(1)菅前政権時代に行政の縦割り組織へい害を排除して横割り横断の組織改革を目指してデジタル社会をリードするとして肝入りで設置された「デジタル庁」が、発足1年もたたないうちにヨレヨレ、ガタガタの迷走、空中分解(wandering analysis in the air)状態が指摘されている。
(2)行政の縦割りへい害は省益主義で連携、協力体制が不足、欠如して、硬直行政による官僚支配体制がはびこる行政の停滞を招いているとして、横割り横断行政の組織改革は指摘されながら省益主義の「うま味」につかった役人根性主義から抜け切れずに一向に行政改革は実現してこなかった。
(3)菅前政権は「デジタル庁」(digital agency)を新設して省庁の横割り横断行政改革を進めるとしたが、本ブログでも行政の横割り横断行政改革は水に油のような「デジタル庁」など設置しなくても政府が行政組織の機構改革を必要に迫られて純粋に「やる気」でやればできることだと書いたが、目新しいだけで訳の分からない「デジタル庁」の設置でやろうとしたことが発足1年もたたないうちに頓挫の危機に直面している。
(4)当初から「デジタル庁」設置に当たっては行政能力に長けた公務員とIT、デジタル機器能力の高い民間出身者との官民の手法の違いが指摘されて、手続き、決済、手順を重んじる政府機関職員とそういう途中経過、形式をいっさい排除して試行錯誤し成果に結びつけるIT、デジタル民間体質の融合ができるのか懸念されていた。
(5)基本的にIT、デジタル機器能力の高い民間人を多く登用して「デジタル庁」は発足したが、やはり手法の違いによる庁内「対立」(報道)はあるようで、早くも民間出身者の退職者も相次いでいる(同)といわれる。
何より「デジタル庁」を主導する民間出身の責任者「デジタル監」が就任1年も持たずに病気を理由に交代することになり、行政組織の横割り横断改革、デジタル社会実現どころではない頓挫となっている。
(6)やはり訳の分からない「デジタル庁」設置が行き詰まり空中分解したということで、これこそ官邸主導、内閣官房のもとで行政改革として行政組織改革としての横割り横断行政組織体制を実現することが現実的対応だ。
菅前首相は官房長官時代からケイタイ料金の引き下げに取り組み成果もあげてそれはそれで結構なことだが、それでIT、デジタルに精通したつもりかいうなら政府行政組織に適合しない訳の分からない目新しいだけの「デジタル庁」設置でデジタル社会推進を目指したことが実体にあわない不都合となって空中分解の危機を迎えている。
(7)デジタル改革社会は先行する民間、社会の開発力、実行力、推進力にまかせて、それを活用して行政改革を進めていく民間活用をしたらいい。