超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

PINK/曽我部恵一

2011-04-28 23:54:19 | 音楽





曽我部恵一の「PINK」を聴いた。





すごい、アホみたいな感想なんですが、
まずは「春」っぽい(笑)。
いやまあタイトルはピンクだし題名も春がよく付いてるので当たり前といえば当たり前なんですけど
面白いのは前の「けいちゃん」が夏のアルバムだったとすると今回は春な訳で
最近の曽我部恵一の作品は季節感を大きく意識してるのなあ、と。
その季節にピッタリのサウンドトラックを仕上げてる印象。
それでいてその演出に成功してると思うんです。

キャッチーな曲はない。その分思いっきり春の陽気に溶け込んで行きそうな曲ばかり、
気合を入れてさあ聴くぞ!ってよりは
なんとなくぼーっと窓から空でも眺めながら聴いていたい感じ。
あるいは電車の中でウトウトしながら、旅のお供にでも持っていきたい雰囲気もある。
春といえばその分ドラマも生まれやすいし、出会い別れもあるけれど
そこにフォーカスしたってよりは
春の日常、日々の生活感を意識したアルバムで過剰なドラマ性は皆無で。
だからこそ聴く人によっては評価が分かれるかもしれないが、
これはこれでやり切ったアルバムとしていいんじゃないか。
少なくともコンセプト負けはしてないと思います。

個人的に、完全に景色の一部を切り取った「普通の女の子」、
どこにでもある出来事を彩りを添えて歌われる「がるそん」、
そしてリードトラック、正に春のまどろみそのものな「春の嵐」あたりが特にお気に入り。
こういう最低限の味付けで聴かせる音楽の良さも是非、というところ。



ここのところ台風の目的というか
バンド形態で傑作を連発してきたからこそ、小休止みたいな作品が続いてますね。
それでも毎回一年足らずで届けられるのは流石ですね。
次の動きにも注目。



チャットモンチー「YOU MORE前線」@大宮ソニックシティ 11.4.27

2011-04-28 02:17:43 | ライブレポ







今日はチャットモンチーのライブを観に、なんと埼玉県は大宮まで行ってきました。初さいたまライブ!





本当ならホールツアー(といいつつライブ箱も含まれてるが)一発目は神奈川県民ホールのはずが
震災の影響で延期になり、結果的に今回の大宮ソニックシティが一発目になったんですよね。
待望の「YOU MORE前線ツアー」ですよ。
いやー本当に楽しかった!
もう、それだけ。
もうそれだけで済ましたいくらい。新譜の曲がどれもすっごい良くて。いちいち感動した。

が、流石に埼玉は遠かった(汗)。
横須賀でも3時間以内には着いたんですけど、今回の移動時間は3時間をも越えちゃって
それは計算してたよりも長い時間で
大宮駅に着いたのがなんと開演時間の7時っていう(ダメじゃん!)。

ああもう始まっちゃうんだろうなー、と思いながら
当然はじめて来た大宮を一気に走って歩いて、10分を越えたあたりでようやく入り口発見。
「もう一曲目かな・・・」と先日のNICOよろしく諦め気味に中に入ると
なんとちょうど一曲目が始まるところだったんですねえ・・・。
普段だったら10分以上開演から経つと早くやれ的な事を思うんですけど
今回ばかりは正直サンキューって思いました。
自分勝手だな(笑)。


という訳で個人的に音響はベストだったと思う大宮ソニックシティ公演開幕です!
文字通り「YOU MORE」のジャケをそのまま使った幕が上がって
いよいよ、っていうか着いたらすぐライブはスタート。
ちなみにセトリのネタバレ有りなので注意。





いきなり神妙な感じで「桜前線」。思った以上にスタートには相応しい曲で、リズムも面白い。
ちなみに福岡さんはベースではなくピアノでの参加。
次にベースに持ち替えて「レディナビゲーション」。やっぱりBメロの前のめりな感じがすっごく気持ち良い!
ホールだけどこの時点で既にノリノリ。
「少年のジャンプ」「シャングリラ」とノリの良い楽曲が続いて、ライブハウスさながらの一体感を生み出す。
新年仕様に、太鼓やはっぴを着て奏でられた「謹賀新年」の粋な演出も面白かったし
アコギを使ってゆったりと演奏された「Boyfriend」もほっこり出来て良かった。
緩急をわきまえてる感じのセトリでした。
「バスロマンス」はいつも以上に間奏のギターフレーズが光ってて最高でした。

