超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

NIRGILIS待望論

2009-03-20 21:11:42 | 音楽
個人的に、新譜を待ち望んでいるバンドや歌手は沢山いますが
(DMBQやKING BROTHERSとか!),
そのようなバンドは大体、もう何年も何も出してない状態であり
いつ届くかも判らない状態なんですが
今回取り上げるNIRGILISに関しては、、むしろコンスタントに
リリースが続いている、なのにも関わらずずっとアルバムが出ないわけです。
しかし、そんな不満が募る中、4月8日に遂にアルバムのリリースが決定しました。
3年ぶりです。 タイトルは「RGB」!

ちなみに去年出したミニアルバム「チックチックチック」に
アマゾンでレビューを付けたんですがその時の記述だと
「もうすぐアルバムが出るはず」と自分は言ってますが
あれから1年は経っている事実に我ながら恥ずかしくなる。

ってことでこの3年間のNIRGILISの歩みを振り返る記事です。
それと共に、次のアルバムについての展望も。

まず私とNIRGILISとの出会いはラジオで聴いた「ソプラノ」だったのですが
その時は「sakura」やアルバム「BOY」で見せていたような
マッシュアップやアップビートのバンドスタイルではなく
むしろちょっと暗い、アングラ系のバンドといった印象でした。

しかし作品を重ねるごとにどんどん方向性が開けていき、
特に「コモンガール」という曲以降、メジャー志向と言うか
オーバーグラウンドを意識した音作りになっていきました。
その結果、「BOY」という傑作ポップ・アルバムが生まれたのはいうまでもなく。
つまりは、個人的に今の方向性の方が彼女らには合ってるように思えます。
だからこそ、「BOY」からの快進撃、
ポテンヒットした「Sakura」のようなキャッチーな曲を
ガンガン生み出してJ-POPシーンに殴り込みを掛けてくれる事を期待したのです。
 ただ、現時点ではそこまでの成果は上がっておらず、
むしろメジャー志向でありながらコアなリスナーにしか聴かれないような
実質的には再びアングラ系に位置されてもおかしくないポジションに
収まってしまいました。
これが実に不満で、NIRGILISは常にド真ん中のポップを
わかりやすく丁寧に工夫して、じっくりと仕上げてるのに
それがその場しのぎのような即興の歌に負けているのが解せないんですよね。
ってかくと何様だよって感じもしますが。

「BOY」という作品は、ジャンルに捉われずにロックやポップスはもちろん
パンキッシュな曲から、テクノナンバー、また前述した「マッシュアップ」という
オリジナル曲と既存の曲を組み合わせる手法も取り入れていた作品で。
日本では彼女らがやり始めた方法論であることは(多分)確実だと思われます。
事実、「Sakura」以降、この方法論を使うアーティストが
どんどん出てきたのは印象に残っています。

また最近は打ち込みを主体とするバンドが増えてきたわけですが
彼女らはそのずっと前から打ち込みサウンドを主体としており、
今考えれば「ちょっと先取りしすぎた?」とも思いますね。
サカナクションと共に売れて欲しかったなあ。
「BOY」でも打ち込みと生音の融合がきちんとした形で
聴いてて格段に気持ちいいレベルで鳴らされており、その点でもやはり傑作です。
「Today」「虹」「24サーチライト」などビート感も強く、
アッチュの歌唱法も含めてオリジナルを確立した作品であると思います。


ここまでが前置きです(長い・・・)。
その後のシングルを一作ずつ振り返ってみます。

「SNOW KISS」(06年)
「BOY」以降では初めて切られたシングルで、
これもタイアップがついていた為、割と売り上げは良かったです。
日本の歌謡曲を意識した曲、とのことですが
クールなシンセの音色と、抑え気味なボーカリゼイションで
そこまでベタベタではなく、丁度いい温度感でポップが鳴らされています。

「アップデート」(07年)
前のシングルから半年足らずで届いたので、
この時点で「07年じゅうにはアルバムか」と思っていた覚えが。
これも映画の主題歌になってたんですが、売り上げには結びつかず。
だけど個人的にはイントロの春らしい打ち込みのビートや
サビの凛とした感じが非常に好み。
一言で言うと、「押し付けがましくないポップ・ソング」。

「Brandnew Day」(07年)
これが超キャッチーな曲で!
波のような打ち込みのリフが電気グルーヴを彷彿とさせる。
あと、歌がすごい気持ちよく響いていて。
元々アッチュは高音のボーカリストだが、
もう限界まで振り絞ったような突き抜け感。
余談ですが、このシングルと同日にエレカシの「俺たちの明日」が出たので
この2曲を交互に繰り返し聴いてた覚えがあります。

「チックチックチック」(08年)
これはミニアルバムですが、新曲2曲とリミックス3曲なので
ある意味シングルとそこまで変わりは無い。
これも、「Brandnew Day」同様に
突き抜けた歌と、飛びぬけたメロディがツボにはまります。
あとアレンジも面白くて、ディスコや歌謡曲、デジタルサウンドが
全て一緒くたになっているのが奇抜。

「kiseki」(09年)
で、これが最新シングルですよ!
以前、雑記にも書いたけどこれはポップ・ソングや
打ち込みバンドの楽曲としてはトップレベルのクオリティで、
重たいビートと近未来的なアレンジががっちり組み合わさって
これ以上ないくらいNIRGILISの独自性が光っている曲です。
また、歌詞もサウンドを生かすために
あえてシンプルで、わかりやすい言葉を多用していて。
サウンド主体のポップバンドが下火なだけに、
こういった楽曲は本当に貴重です。
あと楽曲中で使われている「鐘の音」も効果的で。
12時や真夜中を彷彿とさせる。
あとカップリングも「kiseki」に近い、弾けた楽曲になっていて
この2曲だけで踊り明かせそうなほど即効性のあるシングルです。

あとはリミックス・アルバムの「GIRL」も出てますが、
これは次のアルバムに関係ないと思うので割愛。
伊藤考氣の脱退は残念だったな。


こうして、この3年間の間に出されたシングルを改めて振り返ると
どの曲も入りやすい、キャッチーな曲が多い事に気づきます。
一発でのれる曲たちです。
これを考えると、彼女らはキャッチーという部分にこだわってるんじゃないか、
と自然に思えてきて。
つまりは、常に勝負していると思うわけです。
その勝負はクオリティという面では常に勝ち続けていると思いますが
セールスという面では、ほぼ負け続けています。

だからこそ、なぜここまで間隔を空けてしまったのか?というのが
一ファンとしては疑問だったり。
そこまでじらさなくても。
ただ次のアルバムに「kiseki」までのリード曲が
全て収録される事実を考えると非常に楽しみになってくるのも事実です。
要は、次のアルバムはこれまでで一番聴きやすく、キャッチーになる可能性が高いと。
前のめりな楽曲が多く切られているので、
アルバムでは変化球や実験性のある楽曲も置かれそうだ。
「BOY」で一つのスタイルを確立したと思うので
そこからの広がりを感じさせるアルバムになると予想しています。

サカナクションやthe telephonesあたりが好きな人にいいたい。
NIRGILISも仲間に入れてくれ!と。
ポップさでは負けてないぜ!
ってことで一刻も早くニューアルバムの発売を待ち望んでいるのであります。
「kiseki」が出た今なら、自信を持って出せるはず。
あとはメディアがきちんと取り上げてくれれば・・・。


結論としては、そろそろ勝負に勝って欲しいんですよね。それに尽きます。
ここまでのポップを鳴らしているのだから。


*記事の一部を手直ししました。

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