ねごとのニュー・シングル「シンクロマニカ」を聴いた。
これは凄く決定打のような気がする楽曲ですね
個人的に「シンクロマニカ/いつの間にか」っていうフレーズの語呂の良さでまず気に入った曲ですけど
そもそもがサビがサビっぽくないというか、むしろBメロのままスパッと終わるイメージで
それが非常にクールでシックにも思えるのがまず良いです
オルタナティブというか、
スッと流れていく感じでベタつきが一切無い
その構成とメロディラインの美しさが素晴らしいと思える曲なんですが
同時にこれまたねごと「らしさ」をもう一段階更新出来たなと感じる楽曲でもあって
おとぎ話のような楽曲観、バンド名から離れないドリーミーな感触、語り部のような歌詞の口調
だけど現実から遠のいてもいないメッセージ性とテーマ性を確かに内包していて
初期のファンタジックな世界観と
今培っている経験が正しく滲んだ印象の新曲
夢と現実が交差しあっている、現実でもあり夢でもあるようなどちらにも感じる事の出来る絶妙な塩梅
盛り上げる事よりもナチュラルさを追求しているサビの流麗さも相当お気に入りですが
よりねごとらしい記名性を増した歌詞も同じく素晴らしいと感じられる曲ですね
スーッと流れていくような曲調ですけど
意外と歌詞も耳に残って、
記憶に残って確かな糧になる、ポップアンセムの理想型のような楽曲にも思えて
ほぼ一発で好きになれた渾身のキラーチューンだと思います また一歩進化したねごとを聴けた感覚ですね。
サビっぽさがそんなに出ていないナチュラルで独特の楽曲をシングルに出来たのは大きいんじゃないかと。
また、これは素直に感じた事なんですが
歌が以前よりも流暢に、上手くなっているなあって聴いてると思います
勿論デビュー時から別に荒削りと言う事もなくある程度の上手さを保ってたんですが
それよりも丁寧に、伝わりやすく、かつ瑞々しさが増している印象で
艶っぽさもまた出始めている
その歌が良くなっている、という感触が
元来ナチュラルさを追求しているこの曲に於いては凄く威力を発揮していて
これからの楽曲に於ける歌の魅せ方にも期待したくなるようなボーカルに仕上がっていますね
別に久々に聴いた、というワケでもないのでこの成長を個人的に感じられたのは嬉しかったですね
言葉の一つ一つに想いを込められている感じもするし、よりストイックになって来たとも言えると思う
あまり自己主張をせずあくまで楽曲に寄り添っている気もするのでそれも良い方向に作用したのかなあ、と
ねごとのニュー・シングル、アルバム後の新曲という事ですが
大きくジャンプアップ、
ブラッシュアップされたのをまじまじと感じ取れた名シングルだと思います
カップリングの原曲とはまた違う、大幅にアレンジを施された「ばらの花」と
リミックスの「Lightdentity」も各々で良かったしスムーズに聴ける出来栄えでした
ただ突き詰めたナチュラル、独特のテイスト、歌の上手さ等ストロングポイントは明確にある楽曲なんですが
それに加えて2回目のサビ後のブレイクとその後の聴き手に訴えかけるような熱い歌声、と
スッと聴ける美しさだけが突出している曲でもないんですよね
最後にハッとする展開を加えて終わるというか、
一筋縄ではいかない格好良さ。
基本的にはポップでキャッチーな曲ですがそのブレイクの戯曲のような緩急には
正直かなり興奮しますし叫ぶように終わるラストもロール感がよく出ていて実直にグッと来る
わずか3分間の中で濃密にバンド・マジックを炸裂させ切っているアンサンブルの逞しさ・・・もまた
この曲で注目すべき事柄かな、と
電子音を生かしたポップアンセムと思いきや
意外と挑発的な部分やバンド感にもこだわっていたりつくづく面白い楽曲ですね
派手、というよりは前述のようにクールでシックさの方が強いと思うので売れ線かどうかは謎ですが
「ねごとらしさ」という点に於いてはここに来てもう一段階上の決定打を放ってくれた印象
この曲を聴けばねごとっていうバンドのユニークさ、記名性がはっきりと伝わる会心の一曲かと
個人的に大好きでここ数日かなりの頻度でリピートしている楽曲ですね
秋の涼やかな雰囲気にも合ってる気が。
私個人の主張として人生はまるでゲームのよう
何度も敵にやられて死んで、その度に自分の中で何かをリセットさせて生まれ変わる
要するに肉体的な生き死にだけでなく精神的な死を何度も経験するもんだと思ってるんですけど
この曲はそういう事を日々思って生きている私にとってはドンピシャのテーマ性でもありました
悲しみ、絶望に一度は心蝕まれ精神的な死を経験するけど
自分の中で(時に手伝ってもらって)折り合いを付けて、またもう一度生まれ変わる
その時の心象風景が作中で描かれている感触があるのでその意味でもお気に入りの楽曲ですね
心地良い祝祭感と、それ以上の切実な想いの表現・・・と、方向性もまた個人的趣向の範疇
一曲の中で琴線に触れる部分が多々あるのが素敵なんですが
それもわずか約3分間の出来事、なので
改めて自分の中では凄まじい曲だなあ~ってつくづく感じるのでした。
久々に生で観たいな、って気持ちも呼び覚ましてくれました。
やっぱり侮れないバンドです。