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いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

自己防衛と時代錯誤。 self protection and anachronism

2010-12-19 19:29:15 | 日記
 (1)国の借金は900兆円を超えると言うのに、企業の留保資金(現金、預金)は総額2
06兆円と「過去最高」となり、前年比較5%増となった。デフレ円高不況が長引き、企業
はいつにも増して自己資産、資本確保の自己防衛に徹している傾向がはっきりした。

 企業とは利益利潤追求型組織体なので、雇用、賃金は押さえても設備投資のための
準備金の充実には、おこたりない。事によったらグローバル時代、海外に生産拠点を移
せば急場しのぎにもなるし、政府は国内雇用策としてそういった企業の法人税(そもそも
世界水準比較、圧倒的に高いが)を5%減税してくれる。

 どうもこの減税分も企業留保に回りそうな気配で、企業の元来の自己防衛(self
protection)本能は一貫している。企業は、社会貢献とか人的活用とか理念は掲げてい
るけれど、国民の多くは「雇用(employment)」という企業との受動的な関係の中で、圧縮
を受けた厳しい生活を強いられている。

 高いもの(物価)は買わないというせめての抵抗も、デフレを加速させてそれは賃金の引
き下げまたは据え置きで結局、被雇用者の雇用条件に反映されるだけだ。今年も、企業
の半数近くが新規採用を控えて、大学卒業者の就職率も50%台に落ち込んで、この傾向
は来年も続きそうだ。

 企業としては、人事の空洞化、ドーナッツ現象は将来にわたって企業成長力、活性化に
影響を及ぼすのは確実なだけに、自己防衛に向かうだけではない社会資産、資本のひと
つとしての国民と成長する企業のスタンスをもっと明確にすべきだ。
 国民も、国民と成長する企業、社会資本としての企業の本質をよく見極めてそういう企業
を消費で積極的支援するスタンスをとるべきだ。

 11年度税制改正で、企業、経済界への減税効果政策を進め、国民、家計、個人の増税
でその分を補てんする政府方針を、206兆円の企業留保が見下ろしているようだ。
 こうなったら、雇用、賃金、価格、デフレ脱却で企業、経済界からの国民、家計、個人へ
の還元をデータで追跡開示して、その恩恵効果の結果を評価するしかない。
 国民投資、負担に頼るだけではなく、それぐらいは政府もしっかりとやってほしいものだ。

 (2)名古屋市では、市民税10%の恒久減税を政治課題として市議会リコールを住民投票
で決着をつける、市民の判断が直接政治の意思、実行に反映して決定するダイナミズムだ。
 国民、市民が能動的に政治、経済をリードして社会を活性化する姿勢が、長引く経済不況
の閉そく感の中で忘れ去られていないか。この社会の閉そく感を打開するのは、政府の政
策効果よりも国民、市民の主体的な意思、意欲力効果かもしれない。と思わせる、企業留
保資金過去最高の、あるいは身勝手な206兆円だった。

 (3)社会との希薄化、そう思わせる事件が「また」起きた。取手市での早朝通学バスに刃物
を持って乗り込み中高生乗客に切りつけ14名を負傷させた事件だ。逮捕された容疑者本人
は「自分の人生を終わりにしたかった。」と供述している。
 27才で自分の未熟さ、不精進を社会のせいにしてその社会に責任を押し付けるように、
早朝の「日常」を意図的に「壊す」ことで、自分の「非」を社会にアピールする(まるで責任が
社会にあるかのように未熟に)時代錯誤(anachronism)だ。

 父親と同居して過保護(無職)のなかでの、「説明のつかない、できない」行為は「子育て
不在」の時代の象徴的な時代錯誤の27才だ。
 年令だけは成人としても、まるで責任が社会(環境)のせいとは許されない、親権者の責
任はどうか。
 国民、市民が能動的に社会活性化に参加しなくなった、忘れてしまって受動的に右往左
往する社会を真剣に身近にどう見て考えるかの事例事件だ。

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