『ウニコット用語辞典』からの引用です。
「移行対象」についてです。
移行対象(transitional object)とは、過渡対象とも呼ばれる、乳幼児が特別の愛着を寄せるようになる毛布、タオル、ぬいぐるみ等を指す。その主たる機能は、母親との分離などのストレスフルな状況で、母親やその乳房の象徴的代理として、子に安心を与え、情緒を静穏化するところにある。乳幼児は、移行対象を触ったり口にくわえたりすることによって安心感を得るが、ウィニコットによれば、こうした対象は、乳幼児が「自分は万能ではない」という現実を受け入れていく過程を橋渡しし、母子未分化な状態から分化した状態への移行を促すものである。この意味で、移行対象は幼児の精神発達上重要な働きをしている。一般的に絶対的依存期から相対的依存期の過渡期である移行期(6ヶ月~1歳頃)にかけて発現することが多い。
ウィニコットは,新生児の拳や指や親指の使用と,(3ヵ月から12ヵ月くらい)年長の幼児のテディベアや人形,あるいは柔らかいおもちや、時には指しゃぶりとの関連を観察することから,第三の領域のこうした認識に至った。
新生児が拳を口に突っ込む活動に始まり,やがてついにはテディペアや人形,柔らかいおもちゃ,あるいは硬いおもちゃへの愛着に至る一連の出来事には,幅広いバリエーションが見受けられる。
ここでは,口唇的な興奮や満足があらゆることの基礎かも知れないが,それら以外の何かが重要であることも明らかである。他の多くの重要な事柄のなかには,以下のようなことが含まれている。
対象の性質。
対象を「自分でない」ものと認識する幼児の能力。
対象の場所一一外側か,内側か,あるいはその境界線上か。
対象を創造し,思い描き,工夫し,考案し,生み出す幼児の能力。
愛情のこもった対象関係様式の始まり。
(つづく)
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