いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

政労使会議。 conference of the government and the labor and the management

2023-02-09 20:51:36 | 日記
 (1)かって春闘というと経営者側と労働組合が賃上げ、労働条件を巡って激しくぶつかり合い、労働組合は要求実現のためにスト権を行使して労働組合中枢の電車がたびたびストで動かなくなり出勤時の大混乱を招いた風物詩であった。

 (2)しかし世界的な同時不況時代を経験して、経営者側も労働者側も生活基盤となる企業の存続第一、優先の考えで歩み寄り、双方ものわかりのいい解決の話し合いで決着する関係改善がみられるようになった。労使関係の成熟度の高まりとみられるものだが、実態をみれば企業は内部留保が過去最大を続けて数百兆円にものぼり、それに見合った労働者の賃上げには十分に応えるものではない関係は続く。

 (3)政府はデフレ脱却に向けて賃上げを企業に要請して大企業中心に賃上げ効果はみられるが、大多数の中小企業まで波及するには至っていない。変化がみられたのは安倍元首相の第2次政権下でリフレ派の黒田東彦氏を日銀総裁に起用して、それまでの2倍のカネを市場に大量に供給する大胆な金融緩和策を実施して円安、株高効果を生んでデフレ脱却のための物価上昇2%達成目標を目指した。

 (4)市場経済は本来は企業の自由で自主的、自発的活動であるべきものが、当時の安倍首相は官邸主導で政府内に政労経会議を設置して法人税減額優遇により官民一体での賃上げを要請して4年連続での賃上げは実現したが、安倍首相が理念としたアベノミクスは大企業、富裕層優遇政策で中小企業、地方、国民生活には利益は行き渡らずに消費行動にはつながらず、賃上げにともなう良好な物価上昇2%達成目標は黒田日銀総裁の任期終了の今年4月までに実現はほど遠い結果になった。

 (5)安倍、菅政権の後を受け継いだ岸田首相は成長と分配の好循環を掲げて企業に対して物価上昇率以上の賃上げを要請しているが、世界的な石油高騰にウクライナ戦争の影響を受けて世界的なインフレ、急激な円安、大型物価高の中で国民生活の負担増は大きくなっている。

 (6)国民民主党の玉木代表は岸田首相と会談して、賃上げに対して「政労使会議」の早期開催の提言をした。国民民主党が野党の位置にあるのか、連立入りを目指しているのかわからないが、官邸主導で政府が市場経済介入をする「政労使会議」を野党が要請するというのもいつからか経済原理、原論、原則を超えた掟破りであり、総与党時代の自由で自主的、自発的な経済活力、ダイナミズム(dynamism)が失われている。

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