会場の誕生日の人にお花を渡してその人を祝おう、というこれまたハッピーな演出の元で
奏でられた「バースデーケーキの上を歩いて帰った」も一体感があってこれまた素晴らしかったけど
それ以上にひねくれたギターフレーズが改めて印象に残ってたり。
やっぱりオルタナ精神強いバンドなんだな、と。
 そして「見せるからー!」の部分がやけに強めに歌われた「草原に立つ二本の木のように」、
ライブ映えしまくってた「青春の一番札所」、
どこを切っても楽しくて、それでいてエッジの効いた瞬間ばかりで、本当に楽しい楽しい。

と思いきやミディアムな曲も忘れずにプレイ、
「涙の行方」「Last Kiss」の2連発に加えて決め手は「染まるよ」。
既存曲との組み合わせも上手くて思わず聴き入ってしまいました。あの流れは完璧に近かったね。


そしてライブは後半戦へ向けて徐々にヒートアップ
今や堂々たる完成度を誇るアンサンブルでどの曲もポップに、骨太に聴かせてくれて
個々の曲の満足度も半端ではなかったんですが
極めつけはなんといっても「拳銃」!
この曲はね、本当に・・・格好良いですよ。音源の何倍も確実に化けてたと思う。チビるくらいに。

そんな獰猛なロックンロールを奏でた後に、今度は「余韻」でジワジワと白熱するバンド演奏を披露
観ていて手に汗握るくらいに集中しまくってる演奏は非常に至福でした。
また、最後の歌部分がやけに素晴らしく聴こえた「Last Love Letter」も感激しました。
本当に何の引っ掛かりもないくらい完璧で、
ちょっとどうしたの?って言いたくなるくらいに。
コンディションがいつもよりも良かったのかな。全体的にサウンドの完成度がえらい高かった。

それはアンコールでも強く実感したんですが
「ここだけの話」での自由に激しい演奏のダイナミズムとか
最早懐かしい曲でもある「ハナノユメ」の瑞々しさなど演奏の鮮度が最後まで保たれてて
ライブバンドとしての成長をはっきりと感じました。
最後までちゃんと集中出来て演奏やれてた印象が今もありますね。本当に楽しいライブでした。ありがとう!




セトリ
1.桜前線
2.レディナビゲーション
3.少年のジャンプ
4.シャングリラ
5.謹賀新年
6.Boyfriend
7.バスロマンス
8.バースデーケーキの上を歩いて帰った
9.草原に立つ二本の木のように
10.青春の一番札所
11.涙の行方
12.Last Kiss
13.染まるよ
14.風吹けば恋
15.Last Love Letter
16.拳銃
17.余韻
encore
18.ここだけの話
19.ハナノユメ


同じ関東、と行っても流石に埼玉は遠く、もはやプチ遠征みたいな感じになっちゃってたんですが
それでもこの出来のライブならばそれも全然OKというか
正直予想以上に楽しいライブでした。
予想以上に楽しいツアーになりそうです。思ったより新譜の曲どれもライブに向いてる。
特に「拳銃」は音響の良さもあってか非常に凄まじく、鳥肌モノと言っても過言じゃないくらい。
演奏の安定感も中々のもので
元々ライブバンドだと思ってるけど、ここ数本のライブの中では一番良くて
ますます成長してきたのか、と嬉しくなるライブでした。
まだツアー始まったばかりなのにあそこまで新譜の曲を手なずけてるのは素直に感心しますね。


そして埼玉に行くのは2度目、ライブを観るなんて初めてでした。
市原から大宮は流石にやや無茶でしたが
それでも行った甲斐はありまくりの、嬉しさと楽しさでいっぱいの初埼玉ライブでした。
一曲目の始まりの瞬間が何気に神妙ですごいお気に入りでした。
ハイライトはやっぱり「拳銃」で。