(1)高名な米国の数学者が亡くなった時に話題になった(本ブログでも記載した)のが、69年米国有人宇宙船が初めて人類を月に送り込んだアポロ計画で、同船長が計画に必要な精緻な計算をコンピューターではなくその高名な数学者の高度な計算に頼ったという話だ。
印象的な話で最後に有人宇宙計画の成功、命を託すのはコンピューターではなく「人」だという強い確信がみえた。
(2)民間事業計画としては世界初の宇宙ベンチャーの月着陸計画(無人)は立ち上げから13年の年月を費やして進められたが、「月を周回する軌道から次第に減速し垂直に降りていった」(報道)が予定時刻になっても着陸の信号が確認できずに急速に降下して通信が途絶え、着陸に失敗した模様だ。
(3)月への着陸は地球の6分の1といわれる重力があり、一旦降下するとやり直しができない(報道)といわれるピンポイント着陸だ。冒頭のこれまで唯一の人類を月に送り込むアポロ計画での米国数学者の精緻で高度な計算力に今更ながら驚かされる。
それでも今回の宇宙ベンチャー代表は月着陸船の月降下までのフライトデータが取得できたのは収穫だったと再挑戦の意気込みを語っている。
(4)NASAと契約して月に荷物を運ぶ計画や将来1000人規模が月で生活する計画など宇宙ビジネスは容易ではないが、パラドックスとしてピンポイントに入ることができれば成功できるもので失敗から得られる教訓を糧(かて)に将来有望とされる宇宙ビジネスの先駆けの民間宇宙ベンチャーとしての再挑戦が待たれる。
(5)人間が肉眼で確認できる、見れる星の月へのあこがれ、願望は大きいが、人間による宇宙創造物の開発利用には「哲学」がまだ存在せずに各国がそれぞれに競って月面着陸計画を実施しているだけだ。月への現実的なあこがれ、願望、夢を壊さない人類の叡智が試されてもいる。
(6)一方で地球ではスーダンの内戦で邦人関係者60人近くを国外退避させるのにも四苦八苦、死ぬ思いの恐怖を味わい、わずかに安全移動への多国間協力が有効に働いたことが救いだった。
今回の月着陸船の失敗は、人類は地球でやることがある、宇宙計画はそれからだの「哲学」を思い知らされた。