超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

CooRie「Imagination Market」

2010-02-15 22:34:15 | 音楽(全曲レビュー)

まだまだ続くよ2009年の全曲レビューシリーズ!ってことで今回はCooRieの「Imagination Market」。
この時期には非常にふさわしい、ミドルバラッド多目の温かいアルバム。
王道ポップスをこなしつつも所々で変化球的要素をきちんと入れてくるのは流石。と言う訳で以下↓




1.Listen

いきなりインストから。こういう始まり方はCooRieにしちゃ珍しい。
本遍が割と原点的バラードをじっくり聴かせる仕様になっているので、まずは軽く挨拶といった感じ。の、インスト。



2.Imagination Market

タイトルナンバー。それぞれの感性で自分の好きなものを選んで行こう、と投げかけるポップ・チューン。
メロディ的には聴き込むとどんどん良くなる感じ。音もデジポップっぽくて結構新鮮。
「下手な美学は捨てて 思いっきり不器用でもいい」
「違和感も大事にしましょう」等
意外と鋭い言葉選びをしている歌詞も中々面白い。

この曲で注目したい部分は、あくまで聴き手側の感性を重要視していること。
投げかけられた想像力をただ受け取るんじゃなく、自分自身で選ぶべきと示唆しているような、意志のある曲。



3.パルトネール

08年の年末に切られた超ハイテンション・ポップナンバー。完全に勢い重視。
恐らくBPM的にはCooRie史上最速であり、そこはかとない攻撃性、がむしゃら感もあって
これをノンタイアップで切る事自体何らかの意思表示に感じてしまう、そんな曲。ちょうど歌詞の中で

「さらけ出さなきゃ掴めない」

というフレーズもあり、メッセージというよりはむしろ歌い手自身に奮起を促しているような
とても力強い、魂が込められた渾身の一曲。
ある意味振り切ったと思う。

ついでに「サイヤイヤー」ってコーラスが素敵過ぎる(笑)。多分、「最愛」と掛けてるんだと。


4.ALIVE

この曲はいつも通りのミドルバラッドなのだが、バイオリンが主張しているアレンジでもって
いつも通りにならず新鮮な聴き心地を与えてくれてるような、そういう曲。
バイオリンの音色が中々鋭くて素敵。

で、歌詞については本人の実体験だと思われるリアル性の高い言葉がちらほら。
最近スランプに陥っていたらしく、その頃書いた曲とも推測できるが。
「相棒の楽器はSY99で~」、って一般人には何のことだかさっぱりですよ(笑)。
でもそういう私的な部分をはっきりと出しているのは面白い。



5.僕たちの行方

バラード曲が多い今作でも、屈指の完成度だと思う。伸びやかなサビと丁寧な歌詞の絡み合いが何とも言えず。
別にそこまで新鮮でもないんだけど、不思議と飽きずに聴ける力がこの曲にはあると思う。
「難しい言葉より 手と手をつなごうか」って歌詞が凄く好きだ。



6.雨上がり君のもとへ

いかにもCooRieらしいメロディだが、その分安定感も抜群
安心して聴けるポップ・チューンに仕上がっている。言葉選びの端正さも流石のもの。
 ただ個人的には「愛を~」の部分にやたらアクセントを置いて歌っているのが印象に残っていて、
いつもと一緒にならないように細かい違いを入れているのがお気に入りだったり。
ナチュラルさも何気に際立っている。



7.キミナシノセカイ

本人がアレンジも担当した曲。
初めてのアレンジという事もあり、割とアレンジしやすい、易しめな曲を持ってきた印象。
「~キミナシノセカイ~」のコーラスアレンジが神秘的な感じで中々良い。
それと全体的に暗めなのもちょっとらしい感じもする(笑)。
意外と後ろ向きな部分も垣間見せてますからね。これまでの楽曲の中で。



