(1)事件は起きてからでは遅い。だからといって事件を起こさないために個人の自由、権利が必要以上に規制、制限されてはまともな社会生活などできないことになる。
法律は自由保障が原則の社会生活の中で、自由と自由が競合する不利益を社会理念、規範(paradigm)として調整し、整合性を持たせる役割として意味がある。
法律の適用は個人の自由を公益のために規制、制限するものだけに、解釈によってはどうにでもとれるものでは役割を果たさないので、あらかじめ適用範囲、内容を厳格に取り決めることが肝要だ。
(2)安保法制では自国への脅威をどの範囲まで含めるのかで、遠く中東のホルムズ海峡の機雷による海上封鎖まで石油タンカーの航行の自由を阻害して経済的不利益が生じるとして日本の脅威とすることで、自衛隊の海外派遣のケースになり得るとして、結局は際限のない世界どこへでも自衛隊の海外派遣の対象になるとの論争もあった。
その他攻撃を受けてからでは遅い、防衛できないとして同盟国米国などと協力して、海外の紛争地にまで出かけて共同軍事行動をとる集団的自衛権の行使の拡大解釈の安保法制となった。解釈によってどうにでもとれるものでは法律としての役割を果たさない。
(3)今国会で論点になっているのが、新設する「テロ等準備罪」(組織犯罪処罰法改正案)という「共謀罪」(an offense of conspiracy)だ。
政府は2020年東京五輪開催にあわせて、テロ防止対策を名目に共謀罪の成立を目指しているが、適用範囲、規制対象を巡ってこれまで国会審議で3度廃案になっているシロモノだ。
安倍首相は「一般の皆さんに『うっかりしたら(自分が処罰)対象になってしまう』という不安がある。今までの不安を払しょくし全く別のものをつくる」(報道)として意欲を示している。
(4)制度の運用によっては戦前の特高警察のように国民、市民の思想、信条まで制限されかねない思惑もみえる。かって全学連運動が過激化した頃には凶器準備集合罪というのがあって、角材を所持して集合しただけで罪に問えたが、現在のテロ事件は凶器そのものが特定できずに不規則であり、安全対策の確保のためにこれらに一律の法の網の目をかけようとすると「解釈」によっては一般社会生活にまで影響、支障を及ぼす危険性が指摘されている。
(5)こういうものを法律とはいわないし、これの行き着くところは特定地域、難民の入国禁止というトランプ大統領令の差別化(ワシントン連邦裁判所で全米での即時停止処分が決定した)と重なってしまうだろう。
法律は個人、社会の安全、権利を守る基準になるものではあるが、それだけで社会正義のパラダイムが守られるというものではない。
法律の対象、制限は必要最小限の明確なものにして、社会の安全、協力、協調、自覚意識の高まり、理解を国民、市民と共有することが法律の最大の趣旨でなければならない。
法律は自由保障が原則の社会生活の中で、自由と自由が競合する不利益を社会理念、規範(paradigm)として調整し、整合性を持たせる役割として意味がある。
法律の適用は個人の自由を公益のために規制、制限するものだけに、解釈によってはどうにでもとれるものでは役割を果たさないので、あらかじめ適用範囲、内容を厳格に取り決めることが肝要だ。
(2)安保法制では自国への脅威をどの範囲まで含めるのかで、遠く中東のホルムズ海峡の機雷による海上封鎖まで石油タンカーの航行の自由を阻害して経済的不利益が生じるとして日本の脅威とすることで、自衛隊の海外派遣のケースになり得るとして、結局は際限のない世界どこへでも自衛隊の海外派遣の対象になるとの論争もあった。
その他攻撃を受けてからでは遅い、防衛できないとして同盟国米国などと協力して、海外の紛争地にまで出かけて共同軍事行動をとる集団的自衛権の行使の拡大解釈の安保法制となった。解釈によってどうにでもとれるものでは法律としての役割を果たさない。
(3)今国会で論点になっているのが、新設する「テロ等準備罪」(組織犯罪処罰法改正案)という「共謀罪」(an offense of conspiracy)だ。
政府は2020年東京五輪開催にあわせて、テロ防止対策を名目に共謀罪の成立を目指しているが、適用範囲、規制対象を巡ってこれまで国会審議で3度廃案になっているシロモノだ。
安倍首相は「一般の皆さんに『うっかりしたら(自分が処罰)対象になってしまう』という不安がある。今までの不安を払しょくし全く別のものをつくる」(報道)として意欲を示している。
(4)制度の運用によっては戦前の特高警察のように国民、市民の思想、信条まで制限されかねない思惑もみえる。かって全学連運動が過激化した頃には凶器準備集合罪というのがあって、角材を所持して集合しただけで罪に問えたが、現在のテロ事件は凶器そのものが特定できずに不規則であり、安全対策の確保のためにこれらに一律の法の網の目をかけようとすると「解釈」によっては一般社会生活にまで影響、支障を及ぼす危険性が指摘されている。
(5)こういうものを法律とはいわないし、これの行き着くところは特定地域、難民の入国禁止というトランプ大統領令の差別化(ワシントン連邦裁判所で全米での即時停止処分が決定した)と重なってしまうだろう。
法律は個人、社会の安全、権利を守る基準になるものではあるが、それだけで社会正義のパラダイムが守られるというものではない。
法律の対象、制限は必要最小限の明確なものにして、社会の安全、協力、協調、自覚意識の高まり、理解を国民、市民と共有することが法律の最大の趣旨でなければならない。