アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

映画「ジョニーは戦場へ行った」

2016-08-17 15:21:09 | 映画とドラマと本と絵画
    70年代にできて話題になった作品「ジョニーは戦場にいった」。見たつもりだったけれど、見てなかったらしい。きのうのNHKBSでの放映が始まる直前に気が付き、午後予定していた仕事をやめて、鑑賞しました。想像通りの強烈な反戦映画。おもしろかった。

    第一次大戦に参戦したアメリカの、貧しい工員だった主人公ジョーは、徴兵される直前に志願して戦場へ。そして爆撃にあい、乱歩の「芋虫」同様の姿になって病院に送られます。いえ、「芋虫」よりもっとひどいかも。手足どころか、顎も鼻も耳もなくなり、視覚、聴覚、嗅覚が失われます。

    医師も看護師も軍も、彼の脳は働いておらず、生きるしかばねと判断して、納屋同然の病室に押し込めます。他の人々の目に触れると、戦争の悲惨さを否が応でも感じさせるための措置かともおもうのですが、とにかく、観察対象ではあっても、生きる人間とはみなされません。

    ところが彼の脳は、実は正常に動いており、ぼんやりとではあっても靴音や、額に置かれた掌の柔らかさを感じることができます。しかし、そのことをかれは訴えるすべを持ちません。

    映画は終始、ジョーの心内語。彼の頭に浮かぶ、実際の思い出、妄想、夢などが交錯し、シュールな場面もいくつかあります。

    彼の頭が正常に動き、感情もあることを知った看護師により、事態は急展開します。首と頭がかろうじて動くのを利用して、ジョーは、件の看護師が連れてきた軍関係者、医師、牧師の前でモールス信号を打ち始めます。彼の必死の願いを、居合わせた人すべてが知ります。

   しかし、牧師の非難にかかわらず、軍の責任者はおもいのほかの非情な措置をとります。最後は絶望的な終わり方で幕を閉じます。

   この映画は、1939年に出た原作がもと。監督、脚本ともに、原作者・ドルトン・トランボによるもの。原作はアメリカ政府により何度も発禁の憂き目にあったそうですが、60年代後半から70年代の反戦運動の高まりの中で、映画化されたようです。

    とても重い映画。戦争でなくても、ジョーのような状態になることはいつでもありうること。ああなったときに、自分の頭のなかで何がおきるのだろうかとおもうと、ぞっとします。後悔や憎悪ばかりだとつらいだろうなあ。幸せなことだけが繰り返し思い出されるような人生でありたいものだと、あらためて思った、71年目の終戦記念日の翌日でした。

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