8.Thank you for the Music

これはいいアクセント。この流れで聴くとめちゃくちゃ目立ちますね。ベストな配置だと思う。
前の曲が若干湿り気のある曲なので、一気にカラッと晴れ渡ったかのような雰囲気が。
軽やかなメロディに、色彩豊かなアレンジ。
ウキウキして飛び出したくなるようなポジティブな歌詞。前の曲と真逆すぎるな(笑)。
 この曲元々カップリングだったんだけど、正直シングルでもいいのでは?と思ってたので
こうしてアルバムに収録されたことは嬉しい限り。

「使い捨ての感情 いくつあっても足んない 欲しいのはいつも 本当のトコ」

何気にこんな鋭いフレーズを入れてくるセンスも好きだったり。



9.想い出に変わるまで

再びバラード攻勢に。この曲は王道中の王道だが、それを意識せずに聴けば実にしっかりと練られたメロディ。
数回聴いてる内に段々と沁みるようになってきた、そんな曲。
初聴きの段階だとやや影は薄いかな?



10.君にヘッドフォン

これまた強力なバラッド。実はこれ2ndに収録されてた「いろは」のカップリング曲で、
数年経ってようやく収録という妙な経緯を辿った曲なんだけど
個人的にはとても好きな曲だから良し(笑)。
このアルバムのテーマ的には、この辺で憂いのあるナンバーを入れるのは確かに正しいかもな~、と。
流れ的にも合ってると思う。
 この曲はメロディの強さもいいんだけれど、ポストロックを齧ったような絶妙なアレンジも個人的に聴き所だったり。



11.IF:この世界で

このアルバム随一の名曲。どころか、キャリアから考えても確実に代表曲の一つになったと思う。
こういうキャッチーな曲を作らせたらCooRieはやっぱ強いなあ。
ここまで澄み切ったメロディどうやって思いつくんだろ。

で、ただキレイなだけのメロディじゃなくて、性急なアレンジを加える事によって
メロディが更に磨かれているというか、張り詰めたような空気感が伴っているというか。
こういうシリアスなポップ・チューンはやっぱり聴き応えがあって好きです。
切実な思いを前面に押し出したボーカルも実に素晴らしいと思う。歌詞も何気にひねってますね。
 去年のポップ・ソングの中ではトップクラスに好きな曲です。

結構聴いてる最中に風景や場面が浮かんでくる曲でもあり、今作で一番イマジネーションを刺激してくれてるな、
という感触も。



12.幸せになるために

色々と後ろ向きな部分や、自問自答的な部分がありつつも、
最後は「幸せになるために生まれてきたんだから・・・」と自身にも他人にも訴えかけるような
幸福感の強いポップ・チューンで締めです。
幸福感っていうか、願いとか祈りの類か。
このアルバムではこういう曲がラストに来るべきだし、ベタと言われてもこれが一番正しいと思う。
CooRieの歌声もアルバム随一の優しさを発揮しています。

「好きな事を好きだって 言える自分でいたい」

これは自分も常々そうあろうと努力している事なので、歌ってくれて嬉しかった。良い幕引きだと思う。




結構このアルバムに限らず、CooRieの作品では「少しでも強くなる」「自分らしさを保つ」ってことが
ある種のテーマになっているように思うんですが
このアルバムは特にそれが顕著に出ているというか
ある意味作者本人の気持ちを曲に乗せて聴き手に託している、訴えかけているような
実はプライベート性も高いアルバムなんじゃないかと思います。
で、やっぱり、だからこそ身近に感じられるというか、リアルに感じられるというか。

個人的に前作が最高傑作だと思ってますが、この作品はこの作品で長く聴ける類の作品になったんじゃないか、
と何度も聴いてる内にそう思えるようになりました。
聴き込めば聴き込むほど、前作にも負けてない!と思えてくる。
とにかく温か味が伝わってくるアルバムです。

んで、名曲「星屑のサラウンド」未収録ということで、それが収録されるであろう次回作への期待も満々です!




さて、2009年の全曲レビューは残り一作品の予定。今月中にはなんとか。







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