(1)チューリップ50年コンサートはタイトルが「the TULIP」ということで、正面を切って「これがチューリップだ」ということで、メンバーもファンもオーディエンスもそれぞれの想いがこもったものになる。
①クロニクル(chronicle)派。
クロニクル派にとっては、年代を追ってメンバーの変遷もあり、年代ごとに記憶、特徴のある楽曲、代表曲を順に追って「the TULIP」の音楽史をたどって変わったもの、変わらないものを聞きたい。
②メロディアス(melodious)派。
メロディアス派にとっては、多作、多様な稀代のコンポーザー(composer)としての財津和夫さんの「隠れた名曲」がたくさんあるので、これまでもライブで演奏したことのない名曲も聞きたい。
③コンセプト(concept)派。
コンセプト派にとっては、財津和夫さんが独自の「宇宙観」に興味がみられて、現在も東大宇宙線研究所施設が近くにある宇宙との交信が科学的に正確で近いとされる鈴蘭高原で大規模野外コンサートを開催したり、箱根芦ノ湖畔に東洋の仏塔パゴダを建てて野外コンサートを開催したりして音楽思想史的にも革命的であった音楽性の高い楽曲も聞きたい。
④アイドル(idol)派。
アイドル(偶像)派にとっては、「ヒット曲」、リズミック曲を聞きたい。
(2)財津和夫さんはシングル曲、アルバム曲、ライブ、ステージ(に合った)曲とそれぞれの効果性を見通して割り切った考えで作曲、編曲、演奏する音楽思想性はみられるので、ライブ、ステージ曲はこれまで演奏してきた馴染みの曲中心になるのはやむを得ないところで、それは「the TULIP」の概念でもあるからそうなのかとも思うが、多作で多様な財津音楽、TULIPサウンドとしては今回だけではまとめきれないもので「the TULIP」50年コンサートは「通過音」(passing note)にすぎない。
(3)「the TULIP」で聞こえてくる話では、いつにも増してリハーサルが入念だったようで、年令のせいなのか、さてどういう「結果」をみせてくれるのか、「the TULIP」の音楽は「永遠」のもので「通過音」にすぎない。