超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

Syrup16g全曲レビューその10「手首」

2010-07-16 23:01:48 | Syrup16g全曲レビュー




「誰もお前を 気になどしていない
 身代わりならうなる程いる
 だから心配すんな」


大丈夫~、とか、心配しないで~と訴えかけるナンバーは数多くあれど
よもやこんな形で諭されるナンバーは当時初めて聴いたと言うか。 というか、今もないです。


「新しいもんは何もないさ
 目に写るものはすべてもうそこにある
 多分ある
 見たことあるぜ」


こんな身も蓋もない歌詞を堂々と歌うセンス。色々な意味で現状確認を促してくれるナンバー。
って訳で、Syrup16g全曲レビューその10は「手首」です。
記念すべき10回目だけど、去年から始めて10回目だから全然遅いよな。結構間隔置きたくなっちゃうんですよね。
頑張ればもっと詰めて出来るんですけど、
やっぱやるんだったら色々考えて書きたいし。

そういや、この曲が入ったアルバムが出てから8年も経つんだ。そんな前だったっけ?って感じですけど。
来年で「COPY」なんかは10周年なんだねえ・・・。
未だに色褪せないのが凄いと思う。マジで。





手首     アルバム「coup d'Etat」収録



非常にシリアスで重いナンバー。サウンドも重いし、歌詞も重い。
というかそれ言っちゃダメでしょ、ってことをトコトンまで言い切っているナンバーで
最終的には「っていうかお前は何でそこにいる」って位まで主人公(又は、聴き手)を追い詰めます。
それに対する返しが「手首切る気になれないなあ もうだって両手はとっくに血まみれのままさ」ってのもまた凄い、というか
凄いというよりも、ある意味イッちゃってるというか
でも分かると言えば分かると言うか。
 多分底辺に近ければ近いほどよく理解できる世界観の曲なんじゃないですかねえ。
そりゃ売れるわけないわな。
ここまでハナっから共感を捨ててる曲も、珍しいような。
そればっか、って言われればそうなんですけどね。
だからこそ、好きな人はそりゃもう人生を狂わされるくらいにまで好きになるようなバンドだった訳なんですけれど。


割とSyrup16gの曲って、直に死とか自殺とかを連想させる曲って実はあんまないと思うんですけど
この曲はそんな中でも非常に大胆に、攻め気味に聴き手だったり曲の主人公を責めるパターンの曲で
初アルバムに入っている「デイパス」に通じる世界観も持っている曲だと思います。
自分が考える限り、ここまであからさまな曲は初期のシロップ特有、だと思うんですけど。
 その分、リスナーへの突き刺さり方も大きくて
聴いててちっとも楽しくないし、希望のかけらもないような、又はそれが砕かれてしまっている様な曲ですが
個人的に思うに、
最底辺の状況でも、この主人公が終わりを選ばなかった事、
それ自体がある意味希望であり、どんな状況でも続けて行かなければいけない、っていう
観念的な要素もあるとはいえ、決して後ろ向きってだけじゃない、
ここから先へ進む意志も垣間見れるような、そういう曲としても捉える事が出来ると思う。
 勿論、それは多分自発的ではないと思うし
それが幸せなのか、って問われたら何とも言えない部分ではあるんですけど。
 誰だって生きてれば傷付くし傷つけるし自ら傷つけたりすると思うんですけど
答えが出ないままでも
そんな負い目のある事実を認めることを喚起させるような・・・個人的にはそういう曲と感じています。


「くだらない事言ってないで 早く働けよ
 無駄にいいもんばかり食わされて腹出てるぜ」


冒頭のこのフレーズからして必殺感漂うキレのある名曲。
どんだけ転んだり転ばされたりして血を流しても、結局はただそれだけなんだよ、って思わされる曲です。
要は、そのままで行くしか選択出来ないっていう。
個人的にはそういう解釈です。
 或いは、もうこんだけ傷んでるんだから、どうなろうがもう同じっちゅうか、感覚が麻痺してる的な。
それを考えると、やっぱり観念的な曲だなあ、って最終的には思いますね。






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