアは内言が外言から派生する過程を巧妙な実験によってとらえたのである。(以上)
言葉と思考の関係が分って興味深い。「人間以外は、目の前にないものを思えない」との関連でもあります。
